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貸本屋のお姉さんに気に入られるために俺は今日も本を読む  作者: 鈴埜


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301/362

301.解放まであと少し

 ヴァージルと別れて双子座の塔から出る。


 ん? 街の人間が出入りするってきっと領主とかそういったあたりだよな。ヴァージルのとーちゃんとか来るのかな?


 アリンさんに連絡したら、悔しそうに動画を見ると言っていた。アリンさんの本サーバーでも聖地は開かれるので、さすがにそちらでイベントを進める予定だと言っていた。まあ、下手に奉納試合見に行って昇天してたら迷惑だからな、親衛隊。


 クランメンバーも入れると思うから、動画の素材はたくさん撮れる。ソーダに編集してもらおうかなぁ。いや、でも、最近UPが追いつかないって言ってたから、厳しいのか。まあ、ヴァージル専門チャンネルとして頑張らねば、か。


 貢献ポイントのこともあるし、Marchサーバーのヴァージル親衛隊が俺の肉壁になってくれることを祈って取り込んでおく必要はあるな。やるしかない。


 夕暮れが迫って来ている時間。今日はアランブレの、第1都市の酒場でご飯をするよと声を掛けられていた。あと1日ここの中で遊んで、ログアウトしてログインしたら全解放が始まるという。

 リアルの夜中0時、つまりゲーム内午前6時から飛行船がファンルーアから開通するという。


『このあとのファンルーア、激重になりそうじゃ』

『飛行船、ファンルーアからだけにするのかねッ』


 長耳族(エルフ)小人族(ドワーフ)のクエストはまだ見つからないらしい。


『私たちは生産職だから、前提条件をクリアしていないかもしれないのじゃ』

 そこら辺は明日から来るプレイヤーにお任せすることにしたらしい。


『私の方はおかげさまで一般の奉納試合に参加できるようになったわよ』

『お、どこで見つけたんだ?』

『それが、普通に歩いていたらなんかよくわからないとおりすがりのNPCにぶつかられて、弾き飛ばして喧嘩になったのよ~迷惑ぅー』


『それ当たり屋がよくやる、骨が折れたって言うやつでござろう。普通はこちらが弾き飛ばされて始まるやつでござるよ』


 ピロリ弾き飛ばす方になっちゃったんだ。


『文句言い合ってたら兵士が来て、怒られて、そんなに暴れたいなら一般の奉納試合にでも出るがいいって!』

『なんつう流れだよ』

『俺にはそんなイベント起きなかったなぁ』

『ステータスの問題じゃないか? ソーダは筋力より耐久に振っているし』

『たぶんそうなんだろうな。確かに俺はソロには向かないから』

 タンクだからなあ。ヘイトを己に向けて守る役職だ。ソロで狩りしてるのはそういったタンク専用マップを運営がきちんと準備してくれているのだ。


『半蔵門線は筋力もクリアしてるだろ? ぶつからなかったのか?』

『拙者は歩くときは【隠密】してるし、ぶつかりそうになったら回避するでござるよ』

『イベントだと強制力働くだろう』

『さて? お断りでござるから死ぬ気で避けているからか? 賞金や賞品によっては出場も吝かではござらぬ』


『魔術師組は?』

『私はクエスト求めて……一日中飲んでいたのでわからないのじゃ』

『俺はッ! 新しい師匠を見つけましたッ!』

『案山子何人目だよwww』

『7かなッ?』


 エルフの街の料理を習っているそうだ。


『魔術師組は出場できそうだけどなぁ』

『肉壁がいないと無理なのじゃ』

『半蔵っちみたいなのにパパッとやられて終わるねッ!』


 紙装甲は伊達じゃない! 俺も多分無理。多対1なんだと。それで雑に参加者減らすらしい。


『平等には限界があるからな。出られないステータスの人間は、そうなんだろう』

『パーティー戦とかないのかしらね』

『やるならかなり前から申請してとかじゃないと、運営限界だろうよ』

『組み合わせとか人数とか急にじゃ無理だもんね』


 そのうちあるかもしれないねと話していた。


『あ、そうだ。奉納試合、ヴァージルが出ることになって、俺たちもイェーメールのエリアで一緒に見てていいってさ』

『え、あれ一般も中に入れるの~? やったあ!』

『そこはわからないけど、俺たちはいいよって言われたよ』

『楽しみだな。どんな順番でやるんだろうな』

『奉納式がトリじゃないの?』

『せっかくだからそれまでに色々とクエスト拾いたいでござるねえ』


 正直リチャードさんとのあれやこれやしかまだ拾っていない。

 八海山も獣人の王子の話をたどれていないそうだ。


『今回の聖地ではそういったものなしかと思いもしたけど、セツナ拾ってるし、案山子も師匠捕まえてるからなぁ』


 とにかく起床までの丸1日をクエスト探しに費やすことにした。




 そういやまだアランブレやイェーメールで塔に参拝していなかったので、食事のあとそのまま塔へ向かった。


 って、獅子座の神様が鎮座してるじゃん。例の半透明の姿が塔に置かれている彫像と重なっていた。


『えー、これからもたくさん狩りして頑張ります』

 ここはもう宝珠ももらっているし、頑張ります宣言でOKだろう。


 と思ったら向こうから話しかけてきたよ。


『我が宝珠を持ちし者、セツナよ……』

『あ、はい。お久しぶりです』

『忌まわしき小動物をこの聖地でも倒しているとは良い心がけだ』

『ミュスですね、ミュスは我がて――』

『彼の小さきものは原初魔物。この聖地もやつらによって陰りを受ける。これからも狩り続けるよう励め』


 どうやらただ単に言いたいだけのようだ。


『ミュスは見つけ次第この俺が殲滅します』


 うむ。やっぱりミュスは始末ですよッ!


 アランブレは他に比べて身なりのよい人が多かった。これはお貴族様ぞろぞろ来てるな。他は基本伯爵が治めていて、それ以外には基本貴族はいない仕様なのかもしれない。


 双子座の神様は相変わらず暑苦しいが、その姿は見えなかった。

 これは、宝珠があると反応があるのかな?

 残念なことに12星座の宝珠は獅子座しか持っていない。ちょっと1回ちゃんと集めてみたいな。

 お酒の神様……もとい、水瓶座の神様は俺たちに宝珠くれてもいいと思います!!


 第5都市まで回ったところで夜が明け始めた。他にクエストが1番ありそうなところをと思うがさて、どこら辺にあるか。


 ちなみに、獅子座の塔から出たところでまたミュスの野郎がいた。よくよく気をつけてみればたまにちょろっと走っているのだ。


 尻尾が溜まっていく。捨てりゃあいいんだけど、なんというか、俺がこんだけ始末したぜという証なので手放しがたくもあるのだ。

 冒険者ギルドどこにあるのかなー?


 

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― 新着の感想 ―
神託に従いミュスを狩る……せっちゃんもう神の使いとか使徒とか言われる存在じゃ? 聖騎士団に比肩する階級の聖戦士とか守護聖人くらいの称号貰えたりして
原初魔物ってカテゴリーなんだと気が付く。 せっちゃんスルーだけどこれ貸本屋で探せる本のキーワードな気がする。
何があったんですが獅子座の神様w そのうちイベントに発展するのでしょうか…?
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