281.好奇心いっぱいタパパくん
結局8時くらいまで飲み食いしてようやく出発。おトイレ事情は一切なしなのが救いです。タパパ君も腹一杯元気いっぱいでばっさばっさ飛んでいる。
ちょいちょい【気配察知】に引っかかった瞬間殴りに向かうのが困る。
俺の方がヘイトを取るために【投擲】する羽目になった。
『タパパ君、あのね、俺ら飛んでるでしょ? 相手のモンスターは地面にいるから、高度を取れば戦わなくて済むんだよ?』
『え、余裕だしやっつけちゃおうぜ!』
『いやいや、余計な戦闘していたら目的地まで時間なくなっちゃうよ? 俺、今日は日が落ちるまでだよ?』
送り届けないといけないし? 日帰りのつもりだったんですよ。
『えー、叩きたい』
『それをやってたら時間がなくなっちゃうから、ね?』
言葉を尽くしたら渋々納得してくれたようだ。
そこからはむやみに飛びかかる回数が減った。
減ったんだよ。
『セツナ! アレ見たことないやつ!!』
『見たことないやつに触らないのっ!!!』
転がって欲しくないんだよ。ポーション代もったいないだろ……。
それでもやっとファンルーア手前の問題のマップに着くことができた。ちなみに他の来訪者は一切見かけません。まあ、タパパ君無限増殖みたいになるだろうな。こんなクエスト専用地。すごく、外れにあるんだよ。崖の上でさ、あれだよ、東尋坊みたいになってる。火サスできる場所だ!
『ここが爺ちゃんが言ってた場所だな。それじゃあ何カ所か土を掘って持って帰ろう。俺が掘ってる間、モンスターが近づかないか見ててね』
『OK。思う存分掘ってくれ』
ここの土を調べて、浮遊石の元がどの程度含まれているかを調べるらしい。空の浮島と同じとまではいかなくてもかなり含有率が多ければ、ここから空人たちは旅立ったのだということになる。
と、【気配察知】でモンスターが近づいているのがわかる。まあ、目視でもいける。東尋坊はとても見晴らしがいいのだ。
タパパ君が困らないように、全力でやらせてもらいました。【フロストダイス】最強だよ! ぎょろちゃんはもう石に戻ってもらっているが、俺の1秒、2秒でも遠くから近づいてくるのがわかったら準備しておけるからいいんだよ。
『お待たせセツナ! それじゃあ行こう』
再びぎょろちゃんを出して、イェーメールに向かおうとしたら、おーい、タパパ君?
『せっかく次の街が近いから寄って行こうぜ!』
話が違うだろうよ……。
だが押し切られこのざまです。
「パン美味しい! めちゃくちゃ美味しい!!」
「ファンルーアは小麦の生産地だからね」
「なんか爺ちゃんにお土産買って行こうかな~」
「それならパンを持っていけばいいよ。ホラここら辺も美味しそうだろ? で、とっとと帰ろうね。いくら騎獣があるといえ、結構時間がかかるんだよ。暗くなる前に行くよ」
最後は無理やり引っ張って連れ出す羽目になった。
『今回ので浮島の出発点がわかったら、あの周りを次は調べないとな!』
『それはさすがに大人がやるんじゃないの?』
子守は今回だけがいい……。
『大人はそんなもんどーでもいいんだよ。今はテラエトゥーラからの物資をどう回すかとか、そんな話ばっかりだぜ。浪漫の欠片もない!』
さすがあのお爺ちゃんのお孫さんですね。
『浮島の元がわかれば、今ちまちま使ってる浮遊石の増産だって……あ、ヤベッ』
『……俺は聞かなかったことにできるけどさ』
これ、みんなのタパパくんがやってるんだろうな。
つまりそこら辺がまた話の始まりなのか。
人が空へと向かうことになった浮遊石にまつわる物語を調べよって感じかな?
俺とタパパ君は無事始まりの平原でわかれた。ちゃんと上に行くのを見届けました。
今度時間があるときにとお願いした金稼ぎ、レインボーシータートル狩りです。
『ヴァージル、もしかしたら、聖地に行くタイミングで飛行船開通するかもよ? 騎士団も空路の方が楽なんじゃないの?』
『俺もその話は聞いたんだが、とても微妙なタイミングらしい。間に合うかもしれないし、間に合わないかもしれない。となると、間に合わなかった時が拙いから、今回は陸路で行こうという話になっているよ。飛行船の駅も200年以上稼働していないから、整備が大変らしいな。空の魔物も狩ってはくれているようだが、元々有翼はこの間我々と戦争をしたばかりだからな。気持ちの切り替えが上手くいかない者たちも多いようだ。そこは仕方ないとも思う』
『世代交代があっちの方がゆっくりだしね。話がよく伝わってるのは空の国だよね。まあ陸路行くならクランメンバーたちはヴァージルと一緒に行きたいって言ってるよ』
『そうか。こちらも10名ほどで行くよ。アランは置いてく』
『お留守番かぁ~』
『ごねたけどな』
面白そうとか言いそうだな。
『案山子がご飯はなにがいいかって聞いてたよ。最初持って行ける分は持って行くって』
『牛丼派とカツ丼派がいるな』
『あ!! そういえばカレー預かったままだ』
『カレー?』
『とっても美味しいご飯だよ。案山子の知り合いが作ってくれたんだ。ただなあ、あれ、絶対カツが合う。今日は案山子寝てる日だって聞いてるからまた今度』
『楽しみにしておくよ』
案山子にスパイシーなお菓子も作ってもらわないといけない。
一応調べてみた。
シナモンがスパイシーに入るなら、それこそリンゴのパイとか、シナモンを使ったマフィンがいけるはずだし、クミンとかバジルのクッキーなら確実にスパイシーかな。
相談して、採りに行かなければならない素材があるなら積極的に手伝いたい。
そんな話をだらだらしながらも、俺は【属性看破】でカメを巨大化させ、ヴァージルが葬る。
みっちり狩りを手伝ってもらって帰宅。クランハウスでストレージのご飯をヴァージルに振る舞っていた。
「あ、ヴァージルじゃ~」
「セツナくんと狩りしてたのね」
「セツナ君、次はハーピー狩りだよ」
「了解っす」
「セツナ殿、お金貯まったでござるか?」
「無属性が1つ出たから俺もこれで資金はバッチリです」
「バッチリじゃねーんだよ、それがベース。常に1000万シェルは持っておけっていってんだよ」
ソーダが厳しい。
一気に賑やかになる。
「みんなも狩りかい?」
「今度聖騎士団の人たちと移動だろ? 豚肉仕入れてきた」
「あー、じゃあ俺も今度ブル狩りして牛肉仕入れてこよ」
「ブーディー狩り、そろそろセツナ殿も来たらいいでござる。獲物をかき集める要員は大切でござるよ」
「属性付与してもらったらもっと効率上がりそうね~」
前に言ってたブドウ狩りってやつか。カツ丼たち狩りはたしかに美味しそう。
「楽しみにしているよ」
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聖地まであと少し




