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貸本屋のお姉さんに気に入られるために俺は今日も本を読む  作者: 鈴埜


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267.空の国の司書さん

 ということで金がなくなりました。なんだろうこの、リアルマネーじゃない、ゲームだし感。

 地道に、地道に針を売って稼がねば。


 その前に、アンジェリーナさんのおつかいを終わらせるぞ!


 空の国へ参ります。




 現在、空の国へは俺が出現させた謎の豆の木に、階段が作られた。一応。そして、下に、通過用の小屋が作られている。

 つまり、来訪者はひとっ飛び。一瞬で雲の上の空の国の入り口へご招待という寸法だ。


 地上の城と違って、空の国の宮殿は開放されている。入れないのは居住区、竪琴、金の卵を産む雌鶏がある宝物庫、玉座の間だそう。宮殿の門のところで説明された。


「図書室には司書さんがいらっしゃいますか?」

「はい。図書室の利用ルールはあちらでまた説明を受けてください。図書室に行かれますか?」

「そのつもりです」


 すると、ナビゲーションが出る。ありがたい。


 空の国は今一番のホットスポットなので、来訪者がうじゃうじゃいた。

 たまに地上の騎士団の制服も見かける。

 わりと親しげに話しているので、国交回復成功と言うことか。


 図書室には……プレイヤーがたくさんいた。

 これでもたぶん削られているのだとは思うが、そんなに広い場所ではないのに、所狭しと人がうろうろしている。


 司書さんは羽根がついて、空の国の正装らしい白い衣装を着ているのでわかりやすかった。

「すみません、少し相談というか質問があるのですが」

「はい、なんでしょう」

 薄茶色のストレートの髪が腰まである女性だ。青い目をこちらへ向けて俺の次の言葉を待っている。

 が、どう言えばいいか……。


「空の国の蔵書目録のようなものはあるのでしょうか? 地上の国で空の国の蔵書に興味がある人がいるのですが」

「蔵書……ですか。あることはありますが……本を持ち出すことは禁じられておりますので、こちらへ来ていただくのが一番かと」


 やっぱりそうなるか。


「許可が取れれば、写本はできますか?」

 写本、と言う言葉に司書さんの目がキラリと光る。


「それは協議が必要になる事柄ですね。本というならば地上の本にも興味がありますので」

「やっぱりそうなりますよね。うーんどうしようかなぁ」

「少し別室でお話をしましょうか」

 にこりと笑った司書さんが俺の手首を掴んだ。


 つよおぅぅぅ!?


 めちゃくちゃ強いんだが。どうしてくれよう。逆らえない。


 俺を連行する司書さん。いつの間にかもう1人来ていた司書が、今まで俺の腕を掴む怪力司書さんの場所におさまる。


 別室はすぐ隣の部屋だった。


「どのようなご提案なのか、詳しくお聞きしてよろしいでしょうか?」

「えーと、提案というかまだ話していて何もまとまっていない状態なのですが、もともと、俺が親しく(照)している貸本屋の店長さんを、空の国の図書館に誘ったのですが、彼女は高いところが苦手だというので、それなら俺が珍しい本がないか見てくると請け負ったんです」


 何やら書いているのだが、うーん、象形文字みたいになってる。ここの本のタイトル普通なのに象形文字みたいになってきている……あー、【翻訳】さん、お仕事チーッス!


 そこには、『地上の国、目録、写本を望む。どの程度の要求が来るか、こちらの見返りを算出』などと、それなりに己の利益をどう生み出すかについて検討する旨が書かれていた。

 まあ、当然だろうね。


 そういったところはみんなしのぎを削ったらいいよ!!


 別に地上の国に肩入れすることないしね。アンジェリーナさんには両肩差し出します。

「ただ、規模が大きくなるような話なら、きちんとアランブレにある図書館の司書、または国同士の話し合いになるかもとも言っていました」

「そうですね、本、資料は国の宝です。こちらの宝を差し出すからにはそちらもぜひ見せていただきたいとは思います」

「上手くお互いの利になる交渉ができるとよいですね」


 あとは国同士の話だ。

 アンジェリーナさんにはそうやって言っておこう。


 それでは、と立ち去ろうとしたところ、呼び止められる。

 いや、フレンド申請である。


 俺は、アンジェリーナさんより先に女性とフレンドになることを拒否し、それを貫いてきた。おかげでNPCのフレンドは男だらけだ。


 そしてようやくと思いきや……アンジェリーナさんとの連絡、フレンドじゃないんだよおお!! フレンド欄にいないの!! 師弟欄にいるの!! うそおおお!


「あ、女性からのお手紙はお断りしているんです」

 何様だよ俺ぇ!!


「私は男です」


 申請許可出しました。

 えー、めっちゃ綺麗なんだけどぉ!!


 言われてみれば俺より背高いんだよねこの人……うそぉ……お名前はラシードさん。ヴァージルとかファマルソアンさんとか、確かにイケメンなんだけど男の人なんだよな。この人、美人なんだよ……。


「セツナさんにお願いしたいのですが、是非話し合いの席に同席していただきたいなと。こたびの国交復活は来訪者の力添えがあってだと思っております。揉め事も上手くとりなしてくれると期待しております」


 《クエスト 空と地上の板挟み~図書館編~ を受注しますか?》


 最近なかった受注するか YES OR NO パターン!!

 冒険者ギルドでクエスト受けないからな……。


 えーどうしよう。

 板挟みってのが苦労しか見えないんだけど……何が正解かわからないけど失敗したらアンジェリーナさんの不利益かなぁ?


 これは断った方がいいのか? と思ったがここで大変な事実に気付いた。


 他の誰かがやったら、アンジェリーナさんの存在がバレる可能性がある!!

 ダメだ、それだけはダメだ。絶対に漏らしてはいけないのだ。この女神を!!


「わかりました、お受けします。だけど、俺はしがない来訪者ですよ?」

「互いにとって公平な人がいるだけで安心なのですよ。それではこちらから要望などをまとめます。お手数ですができあがり次第ご連絡さしあげますので、取りに来ていただけますか?」

「起きているときなら」

「来訪者の睡眠サイクルは把握しているつもりです。眠り続けるときもあるということも」


 突然風邪引いたりしたらログインできないしね。


「俺の方も、地上の国の図書館にでもこんな話が持ち上がっていると話しておきますね」

「そこは、セツナさんが公平だと思うようにしてください」


 アンジェリーナさんのために頑張りたいな!


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― 新着の感想 ―
面倒事に自ら進んで飛び込む。 それがプレイヤーってもんっす。
板挟み編、各種ありそうだねー イケメンなんて求めていない人に限ってイケメンのフレンドが出来るのよね〜 肝心のアンジェリーナさんはまだフレンドになれてないのにね〜(ぷっ)
他の女(女じゃない)には一切媚びない主人公、本当に清々しいww 一足先に新規美形NPCとフレンドになったセツナ氏、イケメンハンターの素質ありすぎてまたもや夢女勢がぐぬぬっちゃいますね 女運をアンジェ…
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