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貸本屋のお姉さんに気に入られるために俺は今日も本を読む  作者: 鈴埜


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263.普段着を求めて

 現在の俺は、かっこよい細剣(レイピア)を手に入れ、その専用スキルもリアル時間2ヶ月後に聖地で追加で覚えられる。籠手と胸当てを手に入れた。フード付きのマントも持っている。


 冒険者としては完璧な装いに近い。


 が、部屋では部屋着を着ていたい。

 街中では街歩き用の服を着たいじゃん!?

 つまり、アンジェリーナさんの隣を歩くことが多い昨今(ゼロから2になったら多いです)、かっこいい服着て、少しは(俺の)気分を盛り上げたい、デート風に!!


「かっこよい服が欲しい」

「セツナくんもおしゃれに目覚めたの~? いいわよ! 私に任せてっ!!」


 クランメンバーの中でも一番の衣装持ち、ピロリに相談したら即対応してくれることになった。


「人のお金で好き勝手買い物できるって最高♪」

「好き勝手はダメです」


 アランブレの街を南から北へ真っ直ぐ通っているメインストリートを行く。

 一応中央は馬車用ってことでみんな避けて通るけど、来訪者気にしないからな。いつも混雑していた。


 NPCのお店はわりとまとまっていることが多い。あの家具屋ストリートとか、鍛冶屋ストリートとかがそうだ。たぶんそこはゲーム、ユーザーの使いやすさといった観点からなのだろう。

 ただ、ユーザーの露店はそうはならない。なんでも、商業ギルドで販売権を手に入れる。さらにその販売権には2つあって、商業ギルドへ委託するものが1つ。販売枠が10枠で、値段と商品を決めて陳列するといったものだ。同じ商品、例えば黄ポーションは1枠に99個まで置ける。最大990個の商品を置けるということだ。


 この商品は商業ギルドの委託窓口で見ることができた。NPCがここから買うことはないので、完全ユーザー向けの販売だ。薬師がこちらで売ることが多いのだという。

 検索機能もついているので便利だそうだ。


 そしてもう1つが露店。以前俺が迷い込んでジャンドゥーヤに会ったあの場所だ。こちらはお祭りの夜店のような構えで、中にプレイヤー(中身がいるかはわからない)の店主がいて、店の前の台に商品が並んでいる。傷つけたり持ち逃げしたりはできないようになっている。


 しかし、やろうと決めれば持ち逃げできるので、そうなると兵士がどわっとやってくるそうだ。

 それから逃げて街でお尋ね者になるルートを楽しむだいぶ尖ったプレイヤーが有名らしい。牢屋にも何度も入っていて、何やらその先で新しい道を開いているという。


 露店はもちろんギルド内の委託より金が掛かる。つまり、ショバ代。それでも、一品物を売るプレイヤーは露店を選ぶという。


「この露店スペース、今もう全部売り切れなのよね~出したくてもスペースがないの」

「シビアですね。なんかそこら辺は上手く空間ねじ曲げるのかと思ってました」

「ね! 私もそう思っていたんだけど。どうもこういった表に出てる空間はいじれないらしいのよ。それで、どうしたと思う~?」


 んん、話が続く。


「表に出て……ないところをねじ曲げた?」

「正解!!」


 そう言って連れられてきたのは、最初の頃に見た露店エリアに出来た見慣れぬ建物だった。 外観はアランブレの街にある建物とそう変わらない。木と石とレンガでできた家だ。オレンジの屋根が可愛い。入り口が3つついている。


「このショッピングモールが作られたの。前に運営から告知あったけど、その様子じゃ見てないわね」

「公式の連絡入るようにしたのが最近なもので」

「露店よりも機能が上がってるのよ。陳列に幅ができたというか。だから中の料金の方が上。空間ねじ曲げているから1つ1つの店舗も広いしね。ほら、ショッピングモールって道の両脇に店舗があるじゃない? ホントそんな感じなのよ。場所代は高いけど、露店ってログインするごとにチェックいれないといけないんだけど、こちらは空きスペースに自動的に陳列できる機能がついている上に、陳列数も上がってるから、よく売れる物を持っている人や、一点物を売る人にしてみたらかなりいいわよね。その混合がよく見られるかな。1つ売れたら儲けがかなり出る人が、同時に数のある小物を売ってバランスを見てるのが多いわね」


 そう言いながら俺たちは新しいショッピングモールに足を踏み入れた。


 うん、カラフル!


「お店の装飾もすごく自由が利くってんで、みんな凝りまくってるのよね~ちなみにアレが私の推し服屋さん♪」


 白とピンクと紫と。リボンとフリルとおおおうすごいな。

 今日のピロリは白い半袖だがその袖がぽっこり膨らんでる。袖口には水色のフリル。首元には濃い青のリボン。スカートも白に裾が水色のフリルだ。ウエストに同じ濃い青の大きなリボンが結んであった。

 ……日傘も差してたよ。


「この服……ピロリさんが選んだんですか?」

「そうよ? 可愛いでしょう。私によく似合う」

「……ピロリさんの趣味ですか?」

「そうよ……セツナくんが何を考えてるかわかったけど、可愛い物は可愛い!」


 う゛……ん。


「……彼女ちゃんに似合う物をって考えたら余裕よぉ」

「あー……」

「アンジェリーナさんに似合う物をって考えたら余裕で選べるでしょ★」

「余裕っすね!!!」


 そうか、そういうチョイスなのか。


「彼女さん、フリフリ似合うんですか?」

「えー、やだぁ、恥ずかしい~。あの子は、うん、かわいい系。後で動画見せてこっちの衣装もいいとか普段から話してるわよぉ~」

 仲がいいんだなぁ。


「さて、セツナくんに似合うものよねー。セツナくんのアバター顔は悪くないけど目も髪も黒なのよねぇ。もっと派手色にしたらいいのに」

「あんまり現実離れしてると己に戸惑いが生じるかと思って……」

「まあ、気持ちはわかる。少し奥に行ったところに、男の子向けのかっこいい服屋さんたくさんあったはずだわ」


 そう、入り口付近、キラキラひらひらがフリフリが多いんだって。


「店舗の場所も選べるからね。売れ行きのいい女性向けの洋服店がここら辺の入ってすぐのところを速攻買い占めてたのよ。女の子は……はしごするから。はしごしてぐるぐる何回も同じところ回るから……それはもう、恐ろしいほど決まるまでが長いのよ……」


 何か、すごくリアリティのあるお言葉。


「双方合意があればスペースの交換もできるから、それをやっていってここら辺は女の子のエリアになってるわね」

 俺のあずかり知らぬところで色々なドラマが繰り広げられているんだなと思いました。

ブックマーク、評価、いいね、感想、ありがとうございます。

誤字脱字報告も助かります。


ちょっと色々と間違えてしばらくヴァージル祭りが続くのだ……聖地後は大人しくしてほしい。

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― 新着の感想 ―
黒色のみの不審者スタイルとかにしそう・・・・・・・・・
ヴァージルフィスティバルたのしみにしています!
更新ありがとうございます。 次も楽しみにしています。 服選ぶのにセツナ氏はどれくらい時間かけるのか
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