260.クランメンバーとマジックストーンゴーレム
就寝からの目覚め。
もうすぐ狩場に着くところだ。
八海山も一応危険なので俺たちと同じ高いところから眺めることにした。
ソーダと半蔵門線、ピロリは騎士や職人から狩りをするときの心得を再確認していた。
船がマジックストーンゴーレムの採石場に到着する。
「それじゃあ、みな心して掛かるように!」
「おう!!」
力強い返事とともに、順番に船を下りていった。大きな船なので、小さな船で接岸する。
柚子と案山子も全属性持っているので、3人で分けることにする。まあ、2人となら問題ないと思うが。
狩りは、前回よりさらに火力がプラスされたのでそれはもうびっくりするほど順調に終わった。あまりにあっさり終わって、騎士団の中の釣り役の人が、これならもうちょっといけるだろうと調子に乗って4体持って来て、最終的には5体と戦った。5体はちょっと、【属性看破】大変になりすぎて、案山子と分けました。普通に持ってるんだよな……。料理もして魔法も育ててと、相変わらずすごい。
俺たちが現物支給、さらには建設ラッシュが掛かっていて必要数がかなりいるとのことで、がっつり狩りをすると宣言された通り、前回の3倍くらい長々と狩りをした。
さすがに騎士や職人の皆さんはお疲れだった。
俺たち来訪者は余裕です。普段から【持ち物】満タンになるまで狩りとかするからなぁ。NPCとはちょっと狩りの概念が違う。
「えーっ!? この頭もらっても大丈夫なの!?」
頭が一番いいらしいよ、素材レベル。
「建物に頭部ほどの価値は必要ねえからな。頭部は武器向きなんだよ」
ハザック親方がそういってソーダ、ピロリ、半蔵門線に頭部を1つずつくれた。柚子と案山子と八海山は腕もらってたよ。
「セツナはどうする?」
「あー、防具も作るの??」
「あんまりメジャーではないがなあ。まあ、お前さんは必要だってならまた付き合うぞ?」
そうだなー。そのときにしてもらおうかなぁ。今は特に必要ではないし、かといって露店開けるわけでもないから。
「まあ、空の国が開かれたことで、全体的に流通が活発になっているから、大変ではあっただろうが結果良かった」
空の国は地上の物資がかなり必要になっているという。その対価は空の国の秘宝である、金の卵を産む鶏だ。
ピロリ:
無から有を産んでるのかしらね~
案山子:
錬金術ッ!!
八海山:
育て方があるんだろう、きっと。空の国も対価を払ってるんじゃないか?
セツナ:
今度聞いてみよ。
ソーダ:
そこで、すぐ聞いてみようって思うのがなんかホント……意識改革が必要なんだな、俺らって。
知らないことはとりま聞いてみりゃいいんだよ。
帰りの戦場は俺たちも眠るまでは宴会をしていた……ところで、まさかのクラーケン再び。
「大砲を準備しろっ!!」
「急げっ!! 船に絡みつく前にやるぞ!」
《ミッション! クラーケンの目玉を潰せ! クラーケンは船体に手足を巻き付け船を沈めようとしてきます。タイミング良く大砲をぶつけて剥がし、目玉を狙いましょう》
「バター醤油の材料が来たぞーッ!!」
「セツナくん、雷付与ちょうだい♪」
「落ちたら回収ヨロ」
「任されたでござる」
俺が以前と同じく船室へ降りようとしたが、クランメンバーの様子がおかしい。
「えっ、大砲……」
「いけるいける」
「【サンダーアロー】ッ!!」
「【一身集中】おい、ヘイト取る前にヤメロ」
案山子の雷魔法が飛んでいく。
「【サンダーアロー】なのじゃっ」
「セツナくん、早く早く~」
「……【雷付与】」
「じゃ、行ってきまーす!」
飛び出すピロリ。
NPCたちは……びっくりしてる。船員と職人はすぐさま階下に行ったからこの光景は見てないけど、騎士様たちは一応甲板で迎え撃つつもりだったのか全員残ってた。
そして一番最初に反応したのは2人の師匠。雷魔法のローハンさんだ。
「【サンダーアロー】!」
さすがは大魔法使いの子孫。うーん、ダメージがエグい。えー、NPCのステータスどうなってんだこれ。NPCはステータスとかにはとらわれてないのか?
雷が弱点だったらしくクラーケンはのたうち回っている。塩水の方が通電しやすいもんなぁ。一応船に乗っているので俺たちはセーフのようだ。ピロリはローハンのアローのあと、足に飛びついてた。足が吹き飛ぶ。
「【投網】」
投擲の先のスキルなのかなぁ。あれちょっと欲しいので聞かないと。
《クラーケンの足を2本倒しました。本体が現れます》
「【雷付与】」
みんな行くなら俺もやりたぁ~い!
「【紫電】」
雷が真っ直ぐクラーケンの目に向かい、ヒット!
《ミッションクリア! クラーケンの目1つが潰されました》
前回はここで船長さんのスキルが出たはず。たぶん。俺直接見てないんだよな。
しかし、うちのピロリさんが止まらなかった。
「【一投両断】」
回収されて、俺の【紫電】が走ったときには次の攻撃に移っていた。
まっすぐ振り下ろされる双剣。そのパワーは留まるところを知らない!
クラーケンの気配が消える。
ちらっとムキムキ船長を見ると、口をぽかんと開けて驚いている。見せ所奪ってすみません……。
ソーダ:
おう、経験値いいな。マジックストーンゴーレムもよかったけど、こいつもなかなか。
八海山:
遭遇するのが大変なヤツかな?
半蔵門線:
海のフィールドまだ出てきてないでござるからね……浜辺と乙姫様以外。
柚子:
陸空の次は海なのじゃ! 世は大航海時代に突入なのじゃ!
「来訪者というものは、なんというか、本当に……」
「俺の出番もとられちまったな……野郎ども!! クラーケンの身を回収だ!!」
「バター醤油作りますッ!!」
その後はクラーケン料理を案山子が作って、みんなで酒盛りになった。おかしいな、船、自動操縦なのかな? 騎士や職人はもちろん、船員もほとんど、酒とクラーケンのバター醤油炒めを美味しい美味しいって食べ倒していた。
酒は樽で積んでありましたね。親方大満足。柚子も大満足。八海山、自前の日本酒こっそり飲もうとして見つかってた。
日本酒はね、本当に好きらしいよ。
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