248.ちょっとは戦えるようになった
「【シードウィップ】【雷付与】【フロストダイス】」
何事も先手必勝。俺にナイフ投げといて様子を見ているのが悪い。
とりあえず相性の悪そうな魔法使いを氷付け。ダイスを投げると、ラッキー3×3です。俺の最高値。これは詠唱中断目的。
「【ブランチウィップ】」
さらに木ちゃんを大きくしておく。オークだ。樫の木。あー、樫の木ならさらにもういっちょか。ちょっと間空けないといけないから待ってもらって、その隙に雷剣お見舞いする。
木魔法、実はディレイがほぼ無い。というのも種依存だから。魔力を集めて~といった感じじゃないからと思っている。
さらに【付与】も同じ原理なのか、剣に付与していて、スキルを出して攻撃するわけじゃないからか、ディレイ一応あるけど0.1くらい。【フロストダイス】は修正入って10秒も待つが、今回魔法使いを止められたのがでかい。
俺、素早さ本当に……あほほど振りました。すみません。基本避けられる。
避けてる間に種を育てて若木にした。
魔法使いの氷が溶けたところで詠唱が始まるが、俺の方が早かった。
「【万雷】」
雷範囲スキル。
雷にはしびれる効果も重なるときがある。これはそのときの運次第。
俺レベルだと、ダメージというより魔法使いの詠唱妨害が目的。知力がもう少し上がれば雷のダメージが乗るんだが、頑張ってもっと本を読まねばならない。
「セツナ君強くなったなあ!」
案山子を守ってくれてた3人のうち1人が島渡しの魔法で到着する。
「【なぎ払い】」
人が増えればこちらも楽になる。
獣人男子さんの長剣がぶんっと唸る。魔法使いを狙ったダメージをあちらのタンクが引き受けていた。なので、まず盾に消えてもらうことにする。
「【突貫】」
細剣の固有スキル、雷付き。
ハチさん突き刺しの刑でレベル上がった分をつぎ込んだら使えるようになった! あの、木に穴が開く技!
「うあああああ」
断末魔を残して、姿が消えた。
すぐ後ろで口笛が吹かれる。
「やるう! すごいね、今の技。細剣固有?」
「ですねー」
「【ファイアーアロー】」
後ろからさらに案山子の声。
「【一身集中】!」
タンクさんも到着。
案山子のファイアーアローが魔法使いに突き刺さる。
「はあ!? なんで!! 島渡しの魔法使ってるのに!?」
まだ風に乗ってる状態の案山子の魔法に、相手の双剣使いが目を丸くする。
そういや、そろそろお披露目しないとなで動画まとめてるって話だったな。お披露目する前に、空の国のごたごたが起きてしまった。
「ふふ、魔法使いじゃないんだな、俺ッ! 今は、ま じゅ つ し なんだよッ!」
「【アイスアロー】【ファイアアロー】」
二重詠唱だ。
残っていた敵も撃沈。
「おおお!! うちの魔法使いに教えたい!!」
「多分もう少ししたら魔法使いギルドで試験か試練か受けられるようになるとはおもうんだよねッ! 俺らが辿った道のりは教えてくれた人の、NPC信用問題になるから、ちょっと待っててね」
みんなちらってこっち見る。
知りません。知りませんよ……。
待ち伏せの面子をやっつけて、俺たちも大規模戦に参戦っ!!
と思ったが、こっち正面とは違うんだよなぁ。まあ、だから王宮潜入してみようと思ってたんだけど。
「私たち、友だちと待ち合わせしてるんだよ、どうする? 一緒に行く?」
タンクさんが誘ってくれたけど丁重にお断りしておいた。
ヴァージルぱいせぇん!! 仕方ないから、ショートの材料取りに行くよぉ。つうかほんとマジでなんで参加してんのー!?
案山子も正面へ回って参加するそうだ。
「多少のフレンドリーファイア許されるらしいし、……敵陣にメテオストライクがんがん落としたい」
「俺、地面がタイルじゃなかったら木生やしたかった」
残念なことに正面の戦場は石張りらしいんだよねー。くっそ。万雷してやろっかな。
「てかセツナっち、パーティー作っとこ」
「あ、了解」
ぽいっと飛んできたパーティーは『美味しいもの食べたい人あつまれ~』だった。
集まっちゃうな。
たまにドォンってすごい音するんだけどさ、ここ空の上なのよ。大丈夫か?
ソーダ:
ちょっとヴァージルパイセン止めてwww
攻撃力ヤバいんだけどwww
あちらさんの前線がだいぶ後退して、竪琴の加護のあるあたりまで下がっちゃった。こっちの攻撃効かない範囲に入ったwww
アランも来てるんだよ。むしろ、アランの助太刀に来たらしいよ、ヴァージル。
八海山:
下がったところから魔法攻撃されるとこちらはやられる一方になるからなぁ。
ピロリ:
王宮潜入組もっと投下しないとって話になってるのよ。
セツナ:
じゃあ俺も王宮内行った方がいい?
ソーダ:
攻撃スキル出せないぞ?
セツナ:
まあそれはそうだけど。
どうしよっかなぁ、悩む。
セツナ:
まあ一応ヴァージルの様子見に行くよ。絆は~死んでもらいたくない~。
ソーダ:
まあ、死んでもらいたくはないなぁ。NPCだから撤退にはなるんだろうが、しばらく療養とかになりそう。
半蔵門線:
わりと斥候が入ってきたから大丈夫かと。しらみつぶしに調べてるでござる。むしろ、金の卵を産む雌鶏は発見済みでござる。
奪うのは、余計な警備をこちらに回して欲しくないのでちょっと待とうという話でござる。
柚子:
どっちにしろ、プレイヤーの睡眠時間来たら厳しくなるから、今日中に始末つけないとじゃなぁ。
案山子:
あ、ヴァージル発見! てみんなもそこにいるんだッwww
セツナ:
ヴァージル見つけやすいなぁ……。
身長ならソーダの方が高いのに。相変わらずキラキラエフェクト掛かってる。今日は甲冑じゃないから余計にかな。顔が思い切り出てるから。
「ヴァージル!」
俺が呼ぶと、すごくいい笑顔を向けてくれました。
嫁とかに向けろよその顔。
スクショスクショ。
周りできゃあとか黄色い悲鳴が聞こえるって……あれ、アリンさん発見したんだけどぉ!? あー、こっちで体験しておくやつかこれ。鯖ごとにキャラ持ってるならありだよな。
「セツナ、無事だったんだな。みんなといないからどうしたのかと」
「ちょっと地上で用事があって遅れたんだよ。つうか、来ないって言ってたくせに!」
「そのつもりだったんだが、アランの実家のこともあってな……」
「俺の実家のにーちゃん参戦してんだよねーっ。助太刀しにきちゃったよ」
にっこり笑顔のアラン。
うん、隣に普通にいたな。ヴァージルのせいで気づくの遅れたよ。なんかごめんね、アラン。
案山子のパーティーが解体されたと思ったら、ソーダのいつものに入れられた。ヴァージルとアランも入ってる。
「しかし、あの防御結界は問題だな。こちらの攻撃がまったく通らない。それなのにあちらの魔法攻撃は通るんだ」
ふうと悩ましい顔のヴァージルにまたもや黄色い悲鳴が上がった。
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ドォンはヴァージルパイセンです。




