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貸本屋のお姉さんに気に入られるために俺は今日も本を読む  作者: 鈴埜


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225/362

225.ウォーターホースの皮集め

 今日はウォーターホースの皮をクラン狩りしてもらうことになった。


『てかさ、クラン狩りなのにこの皮のドロップもらうことになるじゃん? 金払う感じ?』

『うーんどうしようかなぁ』

『私は付与してもらうし構わないけどー?』

『拙者も構わないでござるけどー?』

『無属性のレインボータートルエッグもさ、結局武器使う人にしか恩恵がないんだよね』

『クランの戦力底上げになるからクランの恩恵ではあるけどな』

 ソーダはそう言うが、他は?


『俺は退魔の書をランクアップしてもらう予定だしね』

 八海山はそれでいけるか。


『俺はッ! 特に考えてないッ!!』

『私もガラス材料採りに行ってもらったりしてるし、構わないのじゃ』


『まあ、じゃあ、レインボータートルエッグの無属性狩りにヴァージルと行って、他の属性の卵売却分とかクランに入れるよ』

 無属性だけ狙ってはやらないしな。


『多いけどなあ』

『でも、クランハウスすごい値段したんだろ? 俺、かなり利用させてもらってるのに出してない』


『まあ、今後も生産職の素材とかはお互い助け合うってことで』

 そういうことになった。

 あんまり金金してないのは、みんなそれぞれソロ狩りとかで資金源を持っているからだそうで。

 金持ちなんだな……。


 俺も結構溜まってきた! ヴァージルのおかげでね。



 ウォーターというだけあって水辺、沼地帯だ。

『大ピンチになったらリリさん呼べるところだ~』

『でも水属性だから微妙よね』

 それはそう!


 ウォーターホースは雷が効くとのことで、ピロリと半蔵門線にも雷付与する。俺も、出しちゃうかな!


『柚子の氷で固めて、だな』

『皮のドロップ率はいいのでガンガンやるでござるよ』

『ただ、強い。凍らせて確実にやりにいかないと崩壊することもあるから気をつけろ。現れるときは最低3体はいるからな』


 マップに入ると【気配察知】に引っかかる。最近はこれは俺の仕事。

『右斜め前方に4体、左方向は少し離れて5体だけど……3体中型と2体小さいやつ?』

『左行こう。その小さいのがドロップ美味しいやつな』


 ウォーターホースと小さいやつ。

 ソーダがヘイトを取り、間に【フロストサークル】。みんな氷の円陣に吸い込まれて行って凍る。

 そこへ雷付与した俺とピロリと半蔵門線が、1体に向かって攻撃。


『おー! 3人なら落ちるな』

『案山子殿の雷魔法もあってギリでござるね。やっぱり馬強いでござる』

 全力でやっと1落ち。強いなぁ。


『次の氷吹くよッ! 下がって!!』

 それより前に氷が割れて、柚子へどっとヘイトが向く。


「【一身集中】」

 そのヘイトをソーダが再び奪い、取りこぼしを俺や半蔵門線が【投擲】でヘイト取り。


 ウォーターホース3体終わったところで小さなモノたちも【フロストサークル】のダメージで死んだ。

 いや、半蔵門線が【フロストサークル】吹き荒れてる最中に小さなものたちに【投擲】して氷割りからの再び凍ってダメージ入るをこまめにしてたからだ。

 そういったちょっとしたことも大切だなぁ。


 ウォーターホースからはウォーターホースの皮が出て、小さなものたち、スワンプキャットの爪がドロップした。


『猫ちゃん狩りは心が痛むわ……』

 可愛いんだよなこの猫ちゃん。わかる。


『でもこの爪、めっちゃいいお値段するからさ。ドロップ率低いけど』

 なんでも強い盾につけるトゲトゲの材料らしい。


『防具職人からの買い取り金額がいい』

『イェーメールで聞いてみるのッ!?』

『いやー、さすがに自分が依頼する分じゃないなら、市場でも品薄だからプレイヤー売りする。生産職はこのマップきついだろうし』


 ドロップ率低いだけあって、朝まで狩って出たのは10個。たぶん100体以上倒したのに。

 そして、レベルアップ!! よし、筋力上げるぞ-! あとほんの少しって言ってたから、1レベル分上げればいけるだろ。


 最後の最後に出会った馬に試してみる。

「【突貫】」


『剣の大きさと穴の大きさ合わねえっ!!』

 ソーダが笑う。


 馬の腹がえぐれました。これなら1体倒せるな、1人で。ただ、

『このスキルMPめちゃくちゃ使う……』

『今度このマップでやるときはセツナが1体倒しだな。3体ならフロストサークル2回で終わる』

『俺がッ! MPプレゼントフォーユーッ!!』


 強くなったよねー、俺。




 精算はみんなに任せて俺はアンジェリーナさんの元へ走った。【隠密】で。

 アランブレ街歩きするときは細心の注意を払わねば。


「お待たせしました! 材料揃いました」

「まあ! 早いのね。助かるわ。早速素材を精錬するわ」

 そういって奥へ通された。

 奥だよ、奥。

 ウキウキしちゃう。アンジェリーナさんの貸本屋の奥に入れるのは俺だけっ!! たぶん……たぶんそうだよな? 見たことないし、ソーダたちの話からして、ワールド全体で貸本屋が注目されていなさそう。

 うん……さすがにおかしいな。

 やっぱりイェーメールの貸本屋が情報ギルドと繋がっていたからか。

 解禁アナウンス入ったしな。

 それまでは辿り着けないってやつか。


 あれ? なら俺、なんで辿り着けたんだろう??





 ま、いいか。

 今はアンジェリーナさんと2人きりでドキドキしておこ~っと。


 そこからは1つずつとってきた素材を修復材料にする方法を学んだ。

 錬金釜に首ったけだった管さんの気持ちがわかる!

 メモとらないといけない。

 まあ、自動でとってくれるんだが。


 錬金術ツリーの横に修復素材リストが出てきてるんだ。そこに自動で材料と手順が書かれて行く。

 生産職面白いな。戦闘職とはちょっと違う。


 皮をなめしたり、星屑はさらにすりつぶした。乳鉢!!

 樹液にその星屑のすりつぶしたものを混ぜている。


「さあ、出来上がったわ。まずはこれを使ってどこまで修復できるか試してみましょう。それでもダメだったらもう少し入手困難な材料を採りにいかないといけなくなるわね。さすがにセツナくんじゃ無理そうだし、冒険者ギルドに依頼を出すしかなくなるかしら……」

 そんなに大変な素材なのか。


 そうして2人連れだって魔導具屋まで赴くこととなった。


ブックマーク、評価、いいねありがとうございます。

誤字脱字報告も助かります。



キーはチュートリアル中の街歩き、ですね。

実はチュートリアルが大切説。


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― 新着の感想 ―
本編と後書きに二回「キーはチュートリアル中の街歩き、ですね。」とあるが、下書きの消し忘れだろうか?
チュートリアルが入りやすいだけで通常からも入れそうなイベントがありそうなものだけどなぁ。(ただしノーヒント)
>『皮のドロップ率はいいのでガンガンやるでござるよ。ただ、強い。凍らせて確実にやりにいかないと崩壊することもあるから気をつけろ。現れるときは最低3体はいるからな』 ここ2人分のセリフが繋がっちゃってな…
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