223.古い本の修復依頼
ログインすると、メールが届いていた。
うわあああ!! 師弟メールだぁ~!!
『かなり古い本の修復依頼が来たの。勉強になると思うから行けるなら一緒に行きましょう』
ハイ喜んで!!
即返事をして貸本屋へダッシュした。もちろん、【隠密】使いますよ。
情報ギルドについては、イェーメールの貸本屋を差し出すことにした。が、まだ動画には乗せてない。言ってしまっていいものかがわからないからという理由でストップをかけている。だいたい、あるとわかったからといって何が起こるわけでもないのだ。
依頼するか、依頼されるかしないと話が始まらない。つまり、俺たちみたいになんかしらのとっかかりクエストを拾わなくてはならない。
とりあえず、イェーメールにあるとだけ情報は流しておいてもらっている。
そうしたら、関連しそうなクエストがいくつもあるらしく、そのあたりを触りに行っている人がたくさんいる。そのうち見つかるだろう。自然な流れで見つかるならそれでいいと思う。
「お待たせしました!」
「来たわね、それじゃあ行きましょうか」
今日も美しいアンジェリーナさんと連れだって歩けるなんて、幸せだ~。
ニヤニヤしないように気を引き締めているのだが、自然と顔が緩む。誰かー! 写真とってー!!
ヴァージルと歩いていると隠し撮りメンバーたくさんいるけど、アンジェリーナさんとではさすがに誰も撮っていない。今度ソーダに頼もうかな。
『今日は、わりと古くから付き合いのある商人さんからの話なの。古い文献を手に入れたとかで、鑑定と修復の依頼よ』
『古い文献とかってどこから出てくるんですか?』
『今回は貴族の方がしまい込んでいたものらしいわ。代々魔法に長けた人を輩出する家門でね、そういったことに関する文献ではないかと期待が高まっているようよ』
出入りの商人に預けて伝手をということでアンジェリーナさんの元に依頼が入ったようだ。 どこに向かうのかと思ったら、アランブレの中でも高級商店が軒を連ねるあたりだった。
……ファマルソアンの店のお隣さんです。魔導具を扱う店らしい。
「アンジェリーナさん、早速来てくださって助かります」
「こちらこそ、お声がけくださって嬉しいです。彼は私の新しい弟子、セツナです。今日は後学のために見学させてくださいな」
「ええ、構いませんよ。ただし内容に関しては秘密で願います」
「もちろん、口の堅さは保証します。ね、セツナくん」
「はいっ! 見聞きしたことは許可があるまで話しません!」
NPCからの話さないでね注意入りました。
商人さんは中年のおじさんだ。ふっくらしていて裕福ですを体現している感じ。店には大小様々な謎な物がならんでいる。片っ端から【鑑定】しようかと思ったけどやめておいた。ちょっと失礼にあたるかな~と思って。
パン屋とかなら気にしないんだが。
そして奥の部屋に通される。それほど大きくない。丸テーブルと椅子が4脚。テーブルには本が一冊置いてあった。
「それでは失礼しますね」
アンジェリーナさんが白い手袋をして、テーブルに鞄から取り出した布を敷く。その上に本を置き直し、ゆっくりとページをめくった。
「かなり、状態が悪いですね……うん、文字が読めなくなってる……1度水没でもしたのかしら?」
たまにページとページがくっついていたりもする。
「これは、状態としては最悪のレベルですね。落丁がないだけましかしら。手持ちの道具や素材じゃ修復は無理です。素材集めからになるわ」
そう言ってアンジェリーナさんは俺を見てにっこりと笑った。
俺もにっこり笑い返した。
師匠が必要というならば!! 地の果てまで採りに行く!!
そう、修復用素材集めである!!
あのあと貸本屋に戻り、採取素材の確認がおこなわれた。
一緒にとも思ったが、厳しいところにアンジェリーナさんを連れて行く気にはなれません! 俺だけなら死に戻り上等だしな。
そんなわけで、今回集める材料は3つ!
セツナ:
ホワイトウッドの樹液、ウォーターホースの皮、星屑の砂、です!
ピロリ:
星屑の砂ってあれよね、レインボーシータートルの浜辺の奥のマップ。あそこは特にアクティブいなかったはずよ。
八海山:
ホワイトウッドの樹液はちょっと大変かな。ドロップに出会うのが。ドロップの中でレアだったはずだ。もしかしたら何か採取方法があるのかもしれないな。
半蔵門線:
ウォーターホースの皮はよく出るでござるが……つおい!
セツナ:
つおい!! マジかっ!!
ソーダ:
今日は無理だけど明日クラン狩りにしてもいいぞ。同じマップに出る他のモンスターのドロップそれなりだし。
セツナ:助かるー!!
とりあえず、1人で行けるところから行くことにした。星屑の砂かな。
レインボーシータートルのマップは余裕ですいすい、行き慣れた道だ。
1人で行くと、亀マップには人があふれかえっている。やはりヴァージル特典が強いのだろう。
言われていたとおり、ぱっと見アクティブな敵はいなさそうだ。さっさと採取してしまおう。アンジェリーナさんから瓶をもらっている。【鑑定】すると、今踏みしめているのが星屑の砂らしい。星の砂ってあったよな。昔土産物屋で見た。星の砂は砂じゃないらしいが、こっちは普通に砂との結果が出ている。
そこら中が星屑の砂らしくせっせと集めた。
たまに、星屑の砂じゃなくて星の砂という、大きなものが見つかる。星屑の方は砂粒大で、形状も砂粒。しかし、星の砂は形は星形、大きさは親指の爪ほどでかなり大きい。
何か別物かなと集めていたら結構な数になった。
セツナ:
星屑の砂集めてたら星の砂もあったんですけど、これって何ですか?
半蔵門線:
あー、それは、弓職の矢の材料でござるね。星の尾エフェクトをかけるためのものでござるよ。
セツナ:
弓職の人にあげたら喜びます?
半蔵門線:
さあ、どうでござろう。現在は完全にネタ扱いされているでござるね。ただ、綺麗。
微妙ってことだな。
いいや、アランにでもあげよう。カツサンドと一緒に渡したら断れまい。
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アンジェリーナさんと修復師のお仕事回です。




