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貸本屋のお姉さんに気に入られるために俺は今日も本を読む  作者: 鈴埜


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202/362

202.オンラインでたまにあるやつ

 修復依頼が入るまではいつも通りでねと言われている。先日のはちょっとでかい仕事すぎて連れていってもらえなかったらしい。

「そろそろ図書館から定期修繕の依頼が来るから、それには連れて行くわね」

「はい!」

 お利口さんの返事をして、昼間は本を読み倒した。うん、我ながら……読了数が増えていってる。それでもさすがにまだまだ掛かるな。


 レベルを上げなければならない。そして器用さと、細剣(レイピア)のスキルのためにもう少しだけ筋力に振らねば。


 と、言うことで1人でそれなりに狩りが出来そうな場所を考えてみる……羊かな? あれなら風付与で【ひと突き】で行けそうな気がするんだよね。


 付与特有スキルだと、毛皮ズタズタになりそう。羊毛……はいいのか? どうせ巻き取ってからだもんな。とりあえず、行ってみる。牛さんよりは経験値入りそう。

 どこか、ソロ用狩り場聞いておくべきだな。昼は本屋、夜はソロ狩り、または趣味のミュス狩り。これで俺のゲームは楽しめる。たまにイベントに引っかかればそれはそれで。


 ぎょろちゃんで羊狩り場にやってきた。


「【ひと突き】」

 リンクするモンスターなのであまりに増えたらちょっと逃げることにした。今日はヴァージルと2人で来ていないから、ユーザーも何組かいる。なすりつけないよう気をつけて、1度マップから出るようにして調整してみた。

 それでも5体くらいはなんとか避けつつ一撃死させられるので、効率はなかなかのものだと思う。


 ソロ狩りの人も結構いた。


 【気配察知】で常に相手との距離を測りつつ狩りをしていると、あ……黄金羊のお出ましだ。


「ビッグゴールデンフリースだー!!」

「俺たちじゃ無理!」

「マップに何人いる!?」

 残念なことにソロ狩りの人は先ほどお帰りになられて、俺とあなたたち3人です。


「うぁー、倒せるかなぁ~」

「一緒にやってみませんか?」

 お誘いいただいたので入ることにする。

 大剣使いと、ヒーラーと片手剣だった。ただ、レベルはそれほど高くないようだ。


 前回は俺じゃ無理そうってことでヴァージルがさっくり倒したんだよね。


「最近始めたばっかりで」

「3人で狩り場巡りしてたんですよ」


 これは、綺麗に狩るのは諦めた方がいいかな?


「俺もたぶん1人じゃ無理なんですよねー。まあ、【ひと突き】」

 スキルは発動するが、……やはり無理だなぁ。致命傷にはならない。


「とりあえず底上げしましょう【風付与】」

 大剣持ちさんに風を付ける。

 片手剣さんは盾持ちなのでタンク役も兼ねているそうだ。


 黄金羊の攻撃は土系だ。地面を揺らしてこちらの体勢を崩したところに突進してくる。闘牛かのよう。

 それをタンク役が引きつけるのが基本だ。

 が、タンクが逃げてどーするのっ!? と思ったが、始めたばかりと言ってたし、まだ耐えられるだけの耐久力がないのかもしれない。


 大剣持ちがタンクが逃げたところにぶんっと振り回す。

 当たりそうで当たらない、大変惜しい攻撃だった。

「大剣のスキルとかは……」

「まだ持ってないです」

 あらら残念。風付けても当たらないんじゃなぁ。


「あの、早く倒してもらえませんか!?」

 ヒーラーさんに言われたが。無理ダヨ俺も。


「火力というか、スキルが足りないですね。諦めた方がいいかと……」

「はっ!? 金羊毛90万シェルは最低しますよね!?」

 売値は知ってるのか。


「必ず出るとは限らないし」

「でも、出ることも多いって聞きましたよ!」

 何この不安感。


「始めたばかりでお金ないんです。これは絶対に手に入れないと!!」

「でも、倒せないから無駄死にするだけじゃない?」

「貴方レベル高いですよね。倒してくださいよ」


 無茶を言う!!

 ちなみにこんなことをヒーラーさんと話している間も羊は突進してくる。

 俺はひらりと避けますが、あ、大剣さんやられとる。


「回復してあげないと死んじゃいますよ~」

「わかってます!」


 逃げたいなぁこれ。


「ねえ、強い知り合いとかいないんですか?」

「ぇーっ?」

 片手剣さんのおねだり。いるよー。いるけども、ドロップ落ちたときが面倒くさそう。


「申し訳ないけど~、俺には倒せそうにないし、諦めよ?」

「諦め切れるわけないでしょう!?」


 困ったなぁ。これ、抜けたら抜けたでなんかいちゃもんつけられそう。どう解決すべきかなぁ。


セツナ:

羊狩りしてたらビッグゴールデンフリース出て、一緒に倒そうとお誘いいただいたんだが……とうてい倒せそうな火力がないときはどうしたらよきか?


ソーダ:

撤退。


セツナ:

デスヨネー。


ピロリ:

何? どうしたの?


セツナ:

始めたばかりだそうですけど、撤退提案受け入れてくれない。

金羊毛諦めきれんそうだ。


ソーダ:

あー、初期ならいい金になるからなぁ。気持ちはわかるが。

セツナは転んだらペナ回復大変だし、抜けて帰って来いよ。


セツナ:

俺が知り合いの強い人呼んで倒せって言われた。


ソーダ:

トラブルの匂いしかしねえwww どこのおこちゃまだよwww

て、18歳以上しか出来ないゲームなのにどうしよう。


セツナ:

これ、眺めて一緒に転んでも、揉めそうだよね。


ソーダ:

しゃーねえなぁ。行くかぁ。


ピロリ:

はーい♪



 クラン(いち)のメンタルつよつよピロリさんの出動だ。



「いよっ、セツナ。勝てそう?」

「俺無理~」


 ソーダとピロリの登場。


「あ、友だち? 倒してもらえません?」

 とはヒーラーさん。さっきからヒール以外してない。それだけ大剣さんと片手剣さんやられてる。

「うーん、いいけど、ドロップは等分でいいかな?」

「えっ!? ゲーム歴長いんですよね。俺たち始めたばっかりだから金ないんで」

「やだー、助けるのに金出せって言ってるんじゃないわよ~出たドロップは等分にしようって言ってるだけ、つまり、6等分!」


 大変ご不満そうなヒーラー。


「え、あんたたちまさか、人に倒させてアイテムだけかっさらおうての!? あり得ないんですけどぉー」

 ケラケラと笑う。


「セツナ、もう抜けていいんじゃない? 技術不足提案して、撤退提案したんだろ?」

「うん。それじゃあ抜けさせてもらうね~」


 パーティー脱退したら即ソーダから愉快な仲間たちが届いた。


 すると、あちらのパーティーでどんな話がなされたのかはわからないが、彼ら、俺らを追い越して逃げて行った。

 えー。なら最初から逃げようよ。


 中途半端に怒らせた羊が突進してくる。

「おいおい……なすりつけてくんなよー【一身集中】」

「これ物陰で隠れてるのかしら?」

『倒し終わったら即帰還よ、セツナくん』

『らじゃった』


「一発じゃ倒せないのよね~私だと」

『ヴァージルパイセンも3回くらい殴ってた』

『あの化け物ステータスの人と一緒にしないでぇ……八海山いないし、セツナくん、凍らせて』


「ぎょろちゃんおいで……【フロストダイス】」


 幸運の女神により完全固まった。ピロリのスキルに合わせて俺も【ひと突き】を喰らわす。それでも倒れない! お代わり【フロストダイス】。

 3回繰り返してやっと倒れた。


『帰還するぞー』


 クランハウスへポチッとな。

 目の端に、あの3人の姿が映っていた。


 後で調べたところ、常習犯らしい。変なのに絡まれてしまった……。

ブックマーク、評価、いいねありがとうございます。

誤字脱字報告も助かります。


彼らにはまたそのうち出てきていただきましょう……


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― 新着の感想 ―
うーん運営通報して終わりでは? オンラインあるあるとは言うけど、こんなトラブル起こすやつは初回だろうがどんなゲームでもお断りで垢BAN一択だし
トレインによるMPK扱いしたら罰則狙えそうなくらいには害悪ですね〜。粘着されませんように
粘着してきそうだけどソーダたち有名配信者だから逆に晒されることに頭が回れば逃げるか。まぁそこまで考える奴はこんなトラブル起こさないけれども
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