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貸本屋のお姉さんに気に入られるために俺は今日も本を読む  作者: 鈴埜


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2.チュートリアルはミュスと共に

 俺は錆びたナイフでネズミの首根っこを突き刺し始末した。

 ネズミの形をしているが、名前はミュス。初心者ですら見向きもしない始まりのモンスターだ。

 それでも、錆びたナイフと俺のレベルだとこれが限界。

 なぜなら、まごう事なき初心者だから!


『おーい、今どこ?』

『なんか、平原でミュスとかいうネズミ狩れって言うから狩ってる』

『うそだろwww チュートリアルちゃんとやってってんのかよ! 街入って!』


 チュートリアルがあればやるだろ、普通。

 頭のおかしなやつみたいな言い方はやめて欲しい。まあ、ちょうど納品分を片付けたところなので撤収する。

 俺は立ち上がり辺りを見渡した。

 どこまでも広がる平原。地平線が見える前に青い山脈にぶつかるし、その前には林のような木々が見えた。それでも、三十分走ってもその山にはとうてい近づけそうにない。

 くるりと向きを変えると大きな城門が見える。

 俺はそちらへゆっくりと歩を進めた。


『あったまおかしいだろう! 初期じゃあるまいし、チュートリアルなんてやっても初心者装備もらえるだけだよ。掲示板チェックした?』

『なるべくそういったものは見ないで雰囲気を楽しみたい』

『まあ、ガチ勢じゃないからそれはそれで楽しいと思うけど。ほら、今のレベルでも使えるわりといい装備やるから』

『施しは受けん』

『初期装備だとチュートリアルに三日かかるぞ』

『ありがとう友よ!!』


 受け渡しウィンドからフル装備をいただいた。


『れ……セツナ。とりあえずチュートリアルで大切なのは、アナウンスかな。運営が流す討伐実績とかなんだけど、初期設定だと今オープンにされてる名前をそのまま流すことになるんだ。まあ、リリースから半年経ってるから、アナウンスにされるようなことにはならないと思うけど、変なのに粘着されたりすることがあるから、伏せるか適当な別の名前に設定しておいた方がいい。右上に歯車マークあるだろう?』


 友人のソーダに言われた通りにポチッとなする。ちなみに本名はソウタ。安直なやつめ。キャラクターは、赤い短髪に、結構な高身長。黒の胸当て? をつけている。


『アナウンス設定にあるぞ』

 

 キャラクターネームアナウンスのオンオフと、オンの下にキャラクターネームと空欄がある。

 こういったVRMMOはスタートダッシュが大切だと聞いた。つまり、セツナの名が流れることはまずないのだ。


『ふむ』


 オフは味気ないので、適当な偽名を入れておこう。隣を通った戦士風の男の名前が面白かったので打ち込む。むむ、同じ名前はそりゃダメだ。セツナも刹那では登録できなかった。†を‡にして登録してやった。


『よし、大丈夫だ』

『おっけ。ならあとは俺のクランに入れておいてやるよ』

『前作から一緒にやってる友だちか?』

『そそ。セツナのことは説明してあるし、俺がいないときにクランチャットに流してくれたら誰かしら対応してくれるから』

『初心者が入って迷惑ならないか? 初期からやっててなんかワールド上位がどうのと言っていたじゃないか。ド素人が実力者に紛れ込んでいるのはどうなんだ?』

『んー、気になるならクラン表記を消しておけばいい。PKしていなければ強制表示にならないから。そもそも初期設定、ユーザーのネームは隠れてるし』


 いいからいいからと誘ってくれるので、それならばとお言葉に甘えることにする。

 クランチャットは、こうやって対面で話す音声会話でなく、音声が自動的に文章表記に変わる。視野の左下に流れてくる。近くにいれば音声になるらしい。不思議なものだ。

 

ソーダ:

言ってたセツナだ。なんか困ってたら聞いてやって~


セツナ:

セツナです。よろしくお願いします。しばらくは街をうろうろしているつもりです。自由度がかなり高いと聞いていますので、楽しみにしております。


ピロリ:

よろしくね! 何でも聞いて!


八海山:

挨拶がビジネス入ってて(笑)

よろしくおねがいします。


『あとでたまり場に案内するよ。俺とは招待したからお互い初期フレンドに入ってるけど、フレンド申請は会ってじゃないと出来ないし』

『まだどのくらい遊べるかもわからんから、あまりペースが合わなくて迷惑は掛けたくない』

『お前、リアルもそんな感じだよなぁ。まあ、強制はしないが、これ、ゲームだからな?』

『わかってる』


 しかも、睡眠時間中に出来るVRMMOということで大流行らしい。社畜を真人間に変える!! なんて煽りCMを見た。


『んじゃ、これ。部屋のタンスを圧迫してたポーションとニンジン。なぜかニンジンは生で囓ってもそれなりの回復量あるから。チュートリアル続けるか? 俺に養殖される?』


 高レベル者とパーティーを組んでレベル20までならぐんと上がるらしい。それ以降はレベル差10までしかパーティー内での経験値配分がされない。

 後続者をある程度の狩り場まで連れて行けるようにするための運営からのプレゼントらしい。他にも、簡単にレベル上げできるクエストも、最初の街に多数用意しているという。


『いや、せっかくだから最初はこの世界を楽しむよ』

『あいよ! まあ気をつけて』


 ソーダと別れて先ほどのミュスを納品に行く。目指すは冒険者ギルドだ。


 ここは首都アランブレ。ゲートが開きこの世界にやってきた冒険者を受け入れる土地だ。

 あるとき突然、この世界【ラングドラシル】に別の世界とのゲートが繋がった。【ラングドラシル】において、これは度々起こることだ。ゲートからやってくる者たちの性質によっては、そのゲートを封鎖することもある。が、今回我々は友好的に迎え入れられ、こちらでも活動することが出来ることとなった。

 こちらの世界に足を踏み入れたことにより、こちらの世界の理に縛られる。

 さあ、冒険者となり、【ラングドラシル】を遊び尽くせ!


 と言うコンセプトらしい。

 最初にキャラクターを作り、見習い冒険者として冒険ギルドでこの世界の過ごし方を学ぶのだ。

 キャラクターはあまり現実離れしていると自分が困るなと思い、黒髪黒目の短髪のヒューマンタイプ男性を選んだ。髪の色や目の色、肌の色、本当に事細かく設定できるので、このキャラクター作りで帰って来られなくなる勢もいるらしいとソーダが笑っていた。


 種族が他にもドワーフ(小人族)、エルフ(耳長族)、獣人(犬猫ロバと鶏色々ある)そしてヒューマン(人族)タイプがある。

 それぞれの種族で向いている職業があるらしいが、そこまでステータスに影響はないらしく、あまり気にしないで良いとのことだった。

 ちょっとイケメンにしておいた。

 ゲートを出ると強制的に冒険ギルドに連れて行かれた。そこで見習い冒険者としてIDを発行する。

 そして、チュートリアルを受けるかどうか聞かれたのだ。


 さあ、それじゃあ冒険ギルドに戻るとしよう。

ブックマーク、評価、いいねをしていただけると嬉しいです。


文字チャット……脳内で思ってることが文字になる感じかなァと勝手に思ってます。あとからも見られるやつ。

たぶん会話も音声にもなり、文字にもなってるんじゃないかなっっ!!


そこら辺はゆるっと。

設定は書きながら作っていく派の書き手です。よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
>>施しは受けん >>ありがとう友よ!! 手のひらクルクル〜 アナウンス設定で隣に通ったプレイヤーの名前を入力するとは、悪鬼羅刹もドン引くよ。
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