198.教えを請う
種めちゃくちゃ集まった。その数500以上。オーク多い。
カササギの橋が掛かった後も、カササギは折れるらしく、ただし、今度は10羽で1羽分になった。【限定】とあったので、期間ギリギリまでカササギ集めがされた。つまりローレンガが激重祭りは続いている。そうすると俺に付与依頼も来るのだが、俺だって、本読みたいし!! てことで、付与屋開くのを夜にしました。昼間好きなだけアンジェリーナさんのところで本を読み、日が暮れてきたらイェーメールへ移動。付与屋開店。
俺のストレージ圧迫が怖くなったところで路線変更。付与1回につき、紙と糸を1セット引き換え。引き換えたものはクランメンバーが折る。そしてカササギとして旅立ってもらう。
空に放った人でカウントされるので、みんなに折ってもらってる間に俺が付与するって寸法だ。
おかげで移動アイテムできた。困った時には頼ろう。ウロブルからローレンガがちょっと怖いんだよね、ぎょろちゃんがやられそうで。ただ、下道を1人で歩く自信は皆無!!
さて、先日戦士ギルドで、細剣のスキルを知っていそうな人はと聞いたところ、貴族に知り合いがいるならそちらを頼る方がいいだろうというお話。
ヴァージル貴族だけど聖騎士で実家を一応離れて暮らしてるからな。それにヴァージルが、細剣得意な人は、って考え込んでたから、ヴァージル本人が教えてくれようというわけではなさそうだった。
そうなるとフレンド欄を見たり、考えたりで2択となる。
【鑑定】を手に入れるとき、お嬢さんからのフレンドを断ってフレンドになった騎士のハロルドさん。
または、何かあれば相談しなさいと言っていたウロブルのヴィランウェバ元伯爵、モーゼスさん。
悩むなこの2択。どうしよっかなぁ。
モーゼスさんの何でも相談は、やっぱりここぞと言うとこにとっておきたいな。
ということでアランブレのハロルドさんへハトメールだ。
え、お貴族様に本気のメールどうやって出せばいいんだろう。ヴァージルへ気楽にぽいっと出せていた分固まる。
急なお手紙を失礼いたします。
先日お世話になったセツナと申します。
このたび細剣を作りまして、今は鍛錬の毎日です。
そこで大変不躾なお願いなのですが、細剣のスキルに詳しい方を紹介していただけないでしょうか? また、もし紹介していただけるのならお礼はどのようなものが良いでしょうか?
俺にできる最大の丁寧なお手紙送りました。
しばらく本を読んでいると、お返事が来た。
『貴族門へ話を通しておくので、屋敷に来てもらいたい』
簡潔なお返事だがこれはすぐ行った方がいいね。
「用事の時間になってしまったので返却します。この読み切れていない分は貸し出しでもいいですか?」
「もちろん」
そう言って貸し出し手続きをしてくれる。
「セツナくんは、本当に本が好きなのね」
アンジェリーナさんがぽつりとつぶやいた。
「面白いですからね」
1番好きなのはアンジェリーナさんですっ!
「熱心に読んで、本当に、この店の本全部読み尽くされちゃいそうだわ」
「アンジェリーナさんがラインナップをたまに変えてくれるので、全部読み尽くすのはかなり先になりそうです」
俺の返事に彼女はにこりと笑った。
極上の笑みに久しぶりにログアウト通告来た!! 危ない危ない。ハロルドさんと約束してるんで。
貴族門で、騎士のハロルド様から連絡は入っているでしょうか? と名乗ると、すんなり通してくれた。お屋敷に辿り着けば屋敷の裏へと案内される。イェーメールの聖騎士たちのような広い訓練場ではないが、小規模体育館、武道場みたいな感じでスペースが取られていた。
俺の姿を見つけたハロルドが手を振る。
さささと駆け寄り頭を下げた。
「無理なお願いをしてすみません」
「いや、イコルム子爵様より、助けられることは助けてやるよう言われている」
他にも騎士らしき人たちが木の剣を持って打ち合っている。
その中に、かなり小さな少年がいた。10歳にもなっていなさそうな、小さな男の子だ。
「我々護衛はどうしても細剣よりも長剣を使う者が多くてね。だが、貴族の方々は別だ。彼らは細剣を使う。そうすると、教える者も必要になる」
おお、てことはこの少年……。
「イコルム子爵様のご長男でいらっしゃる」
「ジュリアスです。姉の窮地を救ってくださったと聞いております」
「たまたま行き会ったのですが、お怪我がなくてよかったです」
なんて返せばいいかっ! 小学生男子がめちゃめちゃ賢そうにしゃべっているって感じだよ。
「ジュリアス様の教師役として私が細剣を教えている。よかったらセツナ殿も一緒に学ぶといい」
いやったああ!!!
「是非お願いします!」
お礼はと聞いたが、今お礼をしているのだと断られました。今度カツサンド持ってくるか……いや、資金稼ぎがてらレインボータートルエッグ狩りに行った時に無属性出たら、付与剣用にプレゼントしよっかな。
またもやヴァージル頼りになるが、修繕費を稼いでおかないとなとこの間も言われたので甘えることにする。
そこからはみっちり通った。リアルの方のネット動画で見た、細剣の戦い方がその通りで、基本、突く。絡め取りいなしたのち、突く。対人だと、手元や、真っ直ぐ対面すると細剣の先が見えにくくなることから、目や喉元を狙ったりする。
「貴族は対人が基本だ。決闘時などに、な。武器を持てなくなればこちらの勝ちだ。ただ、セツナ殿は来訪者で冒険者だ。魔物に対することが多くなると思う。そうなると、スキルが重要となる」
そう言って2度目の来訪時にハロルドは1度建物に戻り剣を携えてきた。
ふ、付与剣、しかも細剣だ!!! 大当たり!
「ハロルド卿は優秀な細剣の使い手なのです。余所の家門にも講師として出向くことがあるのですよ」
ジュリアス坊ちゃんがとても自慢げだ。
「まずは付与なしで、通常のスキルをお教えしよう」
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レイピア修行始まりました〜




