197.七夕のカササギさん
いやはや、先日のオリオンクエストは面白かった。単体に対してのぎょろちゃんの強さが明るみになった。【フロストダイス】はいいスキルだな。
そして本日7月7日。ソーダから何かあるかもしれないと言われていたが、公式からの発表来ました。
ゲーム内で公式通知を受け取るチェック入れるよう指導が入ったので、チェック入れたら、0時になると同時に案内が来た。
《期間限定クエスト:織姫様の愛の橋渡し が始まります》
ソーダ:
クエストやるか~!
ピロリ:
はーい! うーん、カササギを折る??
『織姫様の愛の橋渡し』の部分から、公式ページに飛ぶことが出来た。
~彦星は年に1度の逢瀬を胸に、日々真面目に仕事に取り組んでいた~
織姫も日々真面目に……彼女の仕事は機織り。毎日毎日ぎっこんばったん。彼女は飽きていた。彦星との楽しい日々を思い出してはため息を吐く。自然と、織物のできあがりが遅くなる。
「彦星様は真面目に取り組んでらっしゃるのに」
「織姫は毎年毎年納期破り」
「そのくせ雨の日は我らを踏みつけ真っ先に駆け出す」
「彦星様は実直なお方でいらっしゃるが」
「織姫は反省などしていない」
「神様に言われて従っていたがもう我慢ならん」
「あのような女の足蹴にされるのはまっぴらだ!」
織姫の不真面目さに、カササギたちはボイコット。しかし今年の七夕もまた、雨のようだ。
「年に1度会えることを楽しみにしてたのに!! ひどいっ!!」
織姫はあまりなことだと泣きわめく。
「カササギの代わりを用意して!!」
神様に内緒で、織姫は下級役人たちにそう告げた。
織姫様のためにカササギを折ろう!
材料は、紙の原料となるコウゾの樹皮。それをローレンガの紙職人に渡すと和紙にしてもらえる。
さらに、特別な紙にしなければ飛ばない!
材料を集めて付与師に付与してもらおう。NPCの付与師がローレンガに期間限定で現れる。
材料は飛び蜘蛛の糸。
~さあ、織姫様のために、カササギを準備するのだ!~
セツナ:
準備する価値あります? この女に。
半蔵門線:
www
八海山:
イベントの報酬は当たり外れあるが、まあ、お祭りだから。
柚子:
せっちゃん大人気企画じゃないか。付与師がいくらとるか調べて同じだけ言ってやればいいのじゃよ。せっちゃん金儲け企画と思え!!
案山子:
タダだとしても、ローレンガチャンネル分けしても重くなるから、始まりの平原で店開いたらみんな来るよッ!!
ソーダ:
コウゾの樹皮と、蜘蛛の糸、係分けるか?
あーセツナよ……金出すから付与してくださいって深淵から連絡入ってます。
ピロリ:
人が集中しすぎるとチャンネル足りなくて制限入るしね~
セツナ:
まあいいけど。
お祭りなら参加するかなぁ。オリオンで色々助けてもらってたし。
俺は蜘蛛の糸を採りに行くことになった。樹皮の方が狂暴ってどういうことだろ?
『今日の俺はッ!! 役立たずッ!!』
『だから生け贄になってもらってるんだよ』
八海山の言葉が怖い。
飛び蜘蛛の糸の取り方は至って簡単。巣を張っている飛び蜘蛛を始末して、その巣の糸をもらってくるらしい。たまに蜘蛛本体からもドロップする。
飛び蜘蛛は、空を飛びながらいくつも張ってある巣を巡回する。餌が引っかかっていると、巣に降りてくるらしい。蜘蛛を始末しないで巣だけ回収してもいいが、主が生きている巣は糸の粘着力が魔力で高めてあり、切り取り辛い。蜘蛛を始末してからが基本だという。糸として優秀で、服飾系では必須のアイテムだとか。
それが今回付与の材料となる。
『俺の火魔法だと、糸燃えちゃうから、セツナっちファイトッ!!』
風付与剣で対応する。
案山子は低い位置の蜘蛛の巣にべったりくっついていた。そして忍び寄る【気配察知】。
『来ましたね』
右上の方から忍び寄る蜘蛛さん。実はぎょろちゃんもスタンバっております。ぎょろちゃんがいたら出て来ないかもしれないと思いつつ、確実なのはこっちだったので試してみることにしたのだ。
「【フロストダイス】」
手のひらに出したサイコロをぎょろちゃんが食べて投げる。
素晴らしいぎょろちゃん! 5×5、25秒だ。
「【ひと突き】」
弱点をぶすっとやると、一発で終わり。粘度が下がったせいか、案山子がころんと巣から転げ落ちた。
『さ、糸を集めよう』
何度か同じことを繰り返し、付与のそのまま使う触媒を手に入れた。ちなみにこれは今回のみの触媒のようだ。
ソーダたちも順調のようで、紙を職人に渡したそうだ。1時間ほど掛かるという。
そして流れるアナウンス。
《Marchサーバー カササギ 10/100000》
「10万かぁ……」
「すぐ行きそうな気もするけどねッ!」
「期間限定といえども1週間だからな」
「こういった特別モンスターのいないクエストは、参加出来なかったとかもめることもあるから、最低3日くらいはかけるのが普通なんだよね。とはいえ、やはり始まり、1日目の参加がほとんどだから、今日中に7万くらいはクリアしておきたいところだな」
ちなみに期間はリアル時間1週間。
仕方ない。今日は付与職人になる。
というのも、モヤシラからも個人チャット来ていた。ローレンガ激重らしい。紙はどうにもできないが、付与だけなら別に材料を持ってきたらOKということにした。とりあえずは知り合いから。
ソーダたちと公式にあった通り折る。カササギ。むずかし……くっ……鶴の折り方もすぐ忘れる俺にとって、折り紙は難関っっ!!
「個数でとかはないだろうけどね」
一応1人10羽折ってみた。折ったものをぽいと空に向かって投げると羽ばたいていくのだ。
「ロジックからも付与要請きてるけどどうする?」
「んー、クランハウスは迷惑か? イェーメール出てすぐのマップで付与屋開店する。すぐ来てもらえばしばらくは気付かれないだろ。他の人に」
と思ったがすぐバレた。
ソーダ曰く、スレにたれ込みが入ったそうです。やめてよー。
イェーメールからファンルーアに行くマップのすみっこの方でひっそり【ブランチウィップ】して待ってた。アクティブモンスターいないから目印的な?
あと、付与のお代はできれば種でということに。
へへ、種集めしてやるぜっ!!
ランカークランたちからは見たことのない種を山盛りいただきました。モヤシラも、種を持ってきたら知り合いからも受けるよと言ったら、対価があるのがよかったのか遠慮無くたくさん来た。
種集め大変そうだったからちょうどいい。
その日はログアウトするまで付与に明け暮れる。
この付与、普段のとは違ってMP1しか使わないのだ。ありがたい。いつも通りだったら自分たちのにもできなかったやつね。
八海山の三日ぐらいかけての言葉通り、3日目にアナウンスが来る。
《カササギの橋が完成し、織姫と彦星は年に一度の逢瀬を叶えることができた》
そして手に入ったのは、10羽のカササギ。【鑑定】すると、1羽放てば好きな行ったことのある冒険者ギルドに移動、というものだった。おー、帰還用アイテム! 『移動用カササギ【限定】』というものでした。
これから遠くの街が解放されたときとかにはいいかもしれない。大事にとっておこう。
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誤字脱字報告も助かります。
織姫書こうとするとなーーんかヒスってくるんで困った。
種集め捗り企画でした。




