195.フロストダイス大活躍
「これなら確かに3拠点おさえられそうだね。クリティカルダイス職人いるらしいけど、こういった場面でめちゃくちゃ光るね~数の暴力に弱いけど」
「単体にしか効かないですからね」
「それがさ、熟練度が上がると範囲攻撃になるかもってダイススレで話が出てた。ソースはないらしい」
「なったら、めちゃくちゃ楽しいですけどね」
ぎょろちゃん無敵になっちゃう。
「無防備からの最大火力最高だね」
「普通2拠点行けるかどうかってところだから。1拠点に最低8人欲しいって言われるクエストなんだ」
スレを読まない俺に、みんなが優しくレクチャーしてくれる。
「今回スレで最終55人でしょ? ロジカルのところは入ってなかったし。2、4、5、11、13に火力集めて、最低5はクリアしようって試みみたいだったけど、【フロストダイス】さまさまだねー!」
「ぎょろちゃんさまさまです」
「メタリックカメレオン羨ましいっ!!」
拠点10に到着したとき町防衛率が52%だった。すぐ凍らせてあとはボコボコ中。
11と5拠点がオリオンを2人ずつ倒せたので、計10拠点。及第点のようだ。
騎獣もあるので、2と4と13は倒せる算段がついた時点で11と5に人を寄せていた。そのタイミングなどが勝機を分けるらしい。俺たちが予想外だったそう。騎獣出せたからね!
《巨人オリオンを10体倒しました》
《残ったオリオンたちがリトル・オリンポスに集結します》
アナウンスが響く。
ソーダ:
セツナ! そこ退治早いのなんで!?
セツナ:
俺の【フロストダイス】とぎょろちゃんのおかげ。
ソーダ:
あー、無防備への魔法か。
セツナ:
魔法使いさん、風ではトップ5らしいですよ。
ソーダ:
知ってる。ちょいまってろ。
『えー、と初見さんが数名いるらしいので移動しながら一応流れ説明します~』
《巨人オリオンの横暴な振る舞いに激怒したヘーラー。とうとうオリオンを倒すべく、彼の元へ刺客を向かわせる》
《拠点1に大サソリが出現しました》
《ミッション! 大サソリをオリオンの元へ誘導せよ! 大サソリの進路を妨害する者たちを退けよ》
『来ましたね、アナウンス。みんな拠点1に向かってください。中央は避けて移動で。今のオリオン妨害したら死にますよ〜』
この出現場所はランダムで、今回はたまたま1だったそう。遠いなあ。
「これ、中央突っ切ったらダメなの?」
「そこには合体オリオンがいるから通ろうとしたら殺される」
ということでぐるっと空の旅だ。
というか付与師として働いてないなこれ。
『サソリの天敵、大イタチ、大グモ、大蛇をサソリに近づかせないよう。コオロギ、バッタを捕まえて目の前のにんじんにしてやってください。投網持ち挙手』
猫じゃらしの呼びかけに3人上がる。
道中コオロギとバッタを見つけたら引きずって目の前に出すらしい。
『3人で順番決めて、コオロギバッタの位置確認を。そちらは任せます』
投網もずっと捕まえてはいられないらしい。
『セツナっち! 合流よろ~~~』
案山子からフレンドチャットが届く。
『まだついてないです』
ソーダ:
セツナ、案山子と猫じゃらしのところに行って。合流してくれ。そこで指示あるから。
「なんか、合流要請きたので行きますね」
「【フロストダイス】活用するんだろうね。楽しかったわ~またねー!」
「3体倒しは記録ものだね、ありがとう」
「気をつけて」
3人とはお別れ。案山子から指示のあった方へ向かうと、背の高い青髪エルフがぴょこぴょこ跳ねていた。
拠点の町の真ん中に、ドンッと大きく構えたサソリ。尻尾の毒針がぐいんと反っている。
実際は刺されるのが怖いが、こうやって多少デフォルメされた感じでいるのはなかなかかっこいい。
それが全身の関節からなんか湯気出している。
メカ?
とにかく出撃準備は完璧のようだ。
「セツナっちお疲れ~! ダイスいつ覚えてたのッ!?」
「昨日柚子さんと……ヴァージルにしこたま怒られる結果になりましたけど」
「あのイケメンまで巻き込んだのッw」
案山子の隣には茶髪の猫耳少年が。あー、アリダンジョンの時会ってるね。よし、これで顔を覚えた!
「セツナさん、貴方の役目は合体オリオンの足止めです」
「でも、中央は殺されるって」
「サソリが半分進んだら大丈夫ですよ。そのあと足止め。またもやリトル・オリンポスの耐久が50%を切ったら負けなので」
そこは同じパターンのようだ。
「サソリの誘導が毎度毎度難しくて、結構50%越えるのが早いんですよ。オリオンの弱体化はできましたし、50%以下で倒せばオリオン座の宝珠です! 筋力+10、命中+10の素晴らしい宝珠になります。失敗するとどんどんランクが下がっていきますから、なんとしても50%前にやりましょう!!」
筋力上がるのは嬉しいな。
《大サソリ進行開始まで 3:00》
「始まりますね。これ、騎獣で集まるのが早いのもいいな。なんだかんだでみんな持っているしね」
同時に俺の【気配察知】さんが働く! 三方に大きな陰影がサソリの後方と左右に出現した。いや、【気配察知】関係なかったわ。めちゃくちゃでかい。5階建てマンションゆうに超える。
「大蛇とか、大グモはまあ、想定内だけど、大イタチはなんというか……可愛い……」
「フェレット系ですからね。可愛いです。小型犬も食べちゃうらしいので可愛くないですけど。一応一般的には害獣の範囲に入ってしまいますね。捕獲しちゃだめだし、厄介です」
イタチ博士おるー。
結局参加人数は61人だったそう。
「で、サソリ半分進むまで【フロストダイス】で大蛇の足止めしてもらえませんか? その間にクモとイタチを始末しようかと。これ、三匹とも始末するとまたそれはそれでサソリが好きな方に行くので、蛇と餌で誘導します」
「了解だけど……」
「セツナくーん!!! 俺イタチ係になったから火付与ちょうだい」
「MPなくなっちゃうかなぁ~」
ダインさん登場。付与のセリフに周囲がざわつく。でも俺のMPは付与3回分で終了だから、そうホイホイできないんたよ。付与、本当にMP使うんだよなぁ~。
「そうしたら、セツナっちと俺一緒に行動しようかなッ!」
魔法使いによる潤沢なMPの供給はありがたい。
このクモには水が効くらしいので、大クモ係の人が水を欲しがる。
「あ、付与1回につき3万シェルな~。材料集めの手間と、錬金費用考えたらそれでも安いくらいだぞ」
ダインの言葉に付与希望者は取引ウィンドウを開いてくる。
お気遣いありがたい。使う属性がわりと偏るからなぁ……。
MPの供給を受けつつ、ギリギリまで付与して俺も大蛇の前に。
「【フロストダイス】」
ぎょろちゃん、大活躍だね!
ブックマーク、評価、いいねありがとうございます。
誤字脱字報告も助かります。
セツナくんはぎょろちゃんとともに生きていくことを誓います!!




