185.レイピアスキル模索中
細剣代と、お礼のご飯を置いて、クランハウスに戻る。早速試したいのだが、まだ俺には細剣用属性スキルが出ていないのだ。
適当な相手で何か出ないかなと思っているが、刺して倒すというこの武器、どう扱っていいのかわからないのが現状。
わからないことは、調べるのだ。
「こんにちは~」
「いらっしゃいセツナくん」
この間めちゃくちゃ怒られたけど、俺はあれで、愛を確認したと思ってます。
「細剣に関する本ってありますか?」
「細剣?」
「はい、実は、付与武器作りました」
じゃーんと腰の武器を見せる。ソードベルトも一緒にくれたんだよね、ローロさん。ありがてえ。短剣用のはソーダがくれたけど、細剣はまたちょっと違った。
「まあ! おめでとう。付与師ね……まだ付与はしていないようね」
「えっ、わかるんですか?」
「ほら、そこのタートルエッグ。透明でしょう? 1番最初に付与したときに、貴方の色に染まるのよ。セツナくんの色は何色でしょうね」
そういえば、ヴァージルの剣も瞳の色の石が嵌まってた。あれ、もらった剣って言ってたけど、もともと付与剣だったのか? 単にかっこいいからレインボータートルエッグが嵌まっているのかと思ってたよ!
細剣の本をいくつか借りて、俺は席に座って読むことにした。
細剣の基本的な戦い方が書かれている。突き、刺し、系が基本。これはネットで調べたのと変わらない。
たぶん、付与固有スキルはこの間ヴァージルが見せてくれた【青嵐】とかになるのだろう。属性を乗せて、普通の細剣用スキルを使っても多少威力は上がりそう。
うむ、これはお代わりが激しいところで突き刺し続けるべきだ。
セツナ:
突き刺し無限練習狩り場募集
ソーダ:
突き刺し?
セツナ:
細剣が出来上がった!
八海山:
おめでとう。半蔵門線の方がいい狩り場を知ってそうだが、レッドマンティスは切る方だからなあ。
半蔵門線:
呼ばれて飛び出たでござる~。
突き刺しならすこーし危険でござるがスイカ市場がいいでござるよ。
セツナ:
スイカ市場……?
ソーダ:
あー、あそこな。いいよ、連れてくよ。場所説明面倒だし。
八海山:
なら帰還しよう。
そこ2人一緒に狩りだったようだ。
ピロリ:
スイカ市場なら私も行く~!
セツナくんの武器も見てみたいし!
クランハウスに集合、からの、ローレンガへ行き、騎獣で戻ることになった。
スイカ市場というのは狩り場の名前で、マップにウォーターメロン、つまり、スイカが繁茂している。このスイカがなかなか硬く、それを投げてくる敵がいるのだ。スローイングモンキーというまたそのままの名前のサルなのだが、とにかくスイカが堅く、当たるとダメージがでかい。
それをピロリは拳で破壊。
剣士じゃないんだよな、やってることが。
俺は、細剣で中央をすっと刺す。勢いを回転して殺し、そして押し返すようにして飛ばすのだ。これが、本当に中央を刺していないと上手く飛ばない。
細剣専用スキル出しマップなのだと半蔵門線が説明してくれた。
『投げ返すのは良いわね。お猿さんも戸惑ってるわ』
マップの中に数が多いわけじゃない。ただ、スイカの当たり所が悪いと逝く。
『あのサルを倒すにはどうするんですか?』
『こっちもスイカを【投擲】して倒すの。だけど、セツナくんはスキル出すために来てるから、2匹目が来ない限りあいつに延々投げ続けてもらうのよ』
サルからしたら恐怖だろうな。
何もしてこない冒険者。戸惑いと恐れ。
しかしおかげさまでスキルが生まれました。
【突き刺し】。まんまだ。
「【突き刺し】」
スキル発動すると、すっと細剣が入っていく感覚がある。これで急所つくやつだな。剣の【ひと突き】と違うのは、あっちはパワーを乗せる感じ。こちらは確実に急所を突く感じ。
今までは一生懸命狙っていたけど、スキルで、狙いを定めなくても、1番良いところに吸い込まれる。
『じゃあ次コーチン狩りいこうぜ』
『コーチン?』
『鶏。俺らの中だと今のところ1番美味しい鶏肉』
『案山子に親子丼作ってもらいましょ~』
散々もてあそばれたサルを放置して次の狩り場へ移動するらしい。ありがとうお猿さん。
コーチンは羽根の色が薄茶の鶏だが、大きさが予想の2倍くらい。たくさんお肉がとれそうな姿をしている。
新しい物は即【鑑定】。おかげさまで熟練度が上がってる。監禁鍵鑑定が功を奏しているのだ。
そして、【鑑定】熟練度が上がると、なんと、急所を教えてくれます。真正面の胸のあたりだった。
『よし、付与するぞっ!』
風の花と貝を合わせた、細剣用触媒を取り出す。
「【風付与】」
ふっと吹きかけると、透明だったレインボータートルエッグが光った。
《付与師の資格を得ました》
おお!? と喜んでさらに、
「おおおおえええーっっっ!!」
なんと石の色、ヴァージルとおんなじ緑になった……。えぇぇぇぇ……。俺はアンジェリーナさん色に染まりたかったのに。つまり、黒!!
思い通りにいかないな。
『綺麗な色ね』
『付与師になった』
『それは……専用武器持って、石に色ついたところでなんだな。おお……新職おめでとうございます』
『うーん。まあ、情報流しはお任せで』
『新職ラッシュだな。他にもいくつか見つかりそうだって話が出てるしな』
『1番最初になった人に特典あるわけでもなさそうだから、スレでも意見交換盛んですもんね』
新職スレも出来ているようだ。
風でひたすら突いていたが、確かに一撃で始末できるが、新しいスキルはなかなか思いつかない。
で、この間のヴァージルを思い浮かべてやってみることにした。
「【青嵐】」
何度も突く動作。それが、己の意思外で働く。
前方にいた3匹の鳥さんの惨殺死体が出来上がった。
『おおっ!? 思いついた?』
『いや、前にヴァージルに見せてもらったの真似した』
固有スキル、見て盗むタイプだったようだ。
『思いつくのも多いけど、付与はわからないな』
『アンジェリーナさんの貸本屋にはなかったんだよな~。他の都市も探してみないと。図書館も、かなり限定情報だから聞いてみたら出てくるかもしれないし』
『まあ、付与剣最初だから人に聞くわけにいかないしなあ。スレに情報出たら流してやるよ』
付与がオワコンと思われて!付与剣作ってる人いなかったんだって!
『うん、ありがとう』
次の目標は細剣のスキル集めだな!
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誤字脱字報告も助かります。
付与剣を装備して、初めて付与をすると付与師の資格を得ます。
別に付与するのは資格がなくても出来ます。付与師になると、知力と筋力プラス。




