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貸本屋のお姉さんに気に入られるために俺は今日も本を読む  作者: 鈴埜


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185/362

185.レイピアスキル模索中

 細剣(レイピア)代と、お礼のご飯を置いて、クランハウスに戻る。早速試したいのだが、まだ俺には細剣(レイピア)用属性スキルが出ていないのだ。

 適当な相手で何か出ないかなと思っているが、刺して倒すというこの武器、どう扱っていいのかわからないのが現状。


 わからないことは、調べるのだ。


「こんにちは~」

「いらっしゃいセツナくん」

 この間めちゃくちゃ怒られたけど、俺はあれで、愛を確認したと思ってます。


細剣(レイピア)に関する本ってありますか?」

細剣(レイピア)?」

「はい、実は、付与武器作りました」

 じゃーんと腰の武器を見せる。ソードベルトも一緒にくれたんだよね、ローロさん。ありがてえ。短剣用のはソーダがくれたけど、細剣(レイピア)はまたちょっと違った。


「まあ! おめでとう。付与師ね……まだ付与はしていないようね」

「えっ、わかるんですか?」

「ほら、そこのタートルエッグ。透明でしょう? 1番最初に付与したときに、貴方の色に染まるのよ。セツナくんの色は何色でしょうね」

 そういえば、ヴァージルの剣も瞳の色の石が嵌まってた。あれ、もらった剣って言ってたけど、もともと付与剣だったのか? 単にかっこいいからレインボータートルエッグが嵌まっているのかと思ってたよ!


 細剣(レイピア)の本をいくつか借りて、俺は席に座って読むことにした。

 細剣(レイピア)の基本的な戦い方が書かれている。突き、刺し、系が基本。これはネットで調べたのと変わらない。

 

 たぶん、付与固有スキルはこの間ヴァージルが見せてくれた【青嵐】とかになるのだろう。属性を乗せて、普通の細剣(レイピア)用スキルを使っても多少威力は上がりそう。

 うむ、これはお代わりが激しいところで突き刺し続けるべきだ。



セツナ:

突き刺し無限練習狩り場募集


ソーダ:

突き刺し?


セツナ:

細剣(レイピア)が出来上がった!


八海山:

おめでとう。半蔵門線の方がいい狩り場を知ってそうだが、レッドマンティスは切る方だからなあ。


半蔵門線:

呼ばれて飛び出たでござる~。

突き刺しならすこーし危険でござるがスイカ市場がいいでござるよ。


セツナ:

スイカ市場……?


ソーダ:

あー、あそこな。いいよ、連れてくよ。場所説明面倒だし。


八海山:

なら帰還しよう。


 そこ2人一緒に狩りだったようだ。


ピロリ:

スイカ市場なら私も行く~!

セツナくんの武器も見てみたいし!



 クランハウスに集合、からの、ローレンガへ行き、騎獣で戻ることになった。


 スイカ市場というのは狩り場の名前で、マップにウォーターメロン、つまり、スイカが繁茂している。このスイカがなかなか硬く、それを投げてくる敵がいるのだ。スローイングモンキーというまたそのままの名前のサルなのだが、とにかくスイカが堅く、当たるとダメージがでかい。

 それをピロリは拳で破壊。

 剣士じゃないんだよな、やってることが。


 俺は、細剣(レイピア)で中央をすっと刺す。勢いを回転して殺し、そして押し返すようにして飛ばすのだ。これが、本当に中央を刺していないと上手く飛ばない。

 細剣(レイピア)専用スキル出しマップなのだと半蔵門線が説明してくれた。


『投げ返すのは良いわね。お猿さんも戸惑ってるわ』

 マップの中に数が多いわけじゃない。ただ、スイカの当たり所が悪いと逝く。


『あのサルを倒すにはどうするんですか?』

『こっちもスイカを【投擲】して倒すの。だけど、セツナくんはスキル出すために来てるから、2匹目が来ない限りあいつに延々投げ続けてもらうのよ』


 サルからしたら恐怖だろうな。

 何もしてこない冒険者。戸惑いと恐れ。


 しかしおかげさまでスキルが生まれました。

 【突き刺し】。まんまだ。


「【突き刺し】」

 スキル発動すると、すっと細剣(レイピア)が入っていく感覚がある。これで急所つくやつだな。剣の【ひと突き】と違うのは、あっちはパワーを乗せる感じ。こちらは確実に急所を突く感じ。

 今までは一生懸命狙っていたけど、スキルで、狙いを定めなくても、1番良いところに吸い込まれる。


『じゃあ次コーチン狩りいこうぜ』

『コーチン?』

『鶏。俺らの中だと今のところ1番美味しい鶏肉』

『案山子に親子丼作ってもらいましょ~』


 散々もてあそばれたサルを放置して次の狩り場へ移動するらしい。ありがとうお猿さん。


 コーチンは羽根の色が薄茶の鶏だが、大きさが予想の2倍くらい。たくさんお肉がとれそうな姿をしている。

 新しい物は即【鑑定】。おかげさまで熟練度が上がってる。監禁鍵鑑定が功を奏しているのだ。

 そして、【鑑定】熟練度が上がると、なんと、急所を教えてくれます。真正面の胸のあたりだった。


『よし、付与するぞっ!』

 風の花と貝を合わせた、細剣(レイピア)用触媒を取り出す。

「【風付与】」

 ふっと吹きかけると、透明だったレインボータートルエッグが光った。


《付与師の資格を得ました》


 おお!? と喜んでさらに、


「おおおおえええーっっっ!!」


 なんと石の色、ヴァージルとおんなじ緑になった……。えぇぇぇぇ……。俺はアンジェリーナさん色に染まりたかったのに。つまり、黒!!

 思い通りにいかないな。


『綺麗な色ね』

『付与師になった』

『それは……専用武器持って、石に色ついたところでなんだな。おお……新職おめでとうございます』

『うーん。まあ、情報流しはお任せで』

『新職ラッシュだな。他にもいくつか見つかりそうだって話が出てるしな』

『1番最初になった人に特典あるわけでもなさそうだから、スレでも意見交換盛んですもんね』


 新職スレも出来ているようだ。


 風でひたすら突いていたが、確かに一撃で始末できるが、新しいスキルはなかなか思いつかない。

 で、この間のヴァージルを思い浮かべてやってみることにした。


「【青嵐】」

 何度も突く動作。それが、己の意思外で働く。

 前方にいた3匹の鳥さんの惨殺死体が出来上がった。


『おおっ!? 思いついた?』

『いや、前にヴァージルに見せてもらったの真似した』

 固有スキル、見て盗むタイプだったようだ。


『思いつくのも多いけど、付与はわからないな』

『アンジェリーナさんの貸本屋にはなかったんだよな~。他の都市も探してみないと。図書館も、かなり限定情報だから聞いてみたら出てくるかもしれないし』

『まあ、付与剣最初だから人に聞くわけにいかないしなあ。スレに情報出たら流してやるよ』

 付与がオワコンと思われて!付与剣作ってる人いなかったんだって!


『うん、ありがとう』

 次の目標は細剣(レイピア)のスキル集めだな!

 

ブックマーク、評価、いいねありがとうございます。

誤字脱字報告も助かります。


付与剣を装備して、初めて付与をすると付与師の資格を得ます。

別に付与するのは資格がなくても出来ます。付与師になると、知力と筋力プラス。

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― 新着の感想 ―
双子座の影響もあるのかな?
お揃いなのヴァージルは喜びそうなのが草。その時の様子を録画して流せばファンスレが荒ぶるのが確定してるので更に草増量よー
ヴァージルとおそろ^^
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