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貸本屋のお姉さんに気に入られるために俺は今日も本を読む  作者: 鈴埜


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175/362

175.レイピア製作依頼

 これ、俺がもうとっとと細剣(レイピア)作るのがいいと思うんですよ。

 そうしないと新しい付与属性専用スキル覚えるのもダガーしかできないし。てことでヴァージルにレインボータートルエッグ狩りをお願いした。

 土下座の勢いで、俺に、金を稼がせてくださいと。

 そのためなら多少、アンジェリーナさんも我慢します……。


 ということで、何度か二人っきりのレインボーシータートルをこなし、俺はとうとう金を手に入れた。ファマルソアンに、あんまり持ってくると価値が下がるか聞いたが、これだけの大きさなら下がりようがないということで、無属性1つは置いておいて、他をぜーんぶ引き取ってもらう。

 札束(イメージ)握りしめてやってきました、イェーメール。


「たのもーっ!!」

 鍛冶通りは今日も小人族(ドワーフ)たちがその日の酒を楽しみに仕事に勤しんでいた。

「よお、セツナか」

「ウラルさん。お金と材料貯めてきましたー!! 付与の剣作ってください」

「ああ……そうか。うーん、確か細剣(レイピア)だったよな」

「はい。そのつもりです」

 店先でそんな話をしていると、わらわらと小人族(ドワーフ)たちが集まってくる。


「なんだ、金貯めてきたのか」

「お金だけじゃないですよ。無属性のレインボータートルエッグと、魔鉱石(マジックストーン)もきっちり持ってきました!」

「なら、あとは誰が引き受けるか、だなあ」

 正直誰でもいいのだが、そういったら失礼なので黙っている。


細剣(レイピア)ならハールのところじゃねえか?」

「そうだなぁ。でもあいつは今、他の作成に携わってるだろ?」

「ハールの弟子に1人いたろ、細剣(レイピア)作りが上手いヤツ」

「ああ、ローロだったかな? ちょっと聞いてきてやろう」


 そう言って小人族(ドワーフ)の1人が駆けていく。

 正直鍛冶職人小人族(ドワーフ)たち、名前覚えきれないから関わりがある人だけ覚えていくことにした。多すぎるし、特徴が飲兵衛で共通しててわからん。

 そしてしばらくして、呼んでくると言った小人族(ドワーフ)が2人連れて帰ってきた。


「よお、セツナ。悪いなぁ。お前さんの得物なら喜んでと言いたいところなんだが、3本先まで予約が入っちまってるんだよ。で、俺の弟子なんだが腕は保証する。俺の技術をきちんと受け継いでいる。ローロってんだが、こいつに任せてみないか?」

 ローロ……女の子の小人族(ドワーフ)さん? うーん……。


「俺は構いませんよ」

 女だろうが、男だろうが、かっこいいの作ってくれたら嬉しいな!!

「一応弟子の仕事を見守るのは俺の役目だ。今後のメンテナンスのこともあるだろうし、渡しておくぜ」

 ぽいっと来ました。久しぶり。


《ハールからフレンド申請が届きました》


 ローロからじゃなくてよかった。お断りしないといけないところだからな。

「よろしくお願いします……」

 なんかすごく小さい声で言われた。おどおどしている。え、別に俺怖くないよ?


「こちらこそよろしくお願いします」

「ローロはこんな感じでなぁ。小人族(ドワーフ)らしからぬとか言われがちだが、腕はいいし、材料の扱いも上手い。色眼鏡で見ないでもらえると助かるな」

「できあがりを楽しみにしてます」

 ローロも酒飲みなのだろうか……? なんか好きなものがあるなら賄賂を渡すのだが。


「それじゃあ材料渡しますね」

「おう、俺んところの工房で頼む」

 ハールとローロの後をついて行くのだが、なぜか後ろにもぞろぞろと。


「え、ウラルさんたちなんで来るんですか?」

「いいじゃねえかよ。セツナが持ってきたレインボータートルエッグの出来も気になるし、魔鉱石(マジックストーン)の質も気になる」

「ええ-、レインボータートルエッグは手伝ってもらったから、かなり高品質ですよ」

「ほお……ならやっぱり見たい」

 うちのヴァージル先生の一撃必殺の成果を、ハールの工房でどんと出したら、地鳴りのようなおおお! をいただきました。


「こいつはすげえ大きさだな」

「セツナが仕留めたんじゃぁ、ねえよな? さすがに」

「へへっ……イェーメール聖騎士団の騎士団長様ですよ」

「おお!? ヴァージル様かっ!?」

「なんつうところに伝手持ってんだよお前さん」

「あの人は平民も分け隔てなく扱うからな」

「分け隔てなく、やらかしたら厳しい」

「飲み過ぎ見つかって絡んだら一晩ぶち込まれたらしいな」

 何やってるの小人族(ドワーフ)たちよ……。


 外野がそうやってざわついていると、ローロがうううと呻き出す。何事、と思ったら、上を向いた目がキラキラしていた。先ほどのおどおどした感じが消えている。震える手で作業台の上のレインボータートルエッグを掲げた。

「なんて、なんて美しい。最大の大きさの無属性なんて、そうそうお目にかかれるものじゃない!!」

 宝石好きだったのかな? まあ確かに綺麗だよね~大きいし。


「これが魔鉱石(マジックストーン)です」

 どんっとこちらは床に置く。だって大きいんだもん。四角に切ってくれたというか、なんか特別だって頭くれたんだよね~。


「きゃああああ!! まさかこれはっ!! 頭部っ!!!」

「おお、頭部は一番価値が高いんだぞ。すごいなセツナ」

「採りに行くの一緒に行ったんですよ。魔法使い役として」

「ああ、来訪者だから多属性持ちだったのか。貢献料だな」

 なめ回しそうな勢いでローロが頬ずりしてる。


 ギャップが。


「素材を見る目が一流過ぎてな、まあ、仕事は出来る」

「ちょっと素材狂いなだけだよな」

「てか、本当にいい品質だなぁ、セツナ」

「頑張りました」

 ヴァージルがね。魔鉱石(マジックストーン)は俺も頑張ったけど。


「それじゃあ契約しちまおう。ほら、ローロ、いったん置いておけ。セツナの採寸もしないといかんだろ」

「採寸?」

 腕の長さとか身長体重計るらしい。へー。


 ハールが持ってきた契約書に名前を書き、メジャーで指の長さまで細かく採寸された。

「こんなに良い品質のものを与えてくださったのですから、私、全力で頑張りますっ!!」

 出来上がるのは1ヶ月後。リアルで10日後だ。

 よろしく頼むとお願いして、俺は本屋に向かった。


ブックマーク、評価、いいねありがとうございます。

誤字脱字報告も助かります。


付与剣手に入れるぞー!

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― 新着の感想 ―
高品質な素材なら固有名称付きそうだね
幸運EX:属性:零ピア どうなんだろ ドワーフと仲良くならないと接触できない隠しキャラローロ 次期最高の職人の手掛ける使用者限定のオーダーメイド 最高の城の規模にすら使われる頭のインテリジェント?な結…
これ、そのうち素材採取の依頼とか来るのでは?
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