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貸本屋のお姉さんに気に入られるために俺は今日も本を読む  作者: 鈴埜


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161/362

161.毒草管理のお手伝い

 無自覚殺人少女だったのが恐ろしい。悪気がないのが一番始末に困るとはこのことだ。とりあえず謝罪を受け入れはするが、彼女に出された物を口にするのはやめよう。


 少女、ビエナは祖母から継いだこの薬草園を気に入っているが、両親は無理だと近くの町にいるという。

「確かに育てるのが難しい子もいるけど、みんな可愛い私の草花たちだよ」

 純真無垢で育っちゃってるね。親御さんの子育て成功しているのか、していないのか。俺には判断つきません。


「ところでお兄ちゃんは商人でもないのにどうしてここまで来たの?」

「実はちょっと新しい魔法を探してて、ビエナちゃんは何か知ってる?」


 雑草摘みをしながら質問してみると、少女はこてんと首を傾げる。

「うーん? ビエナが使える魔法見てみる?」

「お、ビエナちゃんも魔法使いの素質があるんだねー」

 ぜひぜひぜひぜひぜひぜひ!!!


「おばあちゃんに教えてもらったんだ。悪い人にめってする魔法! 【ポイズンボム】」

 目の前にぽいっと投げた緑の塊が、ぼふっという音とともに緑色の煙を噴いた。

 もちろん即座に身を引きました。


「すごいでしょう!」

「うん、すごい」

 危うくぬっころされるところだったな。方向完全に俺めがけてだった。


「俺も、ビエナちゃんみたいにかっこよくそれ出したいなぁ」

「本当!? じゃあ、一緒に育ててくれる?」


 これ、クリアしたらもらえるやつだ。

「うん。ただ、俺来訪者だからさ、どうしても眠る時間が来るし、眠ったら二日間とか起きないけど大丈夫かな?」

 ここは、確認しておかないといけないところ。


 ビエナちゃんはうーんと考えていたが、最後にはにっこり笑って頷いた。

「たぶん大丈夫。じゃあ一緒に頑張ろう!」

 おーっ! と元気に返事をすると、バケツと手袋を渡された。

「私は平気だけど、触ると痛いのとかあるから、手袋した方がいいよ~」

「ありがとう。お借りします」

 園芸用とは思えない分厚いやつでした。


「今日はもう暗いから、また明日ね! お泊まりしていく?」

「いや、俺は夜目も利くし、作業していていいならこのままやれることはやっておこうと思うんだ」

「そうなの? じゃあお願い。私はもう寝るね」

「うんうん。また明日」


 やっておくことを教えてもらって手を振る。子どもはもう眠る時間ですよ。



 で、最初は雑草抜き。

 「結局は枯れる物が多いんだけど、栄養をとられちゃうからね! ちゃんととっていくのよ」とのこと。

 了解です。

 なんかわかりやすいように矢印が出る。↓ って。面白いな。まあ、抜いちゃいけないの抜いたら可哀想だしね。

 だけど毒草多い。

 ビエナちゃん、ご丁寧に名札書いてあるから、どうしたって目に入るんだよ。トリカブトとか。木はキョウチクトウを見かけたし、梅の木もありましたね……梅。梅酒作れるじゃん……!!

 それでもまあ、せっせと作業に没頭すること1時間。すご、我ながらすごい頑張った!


 ↓がまったく見えなくなったので次の課題だ。

 指定区画に特別栄養剤を散布すること。その際絶対に液体に触れてはならないこと。


「毒散布とか、恐ろしい娘っこだ……」

 背負式噴霧器。あれだ。某有名なアニメ映画で海水蒔くのに使ってたやつですよ。それに、またもや緑色の液体が入っていた。栄養剤とか、わりと緑だからそこまでおかしくないなと思ったけど、煙出てるのがなぁ……ちょっと漏れてるの。さすがにあかんなって感じでした。


「これ前に向かって噴霧したら足がやられるのか」

 想像してみて危険を回避。後ろ向きに散布します。

 わりと効率重視になるので、いかに最短で綺麗に散布できるかを考えながら行く。かなり地味な作業だなぁ。俺はまあ、平気だけど。それにしてもこの毒栄養剤をまく場所とまかない場所が交互になっていたりするのは大丈夫なのだろうか?


 生産職には農家もあるらしい。

 案山子が小麦を譲ってもらったと言っていた。ファンルーアかな?

 その人たちもこんな風に地道な作業をするのだろうか。でもVRに戦闘を求めていない人だって絶対いるはずなので、需要はあるのかもしれない。モヤシラも、戦闘の方はからっきしだと言っていた。街クエスト、おつかいクエストなどでレベルを上げて、ステータスを上げているという。戦闘用のスキルはほとんどあがっていないと。

 それでも知り合いとギブアンドテイクの関係を結んだり、時には金でNPCを雇うこともあるそうだ。

 露店で望みの物が手に入ればいいが、そうでないときは材料を調達しないといけないこともたびたびあるという。

 それでも楽しく続けているのだから、それぞれのニーズに応えて、手立てがないということにならぬようゲームバランスを考えて作るのは、それは大変なのだろうなと思った。


「ふう、やれやれだぜ」

 途中足りなくなった栄養剤を入れるという恐ろしいミッションも挟んだが、なんとか全部を終える。ビエナちゃんに言われていたことは一応これで終わりだ。

 さてさて。

 まだ夜中だ。午前0時。これは、アランブレに帰ってミュス狩りからの、ビエナちゃんが起きる前に戻ってくるのがいいかな?


 クランハウスへの帰還を選んだが、特に警告は出なかったのでそのまま帰還。ちょっと木魔法気になるから使ってみようと思う。種は森などで拾えるが、そのあたりに植わっているものになる。


 ミュスを見つけたので、取り出して唱えた。

「【シードウィップ】」

 しゅるしゅると、丸いベージュの種から、白い芽が伸びたと思ったら、ミュスに巻き付いて叩きつけた。

 わお、結構野蛮。


 そして、芽が出た物は一定の時間木になるようだ。と、同時にもう1つスキルが生えた。

 【ブランチウィップ】だ。

 【シードウィップ】から出たものが樹木の場合、使える魔法だそうです。

 ん~これは、なんかいろんな種集めたくなるね。


 ただ、ミュス狩りにはイマイチ。

 でも、木のそばを通ったミュスに【投擲】で石を投げるとそれに攻撃するようだ。

 ちょっと面白い。自分とは別の攻撃部隊を持ったような感じに思える。


 夜が明けそうなので、冒険者ギルドで精算を済ませて、少女が目覚める前に帰還します。

ブックマーク、評価、いいねありがとうございます。

誤字脱字報告も助かります。


6月が始まるよー!

早い、早すぎる(震

こんなんじゃすぐ夏休みじゃん!!(恐

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― 新着の感想 ―
更新ありがとうございます。 次も楽しみにしています。 ミュス自動狩りいけるのでは?
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