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貸本屋のお姉さんに気に入られるために俺は今日も本を読む  作者: 鈴埜


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160/362

160.少女の手料理は死の香り

 一応一人で戦おうと、やってきましたリベンジマッチ。

 待たせたな、アルボルじいさん!!!


 今日はヤる気満々でログインして早々にぎょろちゃんでGOした。

 この間は真っ暗だったが、まだ日が出ている時間だ。森の中も薄暗いで留まっている。

 たどり着くまでにウサギのモンスターに出くわす。【火付与】した剣で一発ですよ。俺の怒りの一発。美味しかったぜウサギシチュー!!


 丸太小屋にたどり着くと、ドアをガンガンノックする。

「たのもーっ!!!」

 ガンガンガン!


「毒入りシチューとは、いたいけな青年になんという狼藉!!」

 眠剤入りなら俺も耐性あるからあんなにすぐ寝なかったよっ!! 毒はまだまだなんだ。

 ガンガンガン!!


「早く出てこい!!」

 ガンガンガンガン!


「やれやれ、うるさい小童め。あれで懲りたらいいものを」

「表に出ろーっ!」

 広いところでやろう。


 姿は昨日の好々爺のまま。だが、目が真っ黒になっていた。白目も黒いとか、悪魔じゃんもう。

「アルボルじいさんをどこにやった!?」

「ふっ、あれはもうワシ自身になっている。ちょうどよい、新しい寄生先を探していたところだっ!!」

 そういって目の前のおめめ真っ黒じいさんは人間の皮を破り、巨大な木に変化した。


 お名前、パラサイトオークだそう。寄生樫の木? 樫の木に寄生しているモンスター、かな?


「さあ、お前の身体を寄越せ~」

 【属性看破】はするまでもなく木。お爺さんの木なんて、よく燃えそうですよ。

 攻撃は根が地中をつたってやってくるのと、枝がびよーんと伸びてくる。どちらもそこまで早いわけじゃないし、地中をやってくると、地表がもこもこするのでわかりやすい。

 俺も素早さ結構上がってるんですよっ! と、避けて近づき、胴体に【ひと突き】。弱点とかがわからないから決まるかどうかと思ったが、ダメージくらったようだ。

「おおおおおおお」

 雄叫び上げてる。

 基本属性ゲットのためだから、そこまで戦闘能力なくてもいいと思うんだよね。なんなら魔法使いでやってきてもらえるものだし。

 伸びてきた枝を払うと燃えた。

「【ひと突き】!」

 もういっちょやると、木が苦しそうにめきめきめきっと音を立てて裂けた。討伐完了である。


《クエスト:アルボルの寄生樫をクリアしました》

《【シードウィップ】を習得しました》


 樫の木があったところには、おじいさんが倒れていた。残念だけどお亡くなりになってる。可哀想に。時間もあるし、埋めてやるか。

 丸太小屋を漁って、シャベルを見つけた。引きずるのもいやだし、遺体の真横に穴を掘り掘りする。結構重労働だな。浅いとダメだと思うけどまあ、大丈夫だろ! てことですっぽり入ったらOKにしてもらった。埋めたら大きめの石をどんと置いてお祈りしておいた。


 さ、家の中もう一回漁るぞ~!


 言われてた通り種がたくさんあった。るんるんで回収してるとクランチャットに入電。


ソーダ:

アリの外殻持って色々当たってみたら、やっぱり酸対策用防具が一番よかろうという話になったぞー。んで、傘を作ってもらうことになった!


ピロリ:

あの黒光りするので作る傘……可愛くなーいっ!!


ソーダ:

わがまま言うな! 人数分作ったらまた合同で行くかって話になってる。作るのに少し時間が掛かるらしいから、今日は自由行動で。ただ、そろそろ酒運ばないといけないんだよな。長々クエストやってないなら1度アルバイトの方片付けたい。


柚子:

了解なのじゃ~むしろ夜中暇だから、何かしたい。工房も閉まる。


セツナ:

ファンルーアの貸本屋は夜中開いてるよ。


柚子:

なぬっ!?

100冊とりま読もうかなぁ。合計300冊読む暇はないんじゃが、100冊でプラス10もらえるならちょっと頑張りたいのじゃ。


セツナ:

フレチャに位置送っておくね。


 ゲーム時間内午前10時にクランハウスか、イェーメール集合ということになった。

 俺はもう1つ毒の方を片付けたい。

 毒関連で初期魔法もらえそうなところが近くにあるのだ。

 というのも、あの木のアルボルじいさん。本でやたらと毒草についても語っていた。何でかと思ったら、近くに薬草園があるという。薬も過ぎれば毒になるってやつね。そこを管理している人がいるというので会いに行きます。

 もう日が暮れだしているけど、まあ位置確認。




 俺はわりと懲りない質なのかもしれない……。

「お客さんが来るなんて嬉しいな」

 少女がお料理をもてなしてくれている。

 毒草園、もとい、薬草園はすぐ見つかった。こんな人里離れたところにと思ったが、広い敷地にたくさんの花々が咲き乱れ、花壇にはきちんと名札が差してある。なんでも植物を育てるのに広大な土地が必要で、街から離れた場所に暮らしているそうだ。定期的に商人が買い付けに来るそうだ。


 切り盛りしているのは10歳くらいのお嬢さんでした。茶色の髪をツインテールにして、赤いリボンが可愛い。ピンクのエプロンもふりふりで、少女趣味って感じ。まあ少女だからね。


「商人のおじさん以外が来るなんて久しぶりだよ! さあどうぞ」

 たくさんの料理でおもてなしされている。



セツナ:

少女がっ……少女が俺を殺そうとしてくるっ!!


ピロリ:

何事ww


セツナ:

薬草園に毒魔法探しに来たんだけどっ!!

少女の手料理に、明らかに毒草が混じってるっ! 【鑑定】なくてもわかるっ!!


 サラダにスズラン添えられてますぅぅぅ!!


半蔵門線:

ああ……その少女は無自覚でござる……。1度食べて倒れるまでがセット。


セツナ:

くっそ、スズランは危険過ぎる。こっち食うか。これ、ニラに見せかけた水仙だろ!!


半蔵門線:

それは中吉でござるね~


セツナ:

え、それどっち向き? スズランは凶? 大吉?


半蔵門線:

スズランは大吉の方でござるよ~


セツナ:

くっ……水仙も危険かっ!



 悩みに悩んで、これだ!! ジャガイモ! よく見ると芽がある。これでお腹壊します。


 一口食べると目の前が紫色になった。

「あ、あれなに、わぁ……」

「どうしたのお兄ちゃん?」

「いや、なんか毒……」

 ぐるぐるっと渦巻いて倒れました。


 気付くと床に寝ていて、少女が心配そうに見ていた。

「ごめんねお兄ちゃん気がついた? 私、自分が慣れてるから、お客さんに出しちゃダメな料理なの忘れてて」

 無自覚殺人!! 恐ろしい子!!

 毒耐性1つ上がってる。時間は1時間ほどだったよう。後から聞いたが、毒性が強ければ強いほど、この気絶時間が長くなるそうだ。待ち合わせあるから小吉でよかった。

ブックマーク、評価、いいねありがとうございます。

誤字脱字報告も助かります。


ちょっと前にニラと水仙の見分け方回ってきましたね、Xで。お気をつけください。

ニラは、ニラの匂いがするっ!!

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― 新着の感想 ―
これ、毒草なのでは?って指摘すればごめんなさいしてくれるやつなのでは?w 毒の耐久が欲しかったら安全なところですずらん食べまくれば良いよ
現実に存在する野草事故盛りだくさんって感じですね。誰かお料理教室開いてあげてっ!!アルカロイド系は蓄積で腎臓や肝臓が逝くのよっ!!
更新ありがとうございます。 次も楽しみにしています。 少女の方は半蔵門線しか反応していない 他のメンバーは知らなかったのかな?
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