158.みんなで行けば怖くない
あー、間違えて2話投稿してしまいました。
明日の更新はお休みします。
なかなか行くメンバーが決まらない。
『俺一番レベル低いし、デスペナ少ないから行こうか?』
『いや、案山子の【鑑定】がしっかり発動するまで耐えられるヤツが必要なんだよ。セツナ、当たったら死ぬだろ』
それは、死にますね。
そうか、案山子はもうメンバーに入ってるのか。
『俺の【鑑定】が一番熟練度高いからねッ! 食材の鮮度とか見分けるから、どうしたって高くなるんだよッ」
『マスターのところ一度女王アリに対峙してるんだから、案山子だけ貸してくれよ』
『そうそう、黒豆に女王アリ見せてあげたいし~ねー、黒豆っ!』
『まあ、欲を言えばそうなるね』
蒼炎のキャラバンも、黒豆が意見を露わにしたことで盛り上がって来た。
『収拾つかなそうじゃのう』
『うちはまあ、別にいいけどね。それでも。行ってもいいし、行かなくてもいいし』
『どちらにせよ早くして欲しいでござる』
一度女王アリに対面してる、こちらのクランは冷めたものだ。
『よし、じゃんけんだ』
『いや、じゃんけんとかじゃなくて、人数絞ってくれよ。蒼炎が行くとしたら、黒豆と案山子でいいの?』
『はっ!? 私も行くに決まってるでしょ?』
『私だって!』
『絶対行くのですぅ~』
あそこのクラン危険そうなのに、ソーダは切り込んで行くな。
『それはそれで意味ないんだけど。揉めるならクランから1人ずつにしたら? 俺んところは案山子出すからさ』
『俺行きたい!』
『私だって!』
ロジックも同じでしたー。
『これさ、みんなデスペナ気にしてないならもう一緒に行けば?』
と、1番レベルの低い俺が提案してみますよ。
『セツナ……』
それを言っちゃあおしめえよってやつだよね。わかってるけど、みんな、結局行きたいんでしょ?
『よし、行くか!!』
『やったろやったろ!!』
『今のレベル帯のデスペナなんて三日もあれば取り戻せるしね~』
『なんならアリと戦ってたら結構上がる。羽アリ見逃したらおかわり運んで来てくれるし』
戦闘民族が多かった。
『よし、マスターみんなで行こう!』
『あのさ、事前相談意味なかったじゃん』
『マスターさん、うちもみんな行きたいらしいです』
ゲームなんてそんなもんだよねーと言い出してバフが飛び交う。
『仕方ないなぁ。ただ、もう死んだら帰還。リザしない。アイテムもったいないから。ポーションも使わないし、エナドリなんてもってのほか。OK?』
『討ち死に覚悟で行くぜ!』
『いや、確実に討ち死になんだよ……』
女王アリの酸攻撃つよっ。ヴァージルのあのスキルすごっ!!
仲良くみんなで討ち死にしましたとさ。
「意外に慎重じゃなかった」
「だねーッ!」
案山子が大笑いしていた。
それでも、【鑑定】結果、女王アリの弱体化は30%になってたらしい。第2形態になるのも早かった気がする。火力山盛りだったしね。せっかくだからと女王アリに効く属性探りもした。結果、火が結構効きそうだということになった。
「【メテオレイン】降らせるのが効果的っぽいからよかったかな。女王アリの【鑑定】にも時間かかったしね」
現在クランハウスでぐだり中。蒼炎とロジックのリーダーだけ招待している。
みんなそれぞれ配信アカウントがあるらしいので、動画内の取り決めなどを話し合っていた。俺は、夜が明けているのでお先に失礼するのだ。
「なんか俺必要になったらクランチャットで教えて~」
みんなに手を振って、クランハウスを出たところから【隠密】を使う。
絶対に、絶対にアンジェリーナさんの存在を知られてはならぬのだ。
そう、俺は心の狭い男。
「こんにちは」
「いらっしゃいセツナくん」
あー、今日も素敵っ!!
さて、何か攻略のヒントになることはないかなー?
今後もレベルを引き離されないために、クラン狩りには参加して行こうとは思っている。しばらくアリとお付き合いするのだろうから、女王アリの酸攻撃を防ぐ術を何か考えたい。
あの酸、ヴァージルの盾がないとざばっともろかぶりする。敏捷値の高い、半蔵門線や他クランの数名は避けられたらしいが、ソーダの盾は使用不可になった。これはわりと安く修理ができるらしい。
もろかぶりした面々は、HPが徐々に削れて行くのだが、ここにまさかの風攻撃を食らわせるのだ。女王アリ強し。広範囲の攻撃を防ぐ術が必要だということになった。
「そうそう、セツナくん。生活魔法大全が揃ったのよ、刊行分全部」
「えっ!? 借ります!!」
これは……あれか。俺があの先生の研究室で見られるようになったから、システムが放出したやつっ!! あちらはただ。こちらは500シェル。
もちろん払います。
《称号 【生活魔法マイスター】を手に入れました》
マイスター……効果は、生活魔法の効果が倍になる。
地味な魔法だから倍になってもなぁ。まあいい。
生活魔法大全を読み終わって、まだ時間があるので続き。アリの酸に対して何か有効な手段はないか、本を眺める。あ、『この世の毒』『隣人と毒』毒属性の予感。ここら辺はごそっと借りよう。
「今度は毒?」
「今付与を頑張っていて、属性を増やしたいんです」
「ああ! それなら、ちょっと待ってね」
アンジェリーナさんは奥の部屋に1度引っ込んで、手に本を持って帰ってきた。
「この、『木とともに生きる』の作者が確か優秀な木魔法の使い手だって聞いたの。攻撃と言うよりも、どちらかというと育てる感じみたいだけど」
「助かります。じゃあこれも一緒にお願いします」
木魔法のおじいさんの話。本当に、この人なんだろ。趣味の園芸とかそんな感じの本でした。いや、ベランダでプランター栽培したくなるやつかこれ! ただ、ところどころ、この草の根は毒になり、とか、この可愛らしい花は毒にもなってとか、毒についてやたらと注意書きがあるんだよな。
その続きで毒魔法系について読むと、毒を極めし者とやらのお話が。毒魔法もらえるかなぁ?
そして突然の、アナウンス。
《称号【知の泉2】を獲得しました。知力がプラス20になります》
なんと!?
え?? と慌ててステータスを見ると、合計プラス30の表記。前の分とは別に20プラスらしい。
読んだ本の数は、301冊。
1冊ってなんだろう?
本は基本貸本屋で読んでいる。
生活大全も結局あの研究室では読んでない。今、本を読み終わった瞬間にアナウンスが来たので、この本で何かしらをクリアしたのだとわかる。
しかし、この1冊を除けば、初回は100冊、次は200冊で次は……400冊かぁ!? 400冊読んだらプラス40。
もう少しお勉強頑張ろうと言われ続けてる身としては、ありがたいが、それなら100刻みで欲しかったな……。
ブックマーク、評価、いいねありがとうございます。
誤字脱字報告も助かります。
わかりにくかったようなので書き換えてみた!
追加冊数 累計 累計知力+
知の泉(1) (100冊) 100冊 +10
知の泉2 200冊 300冊 +30
知の泉3 400冊 700冊 +70 予想
知の泉4 800冊 1500冊 +150 予想
累計読書冊数÷10が、プラスされる知力数ですね。
まあまだ予想ですが!!




