148.アリダンジョン事前説明会
結局ヴァージルが食いつき、ウロブルの街周辺を今は探索しているところで、新しいダンジョンが見つかったから行く予定なのだと説明した。
「そういえば第6騎士団からそんな話が入ってきていたな」
「来訪者が発見したとか。彼らの好奇心はすごいね」
「やっぱりウロブルのダンジョンだから管轄は第6騎士団になるのかしら?」
「いや、ダンジョンは特には、まあ、魔物が溢れないよう、あまり冒険者が入らないダンジョンは定期的に騎士団で掃除に行くが」
「ぶっちゃけ、ダンジョン掃除は冒険者、来訪者の方々がしてくれるので助かってるよ」
ダンジョン大好きな冒険者たちだからなー。
「このダンジョンが、どうやらアリの住処になっているらしくて。羽アリが結構飛び出してくるんですよ。羽アリは今の住処から離脱して、次の住処を見つける役目があるから、早々に始末する必要があるんですって。しかもダンジョンへの侵入者があると、羽アリが連絡役として兵隊アリを呼ぶらしいの。この羽アリをいかに早急に潰して、兵隊アリを各個撃破するかがこのダンジョンの肝みたい」
「へえ、短期間にそこまでわかっているなんてすごいんだな」
「アリかぁ、ちょっと見てみたいな」
アランのつぶやきに、ピロリがキラリと目を光らせる。
「この羽アリの撃破は、【投擲】で羽根を狙うか、弓矢で射落とすかなんですよ。もしよかったら一緒に行きます?」
「ウロブルかぁ……」
「行くなら休みを取って、だぞ」
「ヴァージルはどうする?」
「アランが行くなら迷惑を掛けてはいけないからついていくが」
「俺がいつ迷惑をかけた?」
仲良し2人組。
ピロリがうきうきでお誘いして、確実にその日ログインするメンバーが揃うリアルタイム夜中の0時、ゲーム内時間朝の6時集合となった。
ソーダがあのとき静かだったのは、ノルマの授業を受けていたかららしく、これは動画再生回数ヤバいことになるなとニヤニヤ顔をしていた。
そして、22時頃ログインするとクランハウスで今日のダンジョンのレクチャーが始まる。
「まず、ここはアリダンジョンという名前になりました」
「まんまだな!」
「その方がわかりやすいからな」
すでに結構な人数が入っているらしいが、大抵討ち死にして出てきている。アリのお代わりがエグいらしい。
「そんなところにヴァージル連れてって大丈夫か?」
「NPCいっしょのフワフワが行って死んだけど、そういった時はNPCが倒れたフワフワを担いでなんとか命からがら逃れたってことになるらしい」
ヴァージルとアランで7人担ぐのかぁ……やれそうではあるが、瀕死の状態で?
「まあ、セツナの心配はわかるので、今回は第2階までを目指そうと思う。結局新しい街のダンジョンてことはレベル上げ場所になるからな」
まず1階入り口あたりには羽アリが定期的に巡回している場所があり、そこで見つかるとおかわり羽アリがやってくる。つまり羽アリは偵察隊だ。
羽アリの数を減らさないとやがては兵隊アリが来るのだが、これが羽アリが次から次へと呼びに行くのでエンドレスおかわりが始まるのだそうだ。
「なので、羽アリは接敵したら即落として始末する」
あまりヴァージルたちの前で掲示板で知っていることを話すと、ぽろりしてしまって危険なので、事前にこうやって打ち合わせをするらしい。
「気をつけていても、システム的にとか言ってしまいそうで怖い」
「それは怖い」
羽アリを確実に討ち取って行けば1階は大丈夫らしい。2階は羽アリプラス兵隊アリ。
「兵隊アリで怖いのは酸を吐くことだ。俺らの洋服は破れはしないけど、耐久がぐんと減る。最悪、白パンツになる可能性がある! 一応盾は予備を持って来ている」
蟻酸吐くの?
「これは、避けるのが一番。避けられないなら、浴びる場所を考えよう。腕なんかはまあ、すぐ回復すれば問題ないだろ? 目や顔などで浴びないように。最悪、セツナの場合ヴァージルがかばってくるぞ」
「やだーっ!! それは拙い。ヴァージルの服溶けたら、炎上しそう」
「そっちかよwww」
「まあ、NPCはあんまり怪我して欲しくないよな」
「てことは、ヴァージルにも盾がいるかもって連絡しておいた方がいい?」
「あーそうだな。それで頼む」
今は夜中だから集合時間少し前に送るか。
NPCだし気にする必要ないんだろうけど、つい、ね。
「氷はしっかり効くらしいから、柚子の【フロストサークル】で凍らせて、動ける数を減らしつつやるつもりだよ。氷で動きを制限して、さらに凍結中に各個撃破」
「案山子さんの【メテオレイン】じゃなくて?」
「それが、1匹が結構強いんだよな。【メテオレイン】は一発当たると凍結解除だろ? そうなると一斉に動き出して大変なことになる。氷でダメージはほとんど入らない」
「氷耐性?」
「耐性とまではいかないが、兵隊アリの装甲がかなり固いらしい。ドロップも兵隊アリの殻というのが多くて、良い防具の素材なんだそうだ」
防具の素材で身体固めてたらそりゃ効かないよね。【メテオレイン】は火属性というよりは、火の塊岩石みたいな感じで物理で殴ってる分が結構あるのだ。
全体を固めて、1匹ずつ倒し、数を減らすという手段をとって、というのが安全な攻略の仕方ではないかという話になりつつある。
「有効属性は風。セツナには風付与を頑張ってもらう予定」
「了解」
「単体なら、ぎょろちゃんに【フロストダイス】投げてもらうのもよかったかもね。あ、そうだ。柚子さんに【フロストダイス】のスキルの出し方教えてもらわないと」
なんだかやること多すぎてすぐ忘れる。
俺の仕事は【投擲】と付与ね!!
ダンジョン内も騎獣が出せることはすでに知れ渡っていた。ただ、基本移動時に本領を発揮するので、天井が低ければ飛行系はほぼ能力なしの的でしかなくなり、移動も曲がりくねった場所では思うようには進めない。
ぎょろちゃんなんか、どうなるんだろうな。
「正直ヴァージルたちがどの程度動いてくれるかだよな。プレイヤーより先行しないのか、勝手に進むタイプなのか」
「高火力でぼこすかやるのが好きなタイプだと思います」
エルダードリュアス狩り、どんどん過激になっていった。ヤバいよあの兄ちゃんたち。
「なら、狩りも楽しめそうかな!」
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NPCを死亡させないようにするために一生懸命なセツナくんたちでした。事前打ち合わせ大切。




