147.ピロリのお誘い
先生方にめちゃくちゃ握手された。
「これで研究がはかどる」
「ありがとう!!」
「どんな薬が出来るんですか?」
「イエローハイマッシュルームの、ハイの部分を上手に使って、ダウンしないようにするんだ」
「滋養強壮というか……」
「スタミナを補充する感じだね」
「ほら、冒険者たちは戦闘につぐ戦闘で疲労困憊でどうしようもなくなるときがあるだろう? そんなときに、一時的ではあるが、強制的に活力を沸かせて、その場を乗り切る。身体に無理をさせるんだから反動はどうしてもあるが、倒れないよう調整するのさ」
「この倒れないように、が大変だが、第一段階の『エナドリ』が製品化される。こちらにも期待していてくれ」
こりゃなんか、新しいポーション出るなぁ。
「是非またイエローハイマッシュルームを。そして気が向いたら脂汗を」
「来訪者多く来てますし、冒険者ギルドに採取依頼出してください」
ちぇーって顔してるけど!! ずっとは付き合ってらんないよ。
あと、黄色親分アナウンスあったし、腕試ししたい人は行くんじゃないかな? ウンディーネ持ちはなかなか良い狩り場になりそう。
さて、成功報酬の生活魔法大全の穴埋め読書、させてもらいましょう!! と思ったけど、うーん、アンジェリーナさんのところに追加来てたらそっちで読みたいんだよなぁ。
てことで、一度アランブレに帰ることにしようと思う。
「それじゃあ俺はここら辺で」
「白衣は返しなさい」
くーっ!! 忘れられてなかった。
「またお邪魔しますね!!」
「ああ、そのときは是非またイエローハイマッシュルームを」
先生方が手を振ってくる。
本当に直で食べてないだろうな、この人たち。まあ、倒れるらしいけど。
ぽちっとなでアランブレへ。
もう日が暮れてきたので今日はミュス狩りだ。
新しい街に行くとついつい怠ってしまうライフワーク。ミュス狩りは無心になって出来るからいいんだよな~。
ソーダ:
セツナ、部屋の権利もらえたのか?
セツナ:
もらえたよ。
ソーダ:
情報というより、黄色親分動画で流そうと思うけど大丈夫か?
セツナ:
問題ないよ。そうそう、なんか今度薬屋に『エナドリ』が並ぶらしいよ。
イエローハイマッシュルームから作った新しいものだって。滋養強壮、疲労回復とか言ってた。
ソーダ:
へえ。なんだろうな。一時的なバーサク状態になる薬とかかなぁ?
セツナ:
俺視点の動画いるなら渡すけど。
ソーダ:
お前の配信にしなくていいの?
セツナ:
ヴァージルでないから、今回。
ソーダ:
www むしろ低評価つきそうだよな。んじゃもらってまとめるよ。
ここまで公にして、これは隠しておこうとかわからないから丸投げだ。
しかしそうだな。ヴァージル担の方々が、あんまり間を空けると凸してきそうで怖い。そろそろ何か燃料投下しておくか。
何にしようかな~と考えながら、楽しくミュス狩りをして、その日は終了。
翌日、ログインしてすぐ、ピロリから入電。
ピロリ:
セツナくーん!! 大至急レベル上げて!! ウロブルのダンジョン見つけたっ!!
セツナ:
おお……急いで……
ピロリ:
あのイケメンに頼み込むか、黄色親分狩りウンディーネとともに。ウンディーネが倒せばセツナくんに入るから! ただ、アナウンスと、ソーダの動画UPあったから黄色親分はただいま人気。
セツナ:
ソーダいつ編集したんだ。
ピロリ:
出社前に大至急でやったらしいわよw しかもフレックス使っちゃったって言ってた。
セツナ:
じゃあ、ヴァージルかぁ……。
届け、ハトメールッ!!
即なのよ、いつも即返事なんだよ。聖騎士団暇なの!?
俺が送ったのは、『手っ取り早くレベルを2つくらい上げたいのですが、手伝ってはいただけないでしょうか』というもの。
それに対する返事は、『枝も採れるし、エルダードリュアス狩りに行こうか』だった。
行く前提で話してくれるイケメンぶり。
それにしても、ダンジョンはギルドが閉鎖してるんじゃなかったっけ? と思ったら、どうもまた別のやつらしい。
さて、さらに高火力も来てくれました。
「俺の枝もそろそろなくてさ〜今日も【ウォーターボール】から行こうか!」
アランがバッチリスマイル決めてくる。
どうも、この2人セット販売されているらしく、ヴァージルファンだけでなく、アランが出てくると謎に再生数が伸びる。
俺のショート動画は毎日高速回転しています。
みんな見すぎだってば。
『セツナ君、付与を付けるの早くなったね』
『そうですか!?』
そんな気まったくなかった。
『なんでも繰り返して使うと上手になるし、戦闘中だと咄嗟の判断で付けたりするだろう? 成長するんだよ、やっぱり』
ほー。
『セツナ、最初に【ウォーターボール】よろしく』
『今日も増殖させてから狩るんですね』
『その方が強くなれるだろう?』
経験値は増してるっぽい。
火力マシマシコンビは楽しそうでした。
俺は付与担当だ。
そして狩ること数時間。無事一番上のレベルから10マイナスまで持ってこれた! わーい。
『今日もありがとうございました。これ、お礼なんですが、どれがいいですか?』
牛丼と、チーズケーキと、日本酒。
定期的に日本酒運ぶときに、ついでに自分の分も買ってる。
ヴァージルは迷うことなく牛丼を選んだが、アランはガチで悩んでた。笑う。
もう全部いいよって言ったら目を輝かせていたが、次はどこで食べるか問題になっていた。騎士団の食堂だととられちゃうって。2人ともアイテムポーチは持っているらしく、持ち込めはするが、ヴァージルの部屋で食べているとどこからともなく騎士団員がやってくるらしい。
『あいつら犬並みの嗅覚をしている』
『うーん、じゃあ、クランハウスで食べますか? どうせみんな今ウロブルだし』
『そうさせてもらおうかな!!』
ということでご招待。
ついでだとストレージを漁ってみる。
あ、カツ丼めっけ!
セツナ:
Lv42になりました!
ピロリ:
やった~じゃあ一緒に行けるわねっ!!
深淵が見つけたから、もう人も結構入ってるけど、高レベルダンジョンになりそうだから、人は選ぶやつよっ。
セツナ:
今はヴァージルとアランが来てご飯食ってる。
何かごちそうしてもいいー?
案山子:
ストレージのご飯はみんなのものッ! ご自由に!!
ピロリ:
アランって、ヴァージルと一緒にいた弓師?
セツナ:
そうそう! 茶髪の人。
ピロリ:
弓師……欲しいわ……NPC入ってても経験値分配できるし、誘ってみましょうよ。
セツナ:
えっ!?
ピロリ:
【投擲】2人じゃちょっと足りないなぁって思ってたのよ~
セツナ:
【投擲】いるの?
ピロリ:
敵が放つ偵察羽アリを打ち落とさないと、こっちが不利になるダンジョンなの。
セツナ:
アリなのか~
ピロリ:
アリの巣ダンジョンよ~。
まあいいや、そっち行く。直接聞いてみよっと!
宣言通りすぐ来た。
「こんにちは! セツナくん、3日後くらいになるけど、新しいダンジョン行きましょう」
「あ、はい」
そういう話の入り方なんだな。
「新しいダンジョン?」
ヴァージルが食いついた。
ブックマーク、評価、いいねありがとうございます。
誤字脱字報告も助かります。




