146.マッドサイエンティストたち
なんとかヘビに睨まれたカエルを作り上げた。
後は互いがどんな感じになるか。
ちなみにヘビは、サイレントスモーキースネーク。スモーキーどういう意味なのかな? くすんだ色はたしかにそうなんだが。
しかし、なかなかカエルの方に変化は現れない。
『油が出ないのじゃ~』
『……ヘビも瓶詰めしてみようか』
このヘビ、瓶に詰められたら無力化してた。内側つるつるの瓶に歯が立たないのだ。
暴れて倒れたら困るからと、軽く掘って下側を埋めて、俺たちは少し離れた場所から見守ることにした。
沈黙の魔法はその名の通り【サイレント】なのだそうだが、ガラス瓶も何のその、定期的にカエルに効果を発しているようで、カエルは動くことすら出来ていなかった。
『お、カエルなんか吹き出てない?』
『じんわり、汗かいてる気がするッ!』
『おおお!!』
これが正解なのか知らないが、脂汗が手に入るならおっけーおっけー。カエルちゃんには悪いことしてるけどな。
ある程度待ったところで、カエルがひっくり返った。
失神しておる!!! 精神的負荷か。
可哀想なので、それぞれのマップで放ってやったら、カエルは相変わらず動かないので放置。ヘビはカエル食わせてくれなかったぴえんとなって飛びかかってきたので、ピロリに返り討ちされておりましたとさ。
『ありがとう! これで、俺もウロブルの便利ポータルが手に入る』
『えっ!? それは聞いてないわよ!?』
『あ、そういえば説明してなかったかも。研究室にこれ持って行ったら、ブラウン先生が研究室の横の部屋貸してくれるって』
『羨ましいっ!! そんな、そんな特典が!!』
『ただこっちはそんな無限にはなさそうだし、研究室の研究して行かないとダメかも? 見学希望出したとき、何の見学希望かとか詳しく話を聞かれた』
『それはそれで、大変ね』
『まあ、俺は結局そのとき話したのとは全然関係ない生活魔法の研究室に迷い込んだんだけども』
『何してるんだか。だけど、確かにウロブルはアランブレから結構離れてるから、そういった一部の救済措置が敷かれてるってことか??』
『学園は、発表あったわよね。睡眠中の学習についての研究に参加するって。講師呼んで、やるらしいわよ。面白い講義たくさん。その代わりしっかりデータ取るから、受けるなら同意書を書くようにって』
いやだー、寝ている間も勉強する時代来るの~? 受験勉強には向かないってデータ出てたくせに!
ソーダたちがこの間受けた授業とはまた別のものらしい。
『たぶんそういったことでウロブルは優遇されるんだろうな』
受験勉強ではない、ほんとうに興味を持つものに対する講座とか、やりたいことではない講座を受けた場合どうなるのか、データをたくさん取りたいらしい。ビジネスチャンスっていろんなところに広がってるからなぁ~。
みんなにお礼を言って、学院にやって参りました。
特別許可証を見せると、すんなり通れた。すごい!
『生活魔法研究室』のプレートを確認してノックする。入ったところ、先日の研究室の先生もいた。
「こんにちは、採って来ましたよ~」
「お、キノコか。ありがとう! また抽出しないとだな」
「セツナも飲んでみないか? この間抽出した物で作った飲み物だ」
「えっ……」
顔がこわばり一歩引くと、2人は大爆笑。
「いい反応するね~」
「まあ、毒って言われてたらそうなるな。だが、毒も用法用量を守れば薬になるんだよ。これは、体力が落ちたり、連日の疲労を軽減する、さらに元気なときに飲めば活動時間が伸びる夢のような飲み物だ。『エナドリ』と命名した!」
エナジードリンクかよ!
「もうすぐ街の薬屋でも販売が開始されるぞ。おかげさまで大もうけだ。ほら、君にも功労者ということで数本わけてやろう。それで、また持って来てくれたなら抽出だけやってしまおうかな~」
と言うので、2人の前のテーブルにキノコと瓶を出す。
目の色が変わった。
「は? まさかイエローブルフロッグの脂汗か??」
「本当に、採ってくるとは……」
「すぐ実験室の手配をする! エナドリを飲んで、俺のやる気は今最高潮に達している!!!」
ガハハハと大笑いをしながら、出て行った背中を、俺はぽかんと見ていた。
ブラウン先生もウキウキだ。
「さて、俺たちはこれから実験室で実験だが、セツナはどうする? 約束通りそこの小部屋は貸してやろう。自由に使うといい」
これ前と同じパターンだ。
ステータスウィンドウに帰還場所が増えた。アランブレ:クランハウスの下に、ウロブル:生活魔法研究室準備室とあった。
まだ日も出てるし、本当は貸本屋へ行きたい! ちょっと禁断症状が……。だが、同じパターンなんだよ。
「実験を見学させてください」
「いいぞ。ちゃんと白衣着てこいよ」
借りてたの忘れてなかった。ちぇっ。
なぜか足の速いブラウン先生の後を必死についていき、通されたのはこの間よりもっと広い実験室。
先生が増えてる。ブラウン先生を入れて合計三人が肩を寄せ合って何やら相談していた。
「セツナ! 脂汗はもうこれしかないんだよな?」
「あー、採るの結構面倒くさかったんでもうごめんかなぁ~」
それならばとヒソヒソ会談はまた続く。
そして、ナス底フラスコにガマの油を入れて、口にゴム管が繋がれ、ナスフラの底は液体に浸されている。繋がっている装置が動き出すと、ゴンゴン大きな音が鳴った。
やがて、少し黄色みがかった綿のような物が、ナスフラの内面にひっついていた。
「何ができるのでしょう」
俺は周りに立っていた人に聞く。
「イエローハイマッシュルームの効用はお聞きでしょう? あれから『エナドリ』が作られました」
たぶんスタミナ回復薬的な。でもスタミナの概念ないんだよな。EPとか?
「イエローブルフロッグは、イエローハイマッシュルームを主食としています。つまり、イエローハイマッシュルームの成分を体内で濃縮しているのです。そんなイエローブルフラッグが窮地に陥ったとき流すのが脂汗です。濃縮した危険な液体を発することで、窮地を脱せるようにという素晴らしい仕組みです。今その濃縮された脂汗を凍結乾燥でさらに濃縮し、粉状にするのですよ。とても危険な試薬ができあがりました」
え、俺、危険な実験に手を貸したの!?
そんな顔色を見てか、彼は笑う。
「『エナドリ』と同じですよ。毒も薬になります。アレを使って新しい薬を開発します。このような歴史的瞬間に出会えて、私は幸せ者です!!」
周りの白衣の人たちもうんうん頷いて感動して涙を流すヤツまでいる。
本当に大丈夫かなぁ?
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エナドリの効用はまた後日




