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貸本屋のお姉さんに気に入られるために俺は今日も本を読む  作者: 鈴埜


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144/362

144.おつかいクエストのために

 おつかいクエストは、


■イエローハイマッシュルームの採集

■イエローブルフロッグの脂汗の採集


 この二つだ。


 キノコはこの面子がいたら黄色親分出てきてもいけそう。余裕そう。なので心配していないが、脂汗がなぁ。


「とりあえず何も考えずにそのヘビのモンスター連れていってみましょうよ」

「ヘビはどんなヤツなのか見てからかな?」

 八海山がポータルを取っているので、クランハウス集合になった。

 この短い間にでも本屋にと思ったが、自分からお誘いしておいてそれもなぁということで、現在作戦会議。


「ヘビは、空を飛んでるモンスターを食べてました。俺がぎょろちゃんに乗って飛んでるときに【投擲】で羽根を狙って落としたら、それをぱくついてた」

「弱肉強食じゃのう……カエルさん、食べられないように瓶に入れるか。普通のブルフロッグと同じくらいの大きさ?」

「そうですね。黄色い以外完全にあいつと同じでした」

「ならここらへんかなぁ。そやつ、毒持ってるんじゃろ?」

「らしいですねー。ハイになるキノコ食べてるからかな」

 毒を持つ食物を食べて毒を持つことになった生物だ。柚子がいくつも瓶を取り出し眺めていた。


「お待たせ~。準備する」

「ガチの数学の授業しやがったッ!!」

「あれ、なんか新しい事業でも始めるつもりなんじゃね? 大学生向けとか?」

「受験勉強終わってる勢に??」

「大人になってあのころの授業ちゃんと受けておきたかった勢に」

 需要は……あるかな? 公開授業とかあるしなぁ。時間がなくて行けない人向けとか、興味のある分野なら楽しいかもしれない。


「テストで落ちたヤツ、ふざけた回答ばっかりしてた面子だけみたいだし」

「数学以外は楽しいかもしれないッ!! 今度は歴史とか狙ってみようかと思うッ」

「あー、歴史はいいかも。国語も……古典とかまあ、今更だけど」

「英語の授業は需要しかないかもしれないわね~」

「大人になって勉強始める人も多いのじゃ」

 ただ、受験勉強にはイマイチらしい。定着率が微妙とか。それにやはり、起きている間も寝ている間も勉強は、メンタル面でやられるという。


 純粋な知識講座としては良いかもしれない。ゲーム知らない人がウロブルまで来ないといけないのがアレだが、ゲームの斡旋方法としては間違っていない気もする。

 このゲームは毎月の定額支払いと、時々発売する特別アイテム課金が直接的な収入のメインだ。

 あとは、始まるロードの時に流れるCMかな。ほとんど気にならない。1分もかからないし、エロ広告ないしね。近未来設定とかなら、街中に広告を出せるゲームもあるらしい。さすがにファンタジーなここでは無理だ。世界観がむちゃくちゃになってしまう。


 半蔵門線以外が揃いパーティーを組む。出発だ。

 うう、まだレベル追いつけない。急がねば。


 途中までは騎獣に乗り、俺が言っていた飛ぶモンスターが現れだしたところで降りることとなった。


『敵影、4つ。前方2匹と右手に1、左手に1』

『前方は……言ってたヘビだな。セツナ右側警戒しておいてー』

『りょ』

 半蔵門線がいないので、今日は俺がそこをカバーできるように頑張らねば。


『ヘビ視認。属性は、水?』

『カエルに属性的にも優位か。まあ、魔力の差があったりスキル差があれば全然関係ないけどなー』

『一度殲滅してみよう』


 水に水は微妙なので、風を付与して準備だ。

 1匹2匹なら問題なく倒せることがわかる。が、なんとこのヘビ、沈黙のデバフを投げてくる。

『ほんげー』

『むぐーッ!!』

 魔法使い2人、無力化されていた。


『ヘイトとりしっかりしないと危険だな。何分?』

『5分じゃねー』

『あーでもこれ、沈黙をカエルにかけて、カエルが暴れるの防げたらいいのか』

 カエルを瓶に詰めるって話していたとき、そこが困るなと思ってたんだよね。


『んーじゃあ、ヘビ持って行って、カエル詰め込んで、お見合いするか』

『先に黄色親分倒してからがいいんじゃないか?』

『順番が決まったなら、その泉まで騎獣で駆け抜けるか』


 という話になり、ぎょろちゃん移動。飛んできたら羽根狙って【投擲】だ。

 湖がちかくなったところで降りると、さっそくイエローブルフラッグのおでまし。

『てか、セツナよくこれに勝てたな。このカエル結構強そうじゃん』

『強かったよ。ウンディーネが助太刀してくれた』

『あれ、お前契約交わしてないんだろ??』

『アンジェリーナさんを差し置いて伴侶にすると思うか? 運動会3種目全部勝ったからかなぁ??』


 前回はカエルをたくさん狩ったら親分が出てきた。

 正直、ウンディーネが現れた湖に放り投げるのはちょっとなあと思う。あそこと違って、ここ綺麗なんだよ。


『なら、瓶たくさんあるから閉じ込めるのじゃ。せっちゃんはとりま舌切りコースで。出てこないならヘビ捕まえに行くのじゃー』

 結局やることは同じだった。

 

 黄色いキノコに手を伸ばし、西風のダガーを振るう。

「ゴゲエェェ!!」

 黄カエルおこ。からの石つぶて。


『あ、痛いっ』

『瓶入れてみる? あんまりこのカエル触りたくないが』

 ソーダも触るのをためらう黄色さ。蛍光色なんだよなぁ。


 

『軍手あるのじゃ、貸しちゃる』

『柚子サンキュー!』

 器用さを上げる軍手らしいが、気持ちの問題か?


 石つぶてを浴びながら、カエルを掴んで柚子の差し出した瓶に放り込む。蓋を閉めるが、石つぶてで破壊された。


『残念なのじゃ~』

『なら始末かな?』

 ピロリが動こうとしたところをソーダが止める。

『セツナ、ちょっとでも経験値稼いどけ』


 付与を水に変えて、ソーダが掴んでいるカエルをスパッとやった。

 おー、1%増える。

 まさかのこんなところでレベル上げになると思わなかったが、余裕があるクランメンバーのおかげで、カエル20匹くらいすぱっとやりました。

 そして、俺の【気配察知】が働く。


『あ、来る。湖から』

 やっぱり放り投げてよかったのかもしれない。

 今までにない大きな気配。現れたのはビッグイエローブルフロッグだ。俺が名前を知ってるせいか、???でなく、ちゃんと名前表記がある。


『おおー、黄色親分!!』

『ノーマル親分よりは強いかもしれないから十分気をつけて』

 八海山のバフが配られる。

『ピロリさん、剣に付与いる?』

『あ、もらおうかな。やっぱり土系?』

『ですねー【水付与】』

『【MP譲渡】』

 付与あと1回分だけということで柚子がMPをくれた。ありがたい。

 魔法使い組は、回復力が上がるスキルと、もともとMPが多いのが相まって、MPが切れることはそこまでないらしい。回復とバフに忙しい八海山がたまに息切れするので、【MP譲渡】はなかなかいいスキルだと褒められた。


『ヴァージル様々なのじゃ』

 いやー、ホントにね。

 さあ、黄色親分と対決だ。

ブックマーク、評価、いいねありがとうございます。

誤字脱字報告も助かります。


睡眠学習は色々やばそーなので触れるのはあんまりしたくないw

そんな話もありました程度で。

そちらに話を広げる気はない!

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― 新着の感想 ―
MP譲渡がいぶし銀の活躍するの割と好き。ターン制バトルゲームだと不遇がちだけど。
更新ありがとうございます。 次も楽しみにしています。 脂汗、どうやって収集するんだろう?
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