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貸本屋のお姉さんに気に入られるために俺は今日も本を読む  作者: 鈴埜


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142/362

142.水辺の救世主

 ぎょろちゃんに乗って空を行く。

 うーん。これ飛行系に属するのかなぁ。でも、定期的にジャンプするか、ぼぼぼぼって火力増やしているんだよね。

 羽ばたいてはおりません。


 途中飛行系のモンスターがやってきた。

 何かわからないが、【投擲】で羽根狙ったら穴が開いて落ちていった。

 中途半端なの放置していいのかなと思いつつ、下にはなんかエグそうな蛇がいたので降りたくありません!! あ……蛇が食べた……。ご愁傷様。


 実感は湧かないが、獅子座の宝珠のおかげか【投擲】の威力が増しているようだ。石をもっと集めておかないといけないな。


 【持ち物】の中が石ころだらけとか、リアルでは遠慮したい状態。

 やがて木が多くなり、水辺に出た。

 多分言っていた湖だ。

「ぎょろちゃん、降りよう」

 背を撫でると、次第に降下していく。突っ込んでいくのではなく、くるりと旋回しながら徐々に高度を下げていくのだ。

 気遣いの塊。愛おしい。

 赤水晶を渡して石に戻ってもらった。


 降り立ったところで、あからさまに異質な黄色いキノコを見つけた。かさの部分が黄色で、赤い斑点がある。

 毒やろ……それか食べたら大きくなりそう……。


 まあそれでもお望みの品なので、いただきます。

 手を伸ばしたところをぴゃっと何かが通り、目の前にあったキノコが消えていた。


 デジャヴぅ!!!


 今まで察知できなかった気配が現れた。


 見やると、黄色いカエル。

 イエローブルフロッグ。

 うぇー、やりあったらビッグイエローブルフロッグ出てきたりして?

 色を見るにこれが主食なのだろう。

 さて、また舌を切るか? イエロー親分登場はやだなぁ。絶対一人じゃ勝てない。

 【属性看破】でイエローは土属性なのはわかった。土属性攻撃はほとんど通じない。属性は結構面倒らしいが、ほぼ共通なのは、同属性は攻撃が効きにくい。

 属性プラス物理なら、物理だけが反応するらしい。

 光と闇のような完全なる対立は珍しいそうだ。

 土は防御に長ける。固まれば強い。わりあい効くのは水だそうだ。硬い土も水を山ほど与えれば軟らかくなる。


「【水付与】」

 さあ、キノコ狩り、始めようか!!


 俺がキノコに手を伸ばす。横からしゅっと盗っていく。

 親分のところと違うのは、カエルの数だ。周りを見回しても1匹しかいない。

 他から狙われないのは助かる。

 なので、俺は例のごとく軌道を狙って手を伸ばした瞬間、しゅっとダガーを走らせた。


「ゴゲエエエ!!!」

 手応えアリ。そして、飛んでくる石つぶて。


 はあああ!? あいつ魔法使いカエル!?

 つよっ!!!

 石つぶて痛いっ!!

 紙装甲に酷い仕打ち!!

 まさか魔法が来ると思っていなかったので、一度目はもろに喰らった。HPごりっと減って泣きそうになりながら回復ポーションを飲む。2発目はこちらも構えていたので逃げられた。

「【ひと突き】」

 水流がカエルを襲うが、あちらもひょいっと避ける。

 近づこうとすれば、石つぶてに襲われ、中距離攻撃の【ひと突き】は避けられる。

「【ウォーターボール】」

 水の球がカエルを襲うが、それもひょいひょいっと避けられた。

 あちらさんも敏捷値高いっ!


 どうにもこうにも決着が付かない。

 仕方ないのでキノコ狩りを隙を見て押し進めようとすれば、怒り狂って石つぶて。

 これ以上採取できない。1つじゃなあ。


「誰かにお願いすれば良かった!! ヘルプミ〜」

「はあい! 助けが欲しいの?」


 俺の叫びに後ろから声が掛かる。本気でびっくりして飛び上がった。

 そこにいたのは――、

「リリさん!?」

 ウンディーネのリリだ。青い髪、今は白いワンピースを着ている。不思議と湖の中から来たくせに濡れている感じはしないのだ。


「水辺は私たちの領域だって言ったでしょう? 連絡が入ったのよ~。手を貸しましょうか?」

「貸してください~。カエル、土属性だから、水は結構効くかも?」

「そうね、その黄色いカエルは、私に掛かればイチコロよ♪ 【ウォーターボール】」

 俺の水の球みたいなへろへろのが1発じゃない。ぐるんぐるんしてる水の球が恐ろしい勢いで、イエローブルフロッグへ向かう。


「ゴゲェ」

 か細い断末魔とともに、カエルの姿が消えた。

 ドロップは黄色蛙の矢毒。

 毒持ちかーい!! 危ない危ない。


「助かりましたリリさん」

 俺はいそいそとキノコを集めた。

「そのキノコ、あんまり食べるのはお勧めしない感じだけどー?」

「ですよね、幻覚見そう。頼まれ物なんですよ~」

「ふうん。セツナが食べなければいいけど」

「参考までに食べるとどうなりますか?」

「ふふ……、丸1日生きてるのが楽しくなって、次の日死にたくなるわ」


 完全に、あかんやつー!!!


「何に使うんだろ……」

「人が食べるものじゃないから、気をつけてね」

 リリが湖の中に沈みだした。

「ありがとうございました!!」



 帰り道、またもや飛んでくるのを【投擲】で落として、蛇の餌を作る作業。

 途中からぎょろちゃんが火を吐いたんですけどおお!!

 【ファイアーアロー】というよりは【ファイアーボール】かな?

 ぼっぼっぼっと音をさせて、火の玉が飛んできたヤツを打ち抜いていた。


 事前に案山子に連絡を取っておいて、黄色キノコを鑑定してもらう。学園前だ。

「か、案山子さん、制服っ!?」

「あ、そうそう~。成人しているように見えるエルフの制服姿って、ちょっと微妙だよねー!!」

 ブレザー着てた。ネクタイして、かっこ……なんだろう、年齢層高めのアイドルみたいになってる。


「イエローハイマッシュルーム」

「名前がもうアカン」

「食べればたちまち元気になり、丸1日行動力が上がる。だが、翌日は死んだように動けなくなるだろう」

「存在がアカン……」

「セツナっち、これどうするの……」

「学院の先生のおつかいクエストです。渡していい物かどうか」

「ぶっ飛んでる先生だった? 常用者?」

「どちらかというと、やる気はない先生だね」

 怠惰の極み。


 素直に渡していいか悩むところ。

 さて、どうしましょうかね。

ブックマーク、評価、いいねありがとうございます。

誤字脱字報告も助かります。


地属性と土属性はNPCもどちらも言うのでどちらもありです。

(私の表記ゆれが激しいからどっちもありだよ!!)


リリさんが鯉のぼりボートレースで来なくて、今回来たのは、ヘルプしたからですね。助けてぇーて。

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― 新着の感想 ―
ログアウト中のイエローハイマッシュルームの効果時間の経過はどうなってるんだろう? 来訪者は1日活動して、2日寝てるのでユーザーが次にログインした時にダウン効果の効果時間が過ぎてるとしたら、デメリット無…
ギョロちゃんがだんだん時間経過で機能取り戻していくターンAみたいに新技出してくるの草 そのうち全身バラバラに分離してオールレンジ攻撃とかしませんか?
更新ありがとうございます。 次も楽しみにしています。 ボートレース、もっと楽に勝てたのかな? いや、地獄絵図になるだけか
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