137.いざウロブルへ
公式を覗いたら、ウロブル解放の文字。
今日の夜中からだという。
どうしたって寝ている時間にするゲームだから、イベントがリアル時間の夜中に起こる。運営さん、昼夜逆転生活大変。
ログインすれば、クランチャットに集合時間が書いてあった。まあせっかくだから行きたいよね。
俺はミュス狩りをお休みして、少し先に行ったマップ、牛丼のためにブルーブル狩りを開始する。
人が周りにいないこと前提だが、背中に乗ると1匹が暴れてその場にいるブルーブルに追突しだすのだ。そうやってわちゃっているところで属性剣を振るう。
「【ひと突き】」
その属性特有のものもあれば、既存のスキルで使える属性剣もある。【ひと突き】はわりとどの属性でも通じた。風でやれば風が真っ直ぐ相手に伸びる。弱点を突ければそれで勝てた。
地属性がちょっと面白い。
【土の檻】というスキルで、地面に突き刺すと目標地点の土が盛り上がって対象を閉じ込めるというやつだ。
基本的に、付与すると魔法が使える。魔法使いで覚えたスキルが使えるのだ。
つまり、【ファイアーボール】を属性剣の先から出せるのだ。が、それなら魔法使いでも事足りる。剣と合わせた技が、やはり付与ではメインになってきた。
【ひと突き】は地魔法や聖魔法では出なかった。スキルにも相性があるようだ。
土魔法がまったくわからなかったのでどうするかと思っていたら、ヴァージルが聖騎士の中の地魔法使いに引き合わせてくれて、いくつか魔法を見せてくれた。地魔法は、【アーススパイク】や【アースクウェイク】などの攻撃魔法もあるが、どちらかというと、地形を変えたりして相手を妨害、味方の足場確保に努める魔法が多いそう。
見せてもらって教えてもらうことによって、いくつか覚えることもできた。
くっ、絆の恩恵あざますっ!! お金払うの嫌っ!!
俺は信じてる。
属性剣にしかない、必殺技的なものをっ!!!
ヴァージルがたまにやってる【なぎ払い】の火バージョンめちゃくちゃかっこいいんだよなぁ。あれをやるなら、西風のダガーじゃ無理なので、新しい剣だ。
今度イェーメールの鍛冶屋に行って、お見積もりというか、どのくらい金がかかって、どんな材料が必要なのかとかも聞いてみないと。
あれだけ鍛冶屋があれば誰かしら知ってるだろう。
あらかた狩って、そろそろ時間だとクランハウスへ帰還した。
最近はぎょろちゃんもうバレたし、クランハウスへぽちっとな、ではなく、わざわざ乗って移動することも多い。
空の旅って、憧れ。
「よーし全員揃ったな。ウロブルまでの道のり何があるかわからないから、【持ち物】しっかり見直しておけよー!」
俺は牛肉をクランストレージへ入れて、牛丼を代わりにもらった。あとはパン系。チーズパン増えてるんだ。美味しいヤツが。
「あ、そうだ、八海山、ちょっとだけいい? 今MP減ってる?」
「いや、満タンだが」
「何かに使って少しだけでもいいから減らしてくれない?」
お願いすると無駄バフかけてくれる。
「【MP譲渡】……生えた?」
「いや、生えないな」
「俺、ヴァージルにMPもらったら生えたんだよねー。何度かやってみるうちに生えるかも」
「せっちゃーん! 私もやってやって!!」
攻撃系なのに何でMP消費するかと思ったら、フロストダイスを出した。出した瞬間にMP減るらしいので俺はすかさず譲渡する。
「生えた!!! それじゃあ、私が道中【MP譲渡】し続けるのじゃ~」
「ランダムで生えるのか」
「俺のMPだと付与4回目できないんだよね。もしもの時にもらえるように!」
暇なときに全員生やしておこうという話に。
「便利なもんもらったな~」
「ヴァージルのステータスが恐ろしくて聞けません」
「早くパーティー組めるように、またヴァージルに鍛えてもらっとけー」
Lv差10まではちょっと甘える予定。
ポータルが現れて、俺たちはローレンガへ移動する。
予想はしていたが、人でごった返していた。
これから移動だ。落ちていた橋が開通するのだ。
「やばいなー。重くなりそう」
「別チャンネルいくつ建てるんでしょうね~。恐ろしいわ」
「ローレンガの先に、忍者がいるかもしれないでござるね」
「忍者は、あるならローレンガだと思うがな」
「お屋敷調べたッ?」
「街をしらみつぶしにするのじゃ!」
街を出るとあからさまに人が減った。
このタイミングでユーザーが多すぎて振り分けされるようだ。
『それでもまだ多いけどな~』
『戦いにくいわよね~』
まあ確かに人に当たってしまう。
橋まではマップ2つ分くらいあるらしく、騎獣に乗って行くことにした。
赤水晶は気付くとあっという間になくなる。
常に在庫を確保しておけるよう気をつけねば。
『赤水晶露店も多くなったわねー』
『赤と緑一緒に売ってるのじゃ』
ぎょろちゃんはやはり柚子のヒビキと仲が良いようだ。尻尾にヒビキがじゃれつくのを、わざと振って遊んでいるように思えた。
半蔵門線はなんで腕組んで馬に乗ってるんだよ……。
『強者の感じを出す走りを研究中でござる。あと、馬上から【投擲】練習もしてるでござる~』
橋ではNPCの職人たちがえっちらおっちら杭を打っている。
そして、午前0時。開通だ。
ドドドとなだれ込むプレイヤーたち。いままでは飛べる系騎獣でもこの橋は越えられなかったそうだ。
ぎょろちゃんは後ろ足噴射して空を行く。
ヒビキは足場にして宙を行く。
橋はかなり立派な橋だ。道幅も広い。
そして、敵も強いらしい。
騎獣に乗ってだと、連携が難しいとすぐ降りることとなった。
『他パーティーと揉めないよう距離には気をつけろ』
『範囲魔法は止めた方がよさそうだねッ!』
『こまめに行くのじゃ~』
俺も働けること。
【気配察知】そして、【属性看破】だ。
『左のクマみたいなヤツ、水属性だと思う』
何に何が特段効くというものは、聖属性と闇属性以外はなかった。火には水と言えども、火の勢いが強ければ少量の水なんてなんの足しにもならない。ただ、同じ属性だと回復のような効果を出してしまうものが多いので、他の属性にしたい、先日のエルダードリュアスのような水を得るとアウトのものもいる。
傾向はあるらしいのでとにかく属性を見て行くことにした。
そしてとうとう、ウロブルの街の門が見える。
すでに門は開かれていたが、完全に開ききってはおらず、2匹の魚の絵が見えた。
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ウロブル解放されます!
第5都市の貸本屋は誰だっ!!




