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貸本屋のお姉さんに気に入られるために俺は今日も本を読む  作者: 鈴埜


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136/362

136.付与の強化の秘密

 鯉のぼりボートレースから、リアル時間の翌日。

 俺は今、お姉様方に囲まれています。

 圧がすごいなこれ。


 一番前には濃い肌色の銀髪青目の少年が、困った顔をして微笑んでる。

 困ってるのこっちだけどね。

 クランチャットにはヘルプ出しました。

 始まりの平原でアマゾネスに詰め寄られてるって。


「突然済みません、蒼炎のリーダー、黒豆といいます」

「あ、はい」


「何その腑抜けた返事~」

「黒豆が挨拶してるのに、名乗りもしないなんて」

「失礼千万」

「ちょっとしめる~?」


 怖いよおぉ……。


「みんな、ご迷惑掛けてるのはこちらだからね?」


「はーい」

「私いい子だよ」

「大人しく後ろで待ってます」


 総勢8人かな? みんな強そうな装備。


「この間の鯉のぼりレースの動画を拝見させていただきました。それで、少しお聞きしたいことがありまして……」

「なんでしょうか」

 今度は、ちゃんと、ちゃんと答えたよ!

 それでもお姉さんたちにじろりと睨まれたままだ。


「セツナさんは付与師を始められたんですよね?」

「あー、そうですね」

 はっ、これは気の抜けたお返事!? と身構えたところに、別の声がした。


「すとーっぷ!! 黒豆さん、俺のクランハウス行きましょ」

「ソーダぁぁ」


セツナ:

怖かったよおお。なんなのこのお姉さんたち!!


ソーダ:

黒豆のハーレムメンバー。


セツナ:

え、ヤバっ!


ソーダ:

黒豆さん別に悪い人じゃないしもてあそんでるわけでもないけど、なんだろう……無自覚……。と思われている。


セツナ:

ヤバっ!!


「ここじゃなんなんで。あーさすがに全員入ったら狭いんで~、黒豆さんだけで」

 営業スマイルのソーダに不満そうなアマゾネスたちだが、文句は言い出さなかった。

 黒豆がじゃあそれでと言ったからだ。


「俺ら一足先に帰ってるんで、待ってます」

 帰還ポチッとな。


 クランハウスには柚子以外揃ってた。

「セツナ何したんだよ」

「何もしてないってー。なんか鯉のぼり見たけど~で話し出そうとしてたところ。動画上げた?」

「もちろん上げた! その後の温泉も上げた!」

 動画再生率もなかなかだったそうだ。まだ誰も見てない温泉旅館だったからなあ。上位5グループのみ、先行温泉入浴券。ただし、旅館には泊まれません。高そうなお宿でしたよ。


「黒豆さんが用事があるらしいっぽかった」

「あの人がリーダーで彼女たち止めてるけど、結構怖いから気をつけろよ、あの姉ちゃんたち」

「圧ヤバかったな」

「基本自分たちでパーティー組んで狩りしてクエストしてって感じだけど、実力はあるからさあ、協力型レイドとかでは結構一緒に動くんだよ。黒豆に不利益なことしなきゃ大人しいし、変に関わらなきゃ大丈夫だけどな」


 そんなことを話していると、扉がノックされる。


「いらっしゃい。何飲みます?」

「コーヒー以外ならだいたい大丈夫です」

 ということで、桃ジュース。それぞれ腰掛けて、本題だ。


「動画でセツナさんが付与をしているのを見たんですが、効果が僕のとはまったく桁違いだったんです。それで、何が違うのかお聞きしたくて」

「あー、そういやセツナこの間バタバタして聞き損ねた。付与すごかったんだけどなんで? 全然オワコンじゃなかったんだけど」

「そうなんですよね……魔法剣憧れて取ってみたものの、付与の効果が全然で。僕の氷付与じゃ川を凍らせるなんてとうてい無理なんです」


 あ……これは。


「触媒は何を使ってらっしゃいますか?」

「この間拾った花びらだろ?」


 これはこれは。


「黙秘!!」

 口を押さえて俺はブンブンと首を振る。

 みんながきょとんとした顔で俺を見た。


「話せませんっ!!」

「おま……え、話せないって」

「だってNPCが話さないでねっって」

「あー!!! この間言ってたヤツか。うわ。ごめん、黒豆さん」

「……いえ、意味はわかりました。つまり方法によっては魔法剣は強くなると」


 黒豆の目がキラキラと輝き出した。


 いたいけな少年を前に、俺は黙秘しなければならないこの罪深さに……いや、ハーレムの王よ、こやつ。いたいけじゃないわ。


「頑張ってっ!」

「なんかヒントないの? セツナ」


 ソーダの質問にまた彼は目を輝かせた。

 そのつぶらな瞳はずるいっ。そうか、これであれだけの数のお姉さんを……っ!!


「ヒント、ヒントなあ。えーとうーんっと……」

 触媒を強化するのが錬金術師だけど、錬金術師がいるってのがまだ知られてないからそこは言えない。でも結局錬金術師なんだよなぁ……。


 うんうん唸る俺に、黒豆は苦笑して首を振る。

「困らせてすみません。何か探してみます」


ソーダ:

セツナ、それって貸本屋関連?


セツナ:

確かに、貸本屋で付与の本読んでそこにもヒントあったんだけど~、たぶんそれ以前から俺、そこら辺関わってるんだよね。


 カクさんところで第1錬金術師に遭遇してるんだよなぁ。その後は本屋で読んで、ヴァージルからだから。


「ちょっとヴァージル関わってるんだけど、多分違う気もする」


 俺もそれなりに考えてみたんだ。ソーダたちになくて、俺にはあった要因。カクさんが俺にだけ錬金術師ってことを告げたやつ。


「図書館で付与について調べました?」

「図書館!? いえ、調べてないですね……調べてみます」

「それだけか、わからないらしいですけど」

「ヴァージルさんが関わってるなら、ちょっと僕には無理ですね」


 薬師、もキーワードな気がするんだ。


「とにかく、みんながありそうって言ってる職業はあるねえって話ですね」

「職業!?」

「え、お前新職業に触れてるの!?」

「それになるのはお断りしましたぁ」


「忍者でござるかっ!!!!」

 違うでござるよ。


 これ以上は勘弁してくださいと黙秘を貫く俺に、黒豆さんは少しウキウキして、図書館に行ってみますと帰って行った。

 クランメンバーも聞いちゃいけないけど聞きたいでそわそわしている。


「忍者でござろう!?」

「違います……」

「忍者っ、絶対忍者はあるっ!!」


 俺もローレンガの貸本屋で探してみたんだけどね~。忍者見つかりませんなぁ。


ブックマーク、評価、いいねありがとうございます。

誤字脱字報告も助かります。


みんな大好き魔法剣!!

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― 新着の感想 ―
実際にフレバーテキスト大好き考察勢とかいるから、この作品じゃなければ図書館の住人になる人結構いたりすると思います。 話の展開上そういう人達は居ないのかな。
とりあえず『付与大好き』からおすすめしてみたら?
プレイヤーが謎解きしてルートを開いたら実装するゲームって面白そうではあるけど文句を言う人多そうw そう言えば新しい街とか、ペットとか、プレイヤーが到達したら解放な流れでしたね。 そのうえでNPCから口…
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