119.付与魔法の本
一度クランハウスに帰り、ストレージの中から牛丼以外にもチーズとか、菓子とか渡した。それじゃあと帰る姿を見送って、アンジェリーナさんのところへ。
知力を上げたい、【知の泉】がもう少し育つのか知りたいと読みあさっていた。魔法使い関係。付与関係の本を探す。
「セツナくんは魔法使いになることにしたの?」
「うーん、魔法使いにしてはちょっとお勉強が足りなくて。それよりかは武器などに付与して魔法剣士がかっこいいな~と」
「属性剣は便利よね。属性に偏りがある狩り場は多いし、モンスターも特定属性しか通用しないものも多いから。付与ならここら辺の本も読むといいわよ」
珍しく、アンジェリーナさんからのおススメが来た。もちろん借ります。
『付与の醍醐味』
『付与の夢』
『付与についての考察』
『付与大好き』
大好きやん……みんな同じ作者だ。
アラン・マクイーンさん。
内容面白いというか、付与ガチ勢だった。
付与の世界は奥深いらしく、付与する際に触媒を使うともっと強くなれるそうだ。
ジンギスカンパーティーしてるときに、使い方によっては強くなれるって言ってたのはこれだろう。
触媒がなんかホント多種多様というか、多すぎて。
系統があると思いきやそうでもないとか、この作者本人がもちろん付与師らしく、弓職の付与をするので、矢に付与するときの触媒一例がならんでいたりする。メモりたいと思ったが、本の内容は振り返ることができた。【知識】の項目に新しく【付与・触媒一覧】が増えている。よかった。
ミュスなら属性も関係ないし、付与付けられるようになったらそれで練習するのもありだな。
そして、気になる一文を見つけた。
『元来付与とは、この世から消えた錬金術師の分野だったと聞く。彼らがまだこの世界で力を振るっていた頃に戻って話をしてみたいものだ』と。
にゃんと……。
これ、ヴァージル知ってて俺に付与いいよって言ったのかどうか。謎だ。こちらから錬金術について話す気はないけども。
だって、神殿と錬金術師って相性悪そうじゃない? 迫害したのってどう考えても神殿側だもんなぁ。
それにしても5属性以外に属性がたくさんある。どうやって手に入れていくんだろう? あー魔法使いの属性についても読みたいな。
てことで本を返して次のを借りる。
『魔法と属性』
『失われた魔法』
『闇魔法と邪教』
魔法と属性で、魔法の種類について書かれていた。
火、氷、雷、風、地(土)までは俺も知っているし最初の魔法は手に入れた。
聖、闇、無、は聞いたし知っている。
水、時、毒、木、そして星。
星!? 星座魔法ってことかな??
と思ったら、『失われた魔法』に星があった。かつて、星の神々は人に力を貸すため、直々に降臨していたことがあったらしい。
ただ、その代償は高く、それを払えるほどの魔力を持つ者がこの世界からいなくなり、今では失われた魔法と呼ばれているらしい。
半身の獅子神様なら、始まりの平原でミュスと戯れておりましたが。
しかし、降臨とか、召喚魔法みたいだな。召喚か……ありそうなもんだけど、新しい攻撃職、てことで退魔師でわいていたくらいだから、まだ出ていない新しい職なのかもしれない。
ソーダたちがやっていた同じ運営会社の前のゲームは五年続いたそうだ。
こちらも上手くいけば最低それくらいを目処にしているのだろう。
となると、長く続けるために適度に新コンテンツを放り投げる必要があり、徐々に街を解放したり、新役職を与えたりで新しい部分を見せて行くのだろうと思った。
本屋を満喫して、別れを告げる。
ミュス狩りをしながらクランチャットで質問だ。
セツナ:
露店許可って、商業ギルド、ですよね?
ピロリ:
そうね~。売るもの出来た?
セツナ:
レインボータートルエッグが5つ。
ソーダ:
5こぉっ!? ……あそこ激混みマップだから、いくらヴァージルとだからって、取れすぎだろうよ。
セツナ:
激混み?? 俺ら以外誰もいなかったけど。
ソーダ:
ええっ!? 混みすぎて同サーバーでも別チャンネルいくつも作ってるって聞いたのに。パーティー違うと別チャンネル送られたとか。ええ?
セツナ:
ええ?
八海山:
もしかしたらだが、ヴァージルがいたから、かもしれないな。
ソーダ:
NPCとの狩りだから専用チャンネル送られたやつ? だとしたらラッキーだな。本当にあの虹亀海岸、人でごった返してるし、なんなら外れたら即別のヤツが魔法打って横取りしたのだの何だのごたついてるから、危険マップなんだよ。ユーザーの横殴りで喧嘩になって通報しただのされただの。ドロップ率も激ヤバだから、その横殴りしたやつから出たらもう大変。
セツナ:
おおう……
そんな修羅海岸嫌だな。ただ、そうなるのはわかる気がする。ドロップ1つ当たったらほくほくだし。
ソーダ:
まあ、おめでとう。ただ、露店売りどうなんだろうな。魔法も使う剣や短剣や弓使いが、魔法伝導率上げるために武器作るときに使ったりするみたいだが、そこまでの武器を作るユーザーが今はまだいない。石を持って、鍛冶職人に頼んだりする。どちらかというと貴族の宝飾品としての需要が高いみたいで、店売りでも結構なお値段がする。
柚子:
貴族で欲しがってるのがいるか聞いてみるか?
半蔵門線:
それならあの変態エルフに聞いた方が早いでござろう。
あやつ、貴族相手でもちらほら見かけるらしいでござるよ。
セツナ:
ファマルソアンさんか……。
ソーダ:
250万以下なら売らなきゃいいんだよ。
仕方ない。少しでも金を貯めるために、連絡するか。
NPCってなんで即レスなんだろう。まあまだ夜だけど。夜中じゃないけど。
『品質によりますね。一撃なら結構な美品ですから、物によっては高値で買い取りますよ』
一撃ではあったな。
ということで、イェーメールへ行こうとしたら、今ちょうどアランブレの店舗にいるのだという。店舗の位置を教えますので来てくださいと言われた。
自動で地図にポイントがついている。
この店舗、貴族門の向こうじゃんよぉ。
門で兵士に、用件を聞かれて答えると、すでに連絡があったらしく素直に通してくれた。お行儀よくね、と笑って言われる。
そりゃここで問題行動起こしたら終わる。
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