108.皿を探せ!
まさかの対話で星へ返すとは……退魔師というよりそれこそ聖職者だな。
こそこそ逃げようとしていた男をピロリが捕まえて、そのまま門の詰め所まで連れて行く。だいたい、門の近くに兵士たちがいる建物があるのだ。
そこで今回のいきさつと、彼が最初の妻を殺しているかもしれない。行方不明だと言われた遺体が川に沈んでいるそうだと話して、バタバタしているうちに街の店が開きだした。
「よし、皿だ。皿の絵はクランチャットに共有した通りだ」
「白地に模様が入ってるのね」
「ソーダが見せた皿青い花の皿だったでござる」
「そりゃ違うのじゃ」
「皿の絵書いて、食器屋さんに持って行って聞き込みがいいと思うッ!」
「なら紙と筆の調達だな」
紙、道具屋? ということで移動しようとしたが、面倒なのでカクさんちーっすした。ちょうど店が近かったのだ。
「紙? そこら辺の勝手に使いな!」
ありがとうございます。
一番絵が上手いというピロリが描いた。確かに上手い。3枚ほど同じものを書いて、手分けすることにした。
お礼は案山子の牛丼です。
「今日の昼飯にするか」
「今度来たとき感想教えてくださいねー」
NPCにとって美味しいのかな? 俺はとっても美味しかったです。
俺はソーダと案山子と一緒にうろつくことになった。
「経験則、誰かに聞いた方が早い」
「そこで聞ける伝手があるのがすごいんだって」
ローレンガの街なら俺に任せろのアキヒトさんへ、届け、ハトメール!
渡し船ですぐ来てくれた。
「皿が売ってる店か。陶器屋が集まってるところがあるから案内するよ。乗りな!」
気風がいいお兄さんだ。
ただ、渡し賃はしっかりもらってもらった。さらにお礼に案山子から牛丼。
便利に使ってしまってる罪滅ぼしだ。
パーティーチャットはそのままなので、ここの位置を知らせておく。
そして端から一件ずつ当たっていった。
『そういえば、カサネからも退魔師という言葉が出たな』
『新役職に近づいている予感ッ!』
『聖職者と魔法使いを極めたら賢者とかそういうのかとも思ってたんだけどなぁ』
あるあるだ、それは。
『キクさんの皿を片付けたらそれで新役職ゲットだぜ、なのかな?』
『どうやってゲットするんだろう』
そもそも、基本職はそこまでこだわる必要はなさそうなのだ。問題はスキルツリー。その役職に就いていないと得られないものが多いだけだ。
俺は戦士を選んでるけど、まったく戦士らしいことをしてなくてミュスばっかりやってるからスキルが伸びていない。
新役職に期待するのは新しいスキルだった。
『退魔師はさ、聖職者の癒やしたり、回復させたりすることプラス、今度は攻撃を得るって感じだよね』
『だなあ。八海山も身を守る術を身につけられていいよな』
皿は、似たものはあるのだが、どうしても色がついているのが多くて、真っ白なのが見つからない。
と、報告がある。
『そっくり同じのゲットよ~!』
『念のため2枚買ったのじゃっ!』
ピロリ柚子コンビが見つけたようだ。
『おーよかった。結構時間かかったな。どうする? たぶん24時回ってからがいいと思うんだが。みんな6時には起きないとだろ?』
『社畜は辛いでござる~』
『んじゃ、解散するか、美少年潰しに行くかだな』
『せっちゃん腕力上がったし、美少年退治がてら、道中攻撃にも回ってもらうのじゃ。ちょっとでもレベル差縮めてくれろ』
リアル時間の午前6時がここで24時なので今日はおキクさんは諦めよう。
美少年が出るフィールドダンジョンは、眠りの森と呼ばれているらしい。眠り対策が整ってくればレベル上げに適した場所だそうだ。
この間酒運ぶのにいらないものは根こそぎタンスに移したので、一度クランハウスへ帰還して準備を整え久しぶりの妖精ちゃんと戦うことに。ネタクナイノダももちろん飲んだ。
最終的には、【フロストサークル】を逃れたフェアリーサルースを【投擲】で落として、捕まえて西風のダガーで首をはねるという大変野蛮な戦い方となりました。
『その捕まえるのワンクッションいる!?』
『捕まえる方がしっかり固定できて倒しやすい』
『よーし、美少年まではセツナのレベルあげるぞー。接敵数3以上きたら【フロストサークル】と【メテオレイン】で』
『サー、イエッサーなのじゃ~』
おかげさまでレベルが上がった。
実は、ミュス狩りとか、牛大量討伐とかでこそっと上がっていて今Lv25になりました。ステータスポイントはちょっと置いてある。どうしよう。そろそろ方向性を決めたいのだが。まあ、敏捷ここまで上げておいて今更とも言うが。今度ゆっくりじっくり考えようかなぁ。
そしてお久しぶりの美少年。
何度も挑戦しているうちに、一番早い方法を開発したらしいので、俺はそれを見学することになった。
なにせもう、眠り攻撃怖くない。
フェアリーサルースを3匹以上倒すとツタの全体攻撃が始まるので、フェアリーサルースを魔法に巻き込まないように、範囲攻撃控えめ、ヘイトをソーダと半蔵門線が、アタッカーがピロリと魔法組。
前半はそれでこなし、後半は、3匹までは食わせて2匹はやはりセツナがやったように持って逃げるのがベストということに。
ヘイトは細かい攻撃をピロリとソーダが仕掛け、回復を集中させるという。
あっという間に討伐完了だ。
『これにセツナが加われば、ヘイト取りが出来てピロリも大技出せるからもっと早い』
『完全に作業じゃん』
『段取り組みすぎるとそうなるな。まあ、仕方ないよ。初見がある意味一番楽しいな』
眠り石が1個出て、みんなが沸き立つ。
『そろそろ討伐されそうだから、早くアクセサリーにして売りつけようぜ!』
『後で段取りしておく』
ソーダと八海山が悪い顔をしていた。
それで解散。
そして俺は、今、にゃんにゃんパラダイスを堪能していた。
INすると、ゲーム内16時。今日はかなり早く来れたのだ。
気になっていた。というか気になりすぎてやってきました。にゃんパラ!!
領主様のお屋敷の庭に本当にびっくりするぐらいの猫の数。
100以上余裕でいるだろ。
リアルではさ……アレルギーで飼えないんだよおおお。だけど昔から子猫とかめっちゃ触りたくてさああ。
来ちゃった。
猫のせいか、領主様のお屋敷の一部が開放されていた。
来訪者めっちゃおる。
そこら中でにゃんこと戯れてる人々。
俺も仲間に入れてくださああいい!!
ってことで、待ち合わせの時間まで堪能しました。
半蔵門線も来てたよ。いや、なんとなくそんな気がしたけどな。
リアルでできないことができるって本当にVR最高です。
ブックマーク、評価、いいねありがとうございます。
誤字脱字報告も助かります。
来週辺りから楽になるから〜
貯めてることはそこら辺から!!
VRにゃんぱらしたい




