表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
獣様と私  作者: あむ
獣様と私と時々師匠
10/13

探し物と大嵐と

「で、アレはなんでああなったんだ?」

「……」


いつもの食事の席、いつものように3人で丸いテーブルを囲んでいる。

うん、今日のご飯もおいしいなぁ。

……って、ごまかされてはくれないよね??


最初に質問を投げかけたあとは、無言で返事を待っているフェル様。

無言なのに、視線が痛い。

助けを求めるように師匠のほうを見れば、師匠も無言のまま、無関係を貫こうとしていた。

そりゃないよ……。


「で?」

「ええっと、あの、ちょおっとばかり、探し物をしとりまして……」

「ふぅん、探し物、そうか、探し物ねぇ……」


なんだか必要以上に頷きながら、再度視線をアチラに向ける獣様。

仕方なく、私もソチラを見てみる。

うん。記憶と寸分たがわない惨状がそこにはあるのでござった。



今日もステキな晴天に恵まれた、うららかなお昼時。

3人で囲む食卓の側にも、優しい光が落ちているざす。

そして、優しい光とおいしい匂いの溢れる居間の隣のお部屋には、まぁ大変、泥棒さんでも入ったのかしら? それとも、局地的大嵐か何か?

それはそれはスバラシク荒れ果てたお部屋があったのでござったのじゃ。


「のじゃ、じゃねーよ。

 お前は丁寧語は使えないんだから、無理に言おうとするんじゃない。

 っていうか、そんなのでごまかそうとするな。

 俺が聞いてるのは、なんで探し物をしていただけでこんな惨状になるのかってことだ」

「あれ? 声に出てました?

 ってか、獣様、言葉が汚いよ。師匠に似てきたんじゃない?」

「「お前に言われたくない」」


師匠と獣様、そろって否定してきた。そういうとこ、似てきたと思うんだけど、そう言えばまた二人して怒るんだろなぁ。


「で?」

「ん?」

「………」


はうぅ、話がちょっとそれたから、ごまかせたかと思ったのに…。

フェル様が恐い。お母さんみたいだ…。

再度師匠を見てみる。

…やっぱり、無関係を通すつもりらしい。


「…この前採ってきた野いちごをジャムにしたんで、それをしまうビンをさがしてたの。

 でも、なかなか見つからなくて…。

 そしたら、師匠が――――」


そこまで言って、もう一度、師匠を見てみた。

目が冷たいっす。けど、師匠だけ無実なんてそんなの、ズルイもん。


「ダンが?」

「師匠が、探索の魔術をかけてくれたのであるます!

 そしたら、簡単にビンは見つかったんだよね。

 でも、他にも、あれこれしまいっぱなしになって忘れてたものも見つけて……

 で、そのいろんな物の下にいた、ゴ○様まで見つけちゃって…

 探索の魔術と一緒に、重いものも動かすからって腕力アップの魔術もかけてもらってたから…

 それで、気がついたら、あんなことに……」


だから、私だけが悪いわけじゃ、ない…かな…と思うんだけども……。


「……」

「……ワタシは、悪くない」


えぇっ。

やっぱり悪いの私だけ??

二人の目が冷たいっす…。




「むしろ、なんで料理はできるんだろな…」

「な、何そのあきらめ感!!

 私だって、私だって、頑張れば料理以外だって――――!!」

「「頼むから、やめてくれ」」


また、二人でハモって止められた。

しょぼん……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ