44話
「やめて!! 離してよ!」
「いいじゃねぇか。前に見た時から、ずっと狙ってたんだよ」
「助けて! 誰か――っ!」
「ぐはっ!!」
声のする方へ走り出し、全力で蹴り飛ばした。
あと数秒遅れていたら、もう手遅れだったかもしれない。
倒れた男が呻く間に、さらに急所にもう一撃。
「な、何を――って、お、お前は……!」
「お兄ちゃん!!」
「走るよ、雪ちゃん!!」
彼女の手を引いて全力で走る。
そして、近くの通行人たちに向かって叫んだ。
「助けてください!! 誘拐です!!!」
振り向いた数人の男性が駆け寄ってくる。
「どうした!?」
「この人が、この子を連れ去ろうとしていました! 止めてください!」
「わかった、任せろ!!」
「おい、お前、動くな!!」
男は周囲の人々に取り押さえられた。
俺はすぐに警察へ電話を入れながら、雪ちゃんを抱き寄せる。
「……お兄ちゃん、ありがとう」
涙ぐむ彼女が強く抱きついてくる。
「無事でよかった……」
「うん……」
しばらくして警察が到着し、事情を説明した。
通報しながらの救出だったため、誤解もなく事件は処理された。
そのあと、雪ちゃんは帰り道が分からなくなってしまったので、
俺は学校まで送り届けた。
「帰ってほしくない……」
泣きながらそう言う雪ちゃんに、俺は約束した。
「次会ったら、なんでも言うこと聞くよ」
そう言って頭を撫で、俺は静かにその場を離れた。
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マジで、やばい。
まさかあの男――雪を誘拐しようとしていたのが、
俺の元の高校の担任教師だったなんて。
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