表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エルフの森へようこそ  作者: やゃや
2章「前髪さんrhapsody」
27/54

6話「遺跡とババアと二匹の化け物(後編)」


 12月中旬、冬休み真っ只中。

 住み慣れた孤児院にて馬鹿達と平和な休日を過ごしていた俺は、突如スマホから発動された魔法陣に吸い込まれ、機械の森で巨大なババアの幽霊と相対していた。


 何を言っているかわからないと思うが、俺もどうしてこうなったのかわからない。

 そしてこの事態を引き起こした元凶ですら……


「なんで!? なんでこうなるの!?」


 このザマである。

 幽霊ババアに取りこまれ、ただひたすら困惑している。

 コントロールを失った幽霊ババアは手あたり次第に周囲の物を破壊。

 唯一この事象について詳しそうな人は


「凄いじゃないかミシェル!! こんなもの作り上げるなんて! 流石私達の娘だ!」


 頭がおかしいので役に立たない。


「パパさん、凄いとか言ってる場合じゃないっすよ!? どうするんすか!? ミシェルさん"なんで……"しか叫ばない機械になってるっすよ!?」

「それにあのビックおばあちゃんこっちに向かってるわよ!? どうするの!?」

「どうするだって!? 拳で語るに決まってるじゃないか!」


 この人はもうダメかもしれない。


「ええいもう辛抱たまらん! ちょっと殴りあってくる!」

「あの巨体と!?」

「パパ待って! こんなこともあろうかと用意したものが……」

「うおおおおおお!! ミシェルううう!!!」

「いっちゃった……」


 ママさんはなんでこんなのに惚れたんだろう……


「ああいう奔放なところがいいじゃない! それにパパはいつだってカッコいいのよ! 四六時中一緒の私が言うんだから間違い無いわ!」


 聞くんじゃなかった。

 他人の惚気なんて誰が得するんだ。 


「まぁそれはそれとして! パパが足止めしてくれてる間に私達は私達の仕事をしないと!」

「仕事?」

「え? なんすか? ウチらに何かできることあるんすか!?」


 さっき言ってた"こんなこともあろうかと"って奴ですか。


「そう! 大きな敵にはこちらも大きな武器で対抗するのよ!」


 大きな武器……? まさか……!?


「こんなこともあろうかと! 対巨大怪獣用決戦兵器を開発していたのよ!」


 おお! ここにきてようやく科学がまともに使われる!


「もしかしてロボっすか!? もしかしてもしかして! 変形合体とかするんすか!?」

「モチのロンよ!」


 ママさんが親指を立てるのと同時、大きな振動と共に機械の森の大地が二つに割れ、地下から巨大なロボが現れた。

 鋼鉄の皮膚におおわれたそれは、二足歩行で50mほどの巨大ロボ。


「「「おおお!!」」」


 脚は短く腰は曲がり、顔は皺だらけ。


「「「おお、お……?」」」


 それは、先程現れた幽霊ババアと瓜二つ。


 ロボババアと呼ぶべきか。


「……え、何これ!? 何これ!?」

「何って対巨大怪獣用決戦兵器よ?」

「いやだってこれどう見てもババア……」

「そうよ! これは"偉大なる魔術師"の称号を持つ、私のお義母さんにしてミシェルの祖母、ミント・フォン・リンドグレーンを模して作られたロボなのよ!」


 わぁい、ババアが二つに増えたぞぉ。


「エリちゃんさん何放心してんすか!? あんたもツッコんでくださいよ!? こんなのウチと姉御の二人がかりでもツッコみきれないっすよ!?」


 俺にはもう無理だ、耐えられない!


「当然このおばあちゃんロボは搭乗式よ! さぁさぁ! 世紀の大発明の操縦者になるのは誰かしら!」

「え? これに乗るの!? 乗らなきゃ駄目なの!?」

「いや、こんなん誰も乗りたくないっすよ!?」


 乗ってしまえば楽になれるかな……?


「エリちゃんさんストップ! 命を無駄にしちゃダメっすよ!?」

「こんな恥ずかしいのに乗ったら自害以外の未来はないわよ!?」

「では私が乗ろう」


 パパさん!?いつの間に!?


「さすがにあんなデカいのと素手で戦うのは無理だったよ……」


 でしょうね!?


「というわけだ! ママの汗と涙の結晶は私が貰い受ける!」

「ええー? でもこの子達にも科学の楽しさを……」

「「どうぞどうぞおかまいなく」」

「えー……」

「というわけでママ、いって来る! 愛してるよママ!」

「釈然としないけどとりあえずいってらっしゃい! 愛してるわパパ!!」

「また行っちゃったっす……」


 嵐のように現れたパパさんは、ババアロボを駆り嵐のように去っていった。 

 バーニアを吹かし、火花を散らしながら颯爽とかけていくババアロボは、不覚にもかっこいいと思えるなにかがあった。


 やっぱり乗ってみればよかったかも……


「エリちゃんさん!? 気をしっかり!!」

「スライド移動する巨大な腰曲がりババアがカッコいいわけないでしょ!?」


 そうかな……?そうかも……?

 いや、どうなんだろう……?


「ふふふ、やはりアリエルちゃんは"こっち側"の素質ありね! 事前調査の通りだわ!」


 え?こっち側って何!?


「アリエルちゃん、ちょっとお屋敷に来てくれないかしら?」


 屋敷に招待!? 俺何されるの!? まさか改造!?

 やめて! せっかくまっさらな超絶美少女になったのに! また改造人間に戻るなんて嫌だ!


「"また"……?」

「いや、それよりミシェル達放って屋敷にいったらダメでしょ!?」

「レイチェルちゃん、私達がここに残ってどうするの?"あの"中に割ってはいるの?」


 ママさんの指摘に、我々3人はババアのいる場所に目を向ける。

 そこには機敏な動きで格闘戦を繰り広げる幽霊ババアとロボババアがいた。

 拳と拳のぶつかり合う衝撃で、木々は吹き飛び、小川は枯れ、大地は裂け、空を舞う雪は地に落ちることなくダブルババアの熱気で蒸発していた。

 最強のババア決定戦が繰り広げられていた。


「私たちがこのままここにいても、ミシェルちゃんの為にできることはないでしょう?」

「あー、いやまあ……そうっすけど」


 クリスもあの中にいるの忘れないであげてください。


「物理的な解決ならパパ一人でも十分よ、幽霊のバ……お義母さんを一時的に倒すだけならね!」

「いまババアって言いかけなかったっすか?」

「でもそれじゃ駄目! 倒したところですぐ復活するわ! 私達がするべきことはもっと根本的な解決よ! あんなババ……幽霊なんかにかまってる暇はないわ!」


 今間違いなくババアって言おうとしましたよね?


「ねえミシェルのママ、根本的な解決っていってもどうするの?」

「そもそもミシェルさんはおばあちゃんに会いたかったんじゃないんすか……?」

「感傷だけであんなことするほど、うちのミシェルちゃんは短絡じゃないわ!」


 じゃあなんで……


「たぶんあのババアに体を治して欲しかったんだと思うわ」


 ついにババアっていっちゃったよ!?


「ツッコむとこはそこじゃないわよアリエル!?」

「体治してもらうって、ミシェルさん病気なんすか!?」

「病気といえば病気なんだけど……」

「なんなんすか歯切れの悪い!! 大事なことはキッチリハッキリいわなきゃダメっすよ!!」

「ひぐいぁあ!?」


 ルチアさん落ち着いて! 首! ママさんの首が絞まってるから!


「あー、もしかしてデリケートな話だったりするんじゃない?そういうのを他人の口から言うのはよく無いと思うし……」

「禁術に手を出すほど思い詰めてんならさっさとウチらに相談しろっつー話っすよ!!」

「言い分はわかるけど落ち着いてルチア! ミシェルのママが泡吹いてるわよ!?」

「どいつもこいつも隠し事隠し事! ウチらそんなに信用ないんすか!」

「ああ!? ミシェルのママから魂が抜け始めた!?」


 よーしルチアさん少し静かにしようか。


「ひでぶ!?」

「な、何やったの?ルチア泡吹いて失神してるわよ!?」


 108あるエロ魔法が一つ"快楽増幅"を使わせてもらった!

 増幅した快楽は限界を越え、やがて激痛となる!


「それもはやエロ魔法じゃなくない!? 暗殺神拳とかに使わない!?」


 そんなことよりママさんだよ、前髪さんはなんの病気なんだよ?

 さっさと叩き起こして聞かないと。


「そんなことよりってなんすか!? ウチの体はどうでもいいって言うんすか!?」

「もう復活した!? アンタ今の今まで失神してたわよね!?」


 うちの赤毛の馬鹿とまともに付き合える時点で、ルチアさんの耐久性は保証済みだ。


「まあ確かにこの程度、クリスちゃんと遊んでれば日常茶飯事っすけど」

「アンタのとこの赤毛は一体何なのよ……?」

「ゲホッゲホッ……!し、死ぬかと思ったわ……」


 おお、ママさんもやっと復活したか! さぁ話せ!

 前髪さんは何の病気なんだ! さあさあさあ!!


「ひぎぃっ!?」

「アンタまで首絞めてどうすんのよ!? 話が進まないでしょうが!」

「おごごご……話、話してもいい、かしら……」

「ごめんなさいミシェルのママ! こいつ達はアタシが抑えるから! もうちゃっちゃと話しちゃって! アタシ達こんなだから大抵のことは動じないんで!」

「そうね、じゃあ言うわね、実はミシェルちゃん生まれつき内臓が一つもないのよ」


 わーお、めっちゃ重い話だ。

 聞かなかったことにしていいかな。


「耳塞いでんじゃないわよ現実みなさい!!」

「内臓が一個もないって……じゃあどうやって生きてるんすか!?」


 この機械の森を見ればわかるだろうよルチアさん。


「あーなるほど、科学の力でなんとかしちゃったわけっすか! 科学ってスゲーっすね!?」

「でもなんとかなったのなら体を治す必要ないんじゃない?」


 機械の体って不便だから、なれるのなら普通の体になりたいだろうさ。

 子供の時からなら成長に合わせてパーツを取り替えたりしなきゃならないし、そうでなくても定期的にメンテナンスしなきゃならない。

 ずっと続けてると、自分が他の人とは違う化け物みたいに思えてくるんだ。


「ずいぶん詳しいっすねー、まるで体験したかのようっすねー」


 あ、いや、その……ノーコメントで。


「でも、そんなに機械が不便なら魔法でなんとかできたりしないの?」


 できなかったからリンドグレーンの家は鞍替えしたんでしょ。


「ああそれで……」

「そう、その通り! そこに最後まで反対したのがあのババアで! 鞍替えの後も魔法でどうにか出来ないか研究を続けたのもあのババアなのよ!」


 ついにババア呼びを隠さなくなったな!?


「……まあ、なんでババアを呼び出したかはわかったわ、でも結局根本的な問題ってなんなの?ミシェルの体を治せばいいの?」


 いや、偉大な魔術師とか呼ばれたババアでも無理だったことを俺達にできるわけないじゃん。


「じゃあウチらにできることって一体……?」


 まぁママさんが俺達に何をさせたいかってのは今の話で大体わかったけど。


「え!? なんで!? どこで!? ウチ全然わかんなかったんすけど!?」

「教えてよ、アタシ達何をしなきゃいけないの?」


 前髪さんの部屋でエロ本を探す。


「は?」

「はぁ!?」

「この非常時に何言ってんすかこの馬鹿は!!」

「脈絡無いにもほどがあるわよ!? ついに脳ミソ壊れたの!?」

「そうね! それが正解よアリエルちゃん!!」

「そうそう! ママさんの言う通りそれが正……解…………はぁああ!?」


 エロ本を探すことがババア打倒の鍵であり、同時に根本的問題の解決でもあるのだ!


「のだ! じゃねえっすよ! 意味がわからないんすけど!」

「こまごまと説明してもきっとわからないと思うわ」


 いや、順を追って説明すれば簡単……


「だからアリエルちゃんで実践するわね!」


 は?


「と、いうわけで!アリエルちゃんの秘蔵エロ本公開ターイム!!!」

「は?」

「は?」


 はぁああああ!!?


「第一冊目はこちら! "衝撃の告白! 私の妻が寝取られました、実録百合乱交24時"!!」


 いやあああ!!! やめてえええ!!!


「あの、これなんなの……?」

「エリちゃんさんそういうの趣味だったんすか……?」

「気にするとこそこじゃなくてね!?」

「二冊目! "恐怖のレズ痴漢! 乳首弄りの天文部"!」


 嘘だ!? それは警察に処分されたはず!?


「これミシェルと何の関係が……」

「乳首と天文部に何の関係が……?」

「ルチア!? ツッコむとこはそこじゃないわよ!?」

「そしてこれがとっておきの3冊目"実は私は姉……」


 させるかあああ!!


「あらあら、とられちゃったわぁ」


 これだけは! これだけは絶対に見られては! 唯一手に入れた発禁物なんだ!


「と、まあこんな感じで、ね?」

「いや、"ね?"って言われても意味がわからないんだけど……」

「まさかエロ本でミシェルさんをババアから引きずりだそうって作戦っすか?」

「まさかそんな馬鹿な作戦するわけ……」

「おおむねその通りよ!」

「そうでしたね! この人達馬鹿だったっすね!」


 まあ待てルチアさん、たしかに使用するのが一般のエロ本ならその反応は普通だろう。


 でもよく考えてくれ。

 前髪さんの持つエロ本とは女の子同士がまぐわうものなんだ。

 そして、この国は同性愛禁止なんだ。

 とても貴重なものなんだ。 


「そういえばエリちゃんさんもエロ本破れて泣いてたっすね……」

「流されないでルチア!? そこまでいくのはコイツだけだからね!?」


 それにもう一点、前髪さんの普段の行動を思い出してくれ。

 あの人は現実ですら百合妄想に励むほどの豪傑なんだよ。

 そんな人が貴重なエロ本を人質に取られたら……?


「あれ……? もしかしてこの作戦……いけるかもッ!?」

「ルチアぁあああ!! 戻ってきなさいぃいい!!!!」

「じゃ、この作戦を行うか否か多数決を取るわね」

「この状況で!? 卑怯極まりないでしょう!?」


 民主主義は偉大である。

 賛成3、反対1。

 議案は一切の諍い無く可決された。


「いやああ!! こんな馬鹿みたいな作戦いやああ!!」


 姉御が叫びをあげるが誰も動じない。


「ダダこねてもダメよー? この作戦、その"馬鹿みたいなこと"が重要なんだから」

「はぁ!? なんで馬鹿じゃなきゃ駄目なのよ!?」

「え? ウチそれ聞いてないっす」


 前髪さんの発言を振り返ってみよう。

"そうね、みんなで一緒にできたらいいわね"

"でもまぁ、これが終わったら、私もみんなと混ぜてもらえるかも……"

 前髪さんは俺達と自分とで境目をつくってしまってるのだ。


「内臓が機械だからっすか?」

「他にもいろいろ、角とか肌の色とかもあるでしょうね」


 だから前髪さんに必要なのは、生身の体でもババアの凄い魔法でもない。

 "機械?化け物?知るか馬鹿!いいから一緒に来い!"

 そういってくれるような強引な馬鹿なのだ。

 境界なんてぶち壊すような馬鹿。


 かつて"アリエル・オルグレン"をルチアさんと引き合わせた、クリスのような馬鹿。

 かつて熾天使"ガブリエル"を堕天させ、巡り巡ってクリスと引き合わせた、名も知らぬ女性のような馬鹿。


「エリちゃんさん……」

「ところで私やミシェルをみんなと引き合わせたのはどこの馬鹿だったかしらね? 一体どこの超絶美少女だったかしらね?」


 あーあー聞こえなーい!


「エリちゃんさん……」

「いい加減自分も同類の馬鹿だってこと認めなさいよ……」


 はぁー!? 違いますしー!? 俺は普通の超絶美少女ですしー!?

 今回は前髪さんのためにあえて馬鹿になるだけですしー!!


「もう呆れを通り越して哀れっすよ……」


 ま、まあそういうことなので! みんな俺のマネをして、一緒にエロ本探して欲しい!


「え? アンタなんでパンツ脱いでんの!? なんで脱いだパンツを頭に被ってるの!!?」


 ……? 作戦の上で馬鹿になる必要があることは今伝えたばっかりだが?


「だからってそこまでしなくてもいいでしょうが!!!」

「まぁやるなら徹底的にってことっすね」

「ルチア!? アンタまで!?」

「私も当然やるわよ?」

「ママさん!?」


 姉御、大丈夫! これは作戦だから!

 あくまで作戦で仕方なくやるだけだから!


「……ッ! ああもう! やればいいんでしょやれば!! ミシェルのためならやったろうじゃんこのぐらい!」

「ミシェルちゃんはいい友達を持ったわね……」

「パンツ被ってなきゃいい台詞なんすけどねそれ……」


 巨大ババアを倒すため、パンツを被ってエロ本を漁る。


 何を言っているのか分からないと思うが、自分でもなんでこんなことになるのかよくわからない。


 ただ、4人でエロ本を探しまわるその時間は間違いなく楽しかった。

 きっと前髪さんも一緒ならもっと楽しかっただろう、クリスがいたらもっと楽しかっただろう。


 だから、これでいいのだ。


 これが終わったら、次はみんなで。

 次が終わったら、その次はもっと馬鹿なことを……



 10分後、機械の森、ババアが二人。

 決着はいまだつかず戦闘は膠着している。


 幾度となく放たれるパパさんからの問いかけに、前髪さんは無反応を貫く。

 クリスは魔法の反動で気絶している。


「くっ、ミシェル、どうしたんだ!?なぜ応答を……」

「もう、どうでもいい……ほっといて……」

「ミシェル? ミシェル!? 糞! どうしたら……」


"ミシェル・フォン・リンドグレーンに告ぐ!"


「!?」

「……?」

「な?なんの音だ……? 森の木を使って? まさかママか!? 何をする気なんだ!?」


"貴様の所有する「快感初体験、素人5人姉妹の憂鬱」は預かった! 大人しく降伏せよ!"


「はああああああ!!? なんで!? なんでそれが!? パパやママには絶対にわからない場所に隠したはずなのに!?」

「み、ミシェル……!?」


"降伏勧告が受理されない場合、これはシュレッダーにかけられる!"


「ふ、ふざけんじゃないわよ!? そんなことさせないわ!! 誰だか知らないけどでてきなさいよ、ぶっ殺してやる!!」

「み、ミシェルどうしたんだ!? そんな乱暴な言葉を……!?」


"いいだろう! 我々は逃げも隠れもしない!"


「ふん、のこのこ出てくるなんてよっぽどの……馬……鹿……」


 前髪さんの言葉を受けて、我々四人は姿を現す。

 かつてパパさんが使用した、せり上がる派手なお立ち台。

 パンツを被り、エロ本片手に決めポーズを決めた、ノーパン四人衆が姿を表す!


「へ」

「へ……」


「「変態だあああぁぁ!!!」」


 金属でできた機械の森、いつか聞いた叫びが再び響く。


 前髪さん家の狂想曲は、ついに風雲急を告げ、くっだらない終結へと転がり落ちることとなる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ