3話「前髪ホームカミング(後編)」
「「「「変態だあああああ!!!」」」」
「誤解だ! 誤解なんだって!!」
機械で造られた冬の森に、馬鹿5人の声が木霊する。
「この変態"盛大に歓迎する"とかいってたっすよ!!」
「そういう意味なんだね!? そっちの意味なんだね!?」
「糞食らえっすよ! これでも食らえ!!」
「違うんだ話を聞いてくれ! まっ、雪を投げないで! 痛っ!?」
話をする前にまずズボンを穿いてくれ変態。
「裸族のナルシストがそれ言うっすか!?」
「痛っ!?」
だから俺はナルシストじゃない! 普通の超絶美少女だっての!
「あだっ!?なんで君達喧嘩しながら雪投げるんだ!? ちょ、やめっ、ああ!? パンツにまで雪が!」
「なんでもいいから下になんか穿いてきてよ! 話を聞く以前の問題だよ!」
「戻るから! いまズボン穿きに戻るから雪玉に氷入れないで!」
五分後。
「あの……ズボン穿いたんで私の話聞いてもらってもいいかな……?」
……。
「……」
見ず知らずの変態と語ることはない。
変態仮面がズボンを穿くまでの五分間で、我々四人の意見はこれに一致した。
「あ、あの……」
……。
「……」
無限にも思える気まずい沈黙。
仮面の男は一分と耐えきれず、耳のインカムで仲間に助けを求めた。
「ママ……緊急事態だ、ミシェルの友達に嫌われた……どうしたらいいだろう……?」
"大丈夫よパパ! パパは世界で一番格好いいんだから! ミシェルの友達にだってモテモテのはずよ! きっと照れてるだけよ!"
「ありがとうママ……自信わいてきたよ愛してるよママ!」
あのー、通信聞こえてますよ?
「エリちゃんバカップル! あの人バカップルだよ! 人前で愛してるとか臆面無く言う人初めて見たよ!」
「世界で一番かっこいいとかいうセリフも初めて聞いたっす、さすが変態バカップルっす」
「カップルってか今の話からしてミシェルの両親でしょ……」
「そう! それ! そうなんだよ私はミシェルの父親なんだ! 決して変態でもバカップルでもないんだ!」
じゃあ変態の仮面パパさんは何が目的でこんなことを?
「エリちゃんさん変態のパパさんに話しかけちゃダメっすよ変態が伝染るっすよ」
「それは手遅れじゃないかしら……」
「あの、さっきのは不幸な事故なので……変態扱いはやめてくれませんかアリエル君にルチア君……」
「あん?」
あんた、なぜ我々の名前を知っている?
「ふふふ、ようやく話を聞いてくれたね! 実は事前に君達のことをすべて調べさせてもらった! 娘ミシェルの親しい友人であることは既にリサーチ済みだ!」
"すべて調べた"?
「え……? すべてってウチらのスリーサイズとかもっすか……?」
「もしかして裸も……?」
「君達が娘の友人にふさわ……え? え!? 待って何か話が変に……」
「エロだ! やっぱりこの人エロだよ!!」
「ま、待って! そういうとこは妻がやったから! 機械部分は私の担当じゃないから!」
「やることはやったんすねこの野郎!!!」
「いや、あの……その……」
つまり俺が超絶美少女であるということも調査済みということか!!
「……は?」
「エリちゃん……」
「急に何を言ってるんだこの娘は!?」
「ごめんなさいミシェルのパパ! こいつ馬鹿なんです! 無視していいから!」
「アンタまだその話引っ張るんすか!? いい加減くどいっすよ!!」
ルチアさんこそくどいぞ! いい加減俺が普通の超絶美少女であることを認めたまえ!!
「なんでそんな頑ななんすか!? いい加減変態であること自覚してほしいんすけど!!」
「あの……それより私の話をだね……」
ならばよかろう! もうこの際ここではっきりさせようじゃないか!
この俺が超絶美少女か否かを!
「しょうがないっすねもう……というわけなんでごめんなさいパパさん、主観でいいんで判定お願いするっす」
「君達をここに呼んだ訳を……え!? ええ!?」
一児の父! これほど審判に相応しい人材はおるまい!
「あの、待ってくれます!? 私を置いて話を進め……」
「ねぇミシェルさんのパパさん! お腹すいた! 私達朝御飯もまだなんだけど!!」
「いや今それどころじゃないんですが!?」
「やめなさいよアンタ達! ミシェルのパパさん困ってるでしょ!?」
さぁ神判の時だ! 我が肢体に見惚れるがいい!
「ごーはーんー!」
「な、なんで君は服脱いでるんだ!? 止めなさいはしたない!!」
裸にならず判定などできるわけないでしょうが!!
「意味わからないこと言わないで服を着てくれ!! また変態扱いされてしまう!!」
「ほら見たでしょ聞いたでしょエリちゃんさん! アンタの行動は変態パパさんでもドン引き! これで確定!アンタは筋金入りの変態っすよ!」
いや待て! 今のパパさんの状況ではこの反応は当然だ!
もう少し時間をかけ審査すべきだ!
「自分で審判にふさわしいとかいっといて何なんすかそれ!!」
「ねえーッ! ごーはーんー!!!」
「ちょっと待ちなさい! ご飯なら後であげるから!!!」
「往生際が悪いっすよ! いい加減変態ナルシストなこと認めるっすよ!」
「あのっ! 私の話を!」
「ねーえーッ! ごーはーんーまーだーッ!?」
「いい加減にしなさいよ!!! さかりのついた幼稚園児かアンタ達は!? 少しは自重しなさい!!」
「もう無理だ……応答してくれママ! 緊急事態だ! ミシェルの友人みんなどうかしてる!! 助けてくれ!!!」
耳のインカムを抑え後退りをはじめた前髪さん父。
その姿を見て姉御を除く三人は確信した。
「ん、これはまさか」
「私達の」
「「「勝利……!?」」」
「何によ!? 何に対してよ!? 今のアンタらがヒトとしてパパさんに勝ってた要素あるなら言ってみなさいよ!?」
「常識」
「お腹すいた」
美しさ。
「何一つ足りてないじゃない!! 馬鹿じゃないの!!!」
姉御の突っ込みに我々三人が反論しようとした、その時である。
「ママ! どうしたんだい!? なぜ応答を……」
「パパぁああ!! 大変! 大変なの!! ミシェルちゃんが! ミシェルちゃんがいなくなっちゃったのおおお!!!」
パパさんの真上、木々の枝を掻き分け空から角の生えた青い女性が降ってきた。
謎の女性は勢いそのままにミシェルパパに飛びつき泣きつき喚き散らす。
「誰?」
「青い肌にあの大きい胸……あれ? もしかしてミシェルさんっすか?」
「いやいや会話的に違うでしょ」
「でもおっぱい大きいよ? それにさっきからミシェルさんの匂いがするよ? あとおっぱい大きいよ」
よくみると前髪さんより胸のサイズがさらに一回り大きい。
あれは前髪さんではない。
「なんで判断基準アンタら全員胸なのよ!? もっとあるでしょ!? 前髪短いとか羽や尻尾が生えてるとか!」
「ミシェルさんでないならあれは誰なんすか?」
「無視!?」
「ママ!? どうしたんだい一旦落ち着いて!」
おお、なるほど前髪さんのママさんか。
「似てるわけっす」
「パパ! パパ! 大変なの! ミシェルちゃんの部屋にいったら窓から機械が壊れてタローとドラゴンが誘拐なの!」
「ママ、何言ってるかわからないよ落ち着いて! 深呼吸深呼吸!」
「すーはーすーはー、ああ……パパの匂い……いい……」
へ、変態だ……ママさんも変態だ……美人さんなのに……
「割れ鍋に綴じ蓋ってやつっすね」
「私もあんな夫婦生活したい」
やめてくれクリス、これ以上変にならないでくれ。
「アンタがそれをいうっすか!?」
何度でも言う、俺は普通だ。
「もうツッコミきれないんだけど、アタシ帰っていい……?」
「よーし落ち着いたわ! ではあらためまして、大変なのよパパ! ミシェルちゃんが! ミシェルちゃんが野良ドラゴンにさらわれたの!」
「何!?」
え? ママさんからなんかすっごいファンタジーなセリフ聞こえたんだけど!?
「ただの帰省のはずがホントに誘拐事件になったんすか!?」
「ドラゴン!? ここドラゴンいるの!? 食べていい!?」
おいクリスちょっと黙れ情緒が壊れる。
「何言ってるの? ドラゴンに情緒もくそもないでしょ?」
「凶作のたびに山から降りて畑を荒らす害獣じゃないっすか」
猪や熊と同列に扱うなよ! ドラゴンだぞ!?
素手で遭遇したら死を覚悟するんだぞ!?
「猪や熊だって同じじゃないっすか」
「どの子もみんなおいしいよね!」
「私は素手でも余裕だけど」
こいつらに共感を求めた俺が馬鹿だった。
"ドラゴンに攫われるお嬢様"、そんな素敵なシチュエーションをこのメンツで求めるのが馬鹿だった。
「エリちゃん無駄にロマンチストだよね」
「あー、その"ドラゴンに攫われた"ってとこだけどさ、多分違うわよ? 最近ミシェルから聞い……」
「何!? 心当たりがあるのかレイチェル君!? 話してくれないか!? 礼ならいくらでもするから!!」
「ぐぇえ!?」
パパさん落ち着いて! 首が! 姉御の首が!
「おお、すまない興奮してつい……」
「それより続きを! ミシェルちゃんから何を聞いたの!?」
「ゲホっ、ゲホっ……えーっとミシェルがちょっと前に野生のドラゴンの調教に成功したって話をしてて、多分それが今回のドラゴン……」
「そんな危ないことしてたのミシェルちゃん!? なんで!? どうして私達に相談もせず!」
「あぎぃ!?」
ママさん落ち着いて! 姉御の首はそっちには曲がらないよ!?
「あぁ! ごめんなさい、私ったらつい……」
「ぜぇ、ぜぇ……ミシェルが家出した理由、もう大体わかるでしょ……」
こんな家なら俺でもするわ、家出。
誰だってそうする。
「え? なんでっすか? こんなにも二人に愛されてるんすよ?おかしいっすよ」
「贅沢きわまりないよね、各方面に失礼だよね」
こいつらに常識的な反応を求める方が馬鹿だったようだ。
「……ねぇアリエル、もしかして間違ってるのはアタシ達の方なのかな?」
しっかりするんだ姉御! 間違ってない! 間違ってないから!
あいつらが馬鹿なだけだから!ツッコミを放棄しないで!
「じゃ、じゃあ私達が親として間違ってたのかしら……ミシェルちゃん家出しちゃうし、家に帰ってもまたいなくなっちゃうし……う、うわあああん!!」
「ま、ママ!? 急にどうしたんだい!? 落ち着いて!?」
何でママさんが泣いてんだよ!?
「大丈夫だよママさん!! きっとミシェルさんは反抗期なだけだよ!!」
「ウチらはママさんの味方っすよ!!」
馬鹿二人が感化されて変な方向に!?
「それじゃあ余ったアタシとアリエルはパパさんの味方に……?」
「何を言っているんだ君は!?」
姉御まで変にならないで!?
「なるほど! 二手に分かれてミシェルちゃんを捜索するのね!?」
「挟み撃ちにしてやっつけるんだね!」
倒してどうすんだよ!?
「あれ? ドラゴンに乗ったミシェルさんを退治する話だったっすよね?」
ファンタジーなお話が戻ってきたよ、わぁい。
「しっかりしろアリエル君! 君までツッコミを放棄したらだめだ! 気をしっかり持つんだ!」
「「「うおおおおお!!」」」
「なんだ!? 次はなんなんだ!?」
ママさんグループから聞こえたけど……
「よぉし、かわいい女の子二人も味方になったわ! 待っててねミシェルちゃん! 今お友達と一緒に迎えにいくからね!!」
「ドラゴン退治!! 胸が踊るよ!! 私胸ないけど!!」
「っしゃあ! ミシェルの姉御にカチコミじゃオラァ!」
「タマとっちゃるけぇのぉ!!」
「1学期でどれだけ強くなったか、ママが確かめてあげるからね!!」
テンション上がりすぎて目的がおかしくなってる!?
「ママまで何を言ってるんだ!? 当初の"目的"はどこにいったの!?」
「ねぇアリエル、あっち側アレ大丈夫なの? 怪我人とかでたりしない?」
流石にママさん一児の母だしそこまでは……
「クリスちゃんルチアちゃん! 折角だからこれミシェルちゃんに使ってみない? 私の作った新作よ!」
「なにこれ?」
「対戦車ビームライフルよ!」
「よくわからないけどカッコいいっす!」
「もっとないの?」
「まだまだたくさんあるわよ!!」
駄目だこれ! 前髪さん殺されるわこれ!
「何をいうんだアリエル君、うちのミシェルがあの程度の武器で傷つくわけないだろう!」
あんたの娘は戦車以上の化け物だとでも!?
「ミシェルは生まれてすぐ私達の愛情こもった加護の魔法を受けている! 矢でも鉄砲でも傷ひとつつかない!」
「たしかミシェルの家、半年間飲まず食わずで魔法を練りつづけたって聞いたわね」
「私も妻も海外で仕事してるからね! いつでもあの子を守ってあげるにはこうするしかなかったのだよ!」
なんか急に愛が重いエピソードが!?
二人がそんなんだから前髪さん反抗期なんじゃないの!?
「まぁ私達もそう思ったから、今回の帰省では厳しく接してみようと思ってね……」
「何をやらかしたの……?」
「一日10回ノルマのハグを半分にした!」
「なんてしょーもない!!」
ハグってあんた……ノルマってあんた……
「なんだね! うちの娘にこれ以上ひどい仕打ちをしろっていうのか君達は!? これでも断腸の思いで決行したんだぞ!! あの子には幸せ以外は不要なのだ! そもそもうちの娘が生まれるまでには映画2~3本は作れるほどの壮大なドラマが……あって…………」
「……?」
……
……あれ?どうしたん?おーいもしもーし。
「……」
パパさんがフリーズした。
「……急にどうしたのかしら? まさかミシェルのパパも機械とか?」
なにやら壮大な演説を述べようとしていたパパさんは、弁舌を止めてどこか宙をみつめている。
そして……
「来る……!」
「うわ!再起動した!来るって何が!?」
"Caution!Caution! 防犯バリアに異常アリ! 防犯バリアに異常アリ!"
姉御の声を遮るように、けたたましい警告音が鳴り響く。
音の出どころはその辺に生えてる金属製の木々。
"侵入者を捕捉しましタ! 映像、写しまス!"
手近な木が一本機械音声でそう告げると、映像モニターがぬるりと生えてきた。
枝を二本触手のようにうねらせ、機械の木はモニターを俺と姉御の目の前にそれぞれ持ってくる。
"あ、高さこれくらいで大丈夫? 見づらくなイ?"
やたらこちらを気遣いながら。
「あ、大丈夫ですおかまいなく」
もうどこからツッコんでいいかわからない。
「ついに来たか! アリエル君! モニターを見たまえ! ほら! ほら!」
肩を叩かないでパパさん、視界が揺れるし痛い。
「アリエル! 大変よ! これ見て!」
姉御の指摘にモニターへ目を戻すと、監視カメラに映されているとおもわしき映像が。
そこには空を埋め尽くす赤い飛竜の大群が。
その先頭の竜の背には、見知った青肌の友人が。
前髪さんその人が。
「見たまえアリエル君にレイチェル君! あれだけの竜をうちの娘が操ってるんだよ!! すごいだろう!!」
「え? まさかミシェル、ハグを半分にされただけでこんなことを!?」
そんなしょうもない理由で竜の軍勢を従えないで欲しい。
"あーあー、聞こえてますかパパとママ!"
俺の不安をよそに前髪さんがモニター越しで声を発する。
"私、ミシェル・フォン・リンドグレーンは! 今日この日をもってリンドグレーン家の家督を簒奪することを宣言します!"
まさかのクーデター宣言であった。
「いや、私次男だから家督が欲しい時は兄に言わないと……」
しかも事前調査が杜撰のきわみであった。
”そんな細かいことはどうでもいいの!”
細かくはねえよ。
"今私が必要なのは、このおばあちゃんの森にある古代遺せ……え? 何あれ!? 何あれ!? ねえパパ何あレ!?"
「どうしたんだミシェル!! 何か危険が迫っているのか!? ミシェル! ミシェールッ!!!
"往生せいやワレェ!!!"
"朝ごはんが一杯だぁあああ!!!"
"ミシェルちゃんミシェルちゃんミシェルちゃんミシェルちゃん"
"きゃああああ!!! 化け物が! 化け物がアァアア!!"
多種多様な叫びが響くモニターには、前髪さんへと向かっていくメタリックな人型の何かが映し出されていた。
多分さっきから静かだったママさんチームが、科学装備を整え出撃した姿……だと思う……
思うんだけど……
「ねえ……何あれ……?」
「あれ……私の妻です……嬉々として竜を狩る虹色の液体金属、あれわたしの妻なんです……」
「ということはその隣のアレ……私の友達……なの……? 全身から追尾式ビームを放つあのポニーテールのロボット、私の友達でいいの……?」
さらにビームロボの隣にいる謎の金属は、消去法でうちの赤毛ということになるだろう。
空間跳躍を繰り返し、触手で竜を捕らえては食い散らかす金属触手の塊は、うちの赤毛の馬鹿なのだろう。多分。おそらく。
"誰か助けて!!! この化け物ども魔法が全然効かないの!! 誰か! 誰かぁあァアァ!!!"
モニターに映る阿鼻叫喚の地獄絵図。
そしていつまでも続く前髪さんの叫び声。
「あ!? ミシェルのパパ、どこに!?」
パパさんはついに駆けだした。
前髪さんを助けに行くのだろうか。
「無茶よ! あんな化け物3体を相手に勝てるわけ……」
「ママだけずるい」
……は?
「私も! 私もママとミシェルと一緒に戦う! うおおおおお!! ママ! ミシェル! 待っていてくれ! 今行くぞおおおお!!!」
何言ってんだあんた!?
やめて? これ以上はツッコミのキャパシティ越えてるから!
「ちょっとパパさん待っ……速いッ!?」
目で追えるスピードじゃなかったんですが……
"すごいでしょ私のパパ、風魔法使わせたらこの国一番なのヨ"
いやまぁすごいっちゃすごいけど……
「え? アリエル今なんか喋った?」
え? 姉御じゃないの? じゃあいったい誰が?
「私よ」
声の主は、モニターを俺達にみせていた鉄の木だった。
いや、正確には……
「み、ミシェル!?」
「久しぶりね! レイチェルちゃん! アリエルちゃん!」
鉄の木からぬるりと這い出した、一糸まとわぬ全裸の前髪さんだった。
「ミシェル!? ミシェルなんで!? どうして!?」
なんでそこから出てきたのか、どうやってそこに隠れてたのか、モニターに映っていたのは誰なのか、聞きたいことは色々あるけど……
「けど?」
とりあえず服を着てほしい。
「あんたがそれ言うの!?」
「ふふふ、私がなぜ服を着てないかというとね……?」
「いや、聞きたいのはそこじゃなくてね!?」
機械で造られた冬の森、馬鹿ばかりの宴は否応にも加速する。




