第九話
「……認めるしかないようね。アディ、アンタはたしかに、実力はあるみたい」
言って、けれど木剣を構えるサフィラ。
「でも、冒険者に相応しいかどうかは別! 本当に、本気で冒険者になりたいなら! アタシを倒してみせなさいッ!」
そうして、サフィラは再び攻撃を開始した。木剣を受け流しながら、アディは応える。
「わかりましたわッ!!」
次の瞬間――アディは、深く姿勢を沈み込ませる。弾いた木剣の軌道に潜り込むように。
タックルが来る――っ! と、サフィラは予測した。だから咄嗟に、木剣を盾にしながら後ろに下がる。
けれど、それだけでは足りない。アディの攻撃は、ただのタックルでは済まないのだから。
「――シールドアタックッ!!」
盾を構えながらの、体当たり。これと同時に、シールドバッシュ。
ぶつかる木剣と盾。この時、シールドバッシュのエネルギーが開放される。
すると――強い衝撃を受けて、サフィラは耐えきれなくなる。
「ぐっ!?」
あまりにもの衝撃だったから。サフィラの手から、木剣が弾き飛ばされる。
そして、まるで風に舞い上がる花びらのように。スキル発動の光を散らしながら、サフィラの身体が吹き飛んでいく。
慌てて、サフィラは空中で姿勢を整える。なんとか着地には成功。けれど、木剣ははるか遠くへと飛ばされてしまった。
こうなれば、もはや剣士は戦えない。勝負あり、といったところだろう。
「――いかがですか。サフィラさん?」
にこり、と問いかけるアディ。観念したように、一つ息を吐いて。サフィラも笑顔を浮かべる。
「……そうね。これは、認めざるを得ないわ。貴女、本当に強いのね。それに、思いも伝わってきたわ。本気で冒険者になりたいんだって」
「それでは?」
「うん。認めてあげるわ。貴女も立派な冒険者の一員よ!」
こうして、サフィラの難癖から始まった騒動は決着を迎えようとしていた。
「ごめんなさいね、アディ。試すような真似をしちゃって」
「いえいえ。構いませんわ。それに、あれはサフィラさんの優しさだって分かっていましたもの」
「ん? えっ?」
アディに言われて。サフィラは僅かばかり、狼狽する。
「ああやって、自分が憎まれることになろうとも。危険な冒険者という仕事から、遊び半分の者を遠ざける。――立派なことだと思いますわ」
「い、いやっ! そこまでのことじゃないわよ! ただ単に、気に入らなかっただけよっ!」
「そうですの? わたくしてっきり、そうだと思っていましたのに。自分の栄誉よりも、誰かの為を優先する。お言葉通りの、素敵な行為であったと」
「あー、あーっ! やめやめっ! そういうのナシっ!!」
ひたすら照れて、慌てるような仕草を見せるサフィラ。そんなサフィラを見て、アディはくすり、と笑う。
「では改めて。わたくしはアディ。本日から、冒険者となるものですわ。今後共、是非ご教授頂けると嬉しく思いますわ」
「あー、うん。何でも聞いてくれたらいいよ。アタシはサフィラ。他の冒険者にはブルースター、なんて呼ばれてるけど。普通に名前で呼んでくれたら嬉しいな」
言って、サフィラは自己紹介と一緒に、自身の冒険者ギルド登録証を掲げて見せた。
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名前:サフィラ(女)
年齢:16歳
職業:上級剣士
生命:B
身体:B
耐久:C
魔力:B
抵抗:C
総合攻撃力評価:B
ダメージ増加:B 命中:B
総合防御力評価:B
ダメージ軽減:B 回避:B
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こうして、二人は友誼を交わすこととなった。
――というのに。外野から、邪魔をするような声が響く。
「――おいてめぇ! ブルースタァ!! ふざけんじゃねぇぞォ!!」




