11 雀拳、飛翔
烏丸はッ!読んでいた!漫画を!
読んでいた先にはッ!スタンド空中じゃんけんぽん!
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「……正直こんな漫画とは思ってませんでした、アニメも見ていなかったですし」翌日バイト先で烏丸は叔父に漫画を返した。
「でしょ、面白いでしょ」店長は今日もちょいワルサングラススタイルで決めていた。書店にどう考えても似合わないだろ、と心の中で反抗しつつも烏丸は叔父には取り敢えず感謝しておくことにする。
「あ、読み終わったんでスタンド漫画の方はお返ししますよ」
「貸したの1日だよ!? ……待って、漫画の封切ってるからそれ売れないんだけど」
「叔父さんの家にでも置いて下さい」
「もうあるから! もうあるから勘弁して!」
「〆る、って言いましたよね?」笑顔、烏丸。
「オーマイガッガ」
流石にいけないのでバイト代から差し引いてくださいよ、と烏丸は付け加える。ちなみに現在烏丸に給料が支払われてなかったりする(約2ヶ月分)。経営のピンチというより店長の面倒くさがりが原因で。
「ああ、叔父さんはどうしてこの漫画を私に勧めたんですか」烏丸が気にしていたことの1つ。
「僕が面白い、って思ったからね。自分が良いと思えないと人にはなかなか勧められないから」
「じゃあ叔父さんが面白いと思った理由は何でですか?」
やや考え、叔父は答える。
「多分、ミカちゃんが面白いと思った理由とは違うと思うよ」
「突っ込まないでおきますね」ノータイムで烏丸が言う。
「キャラがカッコイイからさ」慌てて叔父は答えた。でも、君の考えとは違うだろうと付け加える。
「私は単純に、笑えたり引き込まれたりしたからですけど」
「それを詳しく言うのは難しいよね?」不思議と、問い詰めるような返事をする叔父であった。




