E 烏丸高校生と祖父の小説
祖父の作ったメモとノートを、烏丸は可能な限り日付順に並び替える。ノートの方にもたまに歯抜けの部分があり、新しいノート、白紙、はたまた裏が白いスーパーのチラシの裏にかかれていたりしたので収集作業にはひたすら苦労した。並べ替え作業で救いがあるとすれば、必ずページ下に順番の数値が示されているということだけであった。
「1265ページ……うわぁ……」
新たに最大ページをちり紙の中から見つけ出し、烏丸はとうとううめき声を上げてしまった。これでは一通りまとめてから読む、ということは出来そうにない。編纂は諦めて一度休憩を挟むことにした。
ふと見ると、床には祖父の書いた小説。書斎で見たゴミ屋敷の様相が、そのまま自分の部屋で起こったかのような感覚に、烏丸は不思議さを覚えた。
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「お風呂でサイヤ人再現するのそろそろ止めようかしら……っと」彼女は髪をさほど長くしていないので、比較的再現しやすい。自分の部屋に入って散らばる藁半紙をみると、どうも眠気が強みを増してくる。休憩がてら、一ページ目を読むことにした。そこにはこう書かれていた。
『俺より強いやつに会いに行く』
「ハドゥーケーン」再び脱力する烏丸。祖母に加えておじいちゃんも変人だった。
よりによって1Pからそれかよ。




