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Time Trip to Another World ~東雲~  作者: 蒼穹の使者
第二章 もう一度
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第31話 サターンの術を解く為に

手籠めにされてたまるかっ!

左之助は上手く伝授できるのでしょうか…

今回の週末は台風接近もあり、天気が不安定だった。

幸い誰も出張はなく自宅でのんびりしている。

そんな中、瑠璃だけが何か思い詰めるように窓の外を見ていた。


「瑠璃、食うのか食わねえのか。どっとちかにしろ、片付かねえだろうが」


今日の食事当番は歳三だ。

平日は忙しく当番にしても当てにならない、だから週末はこうして歳三が支度することになっていた。


「食べます!食べます!」


慌てておかずを口に掻き込む姿に思わず


「ゆっくりでいいから、良く噛んで食べろ」

「はひっ(はいっ)」


歳三は瑠璃が何か企んでいると確信していた。窓を見つめる瑠璃の目はぼんやりではなく、何か意志が込められたような鋭さを持っていたからだ。


「何か企んでるだろ」


いつもはリビングでのんびりしているはずの他の兄弟たちの姿はない。


「企んでるって言い方がよくないですよ」

「じゃあ、何を考えているんだ?これならいいだろ」


歳三は言うまでここから離れないと言いたげに、瑠璃に向き直った。


「えっと、サターン対策を少々・・・」

「サターン対策って、どういうことだ」


昨夜、左之助に話した内容を歳三にも話した。いつ、どういう手段で現れるか分からないサターンは瑠璃の動きを簡単に封じ込めてしまう。でも左之助にはサターンの術が効かない、だから左之助に教えを乞いたいと考えていたのだ。


「なるほどな・・・確かにあいつには効き目がなかったな。だがそれは、幻獣と属性の絡みだろ?もともとお前にはない能力だ。どうにかなるのか?」

「分かりませんけど、やってみないよりは・・・」


部屋に戻る瑠璃の背中を見ながら「やっかいな事この上ないな」そう歳三は思っていた。

いずれ対戦しなければならない相手、どうやってこの時代で戦い葬るのか。


「刀がねえんだよ、刀がっ」


そう刀がないのだ。まさか美術館にあるものを拝借するわけにもいかず、正規ルートで購入するにしても銃刀法がある限りは全員が持つなどすれば警察に目を付けられるに決まっている。

幻獣使って暴れるのか?街が崩壊するだろう。最大の悩みはそこだった。


「左之兄、お願いします!」

「そうだなぁ、俺自身もこれっていう確信がないんだが・・・」


左之助も意識をして術を解いたわけではない、瑠璃にどう伝授すればよいのか悩んでいた。

このままでは手籠めにされます!などと言われたのだ。何とかしてやりたいのは山々だった。


「何て言ったらいいんだ、その腹に力を入れるっつうか。地に四つの足を付けるような感じだな」

「お腹に力を入れて四つの足でって・・・足は二つしかありません」

「四つの足ってのはたとえだ、大地にしっかり足を付けるような・・・」

「・・・」


困った事に実際そうなってみないと左之助自身も分からないのだ。

そこへ山崎が通りかかった。


「何をしているのですか」

「山崎いいところに来た、瑠璃にサターンの術を解く方法を教えてるんだけどよ。上手く伝えられねえんだ」

「なるほど。確かに難しいですね」

「うーん・・・やっぱり無理なんですかね」


どうしよう、このままではサターンのいいようにされてしまう。そんなのは嫌だ!


「だったらさ、いっそのこと清い体を捨てちゃえばいいと思うんだけど」

「総司!」

「お前何を言っているんだ、本人に向かって言う言葉じゃねえだろ」

「でも、それしかないじゃない。サターンは瑠璃の清い体が目的なんでしょ?」


なんとも簡単に言ってくれる。山崎は顔を真っ赤にして固まっているし、左之助ですら瑠璃の顔をまともに見られない状態だ。総司だけが真顔で立っている。


「そこで何をしている」


振り向くと斎藤が部屋の前に立っていた。

総司が「あ、もう一人の主役の登場だね」と言って近づくのを慌てて止めた。


「いいからっ!ちょ、もう。止めてください」


斎藤と総司以外は顔を耳まで赤く染めてもじもじしている。怪訝な顔をする斎藤とニヤける総司、総司のい言う事はどこまでが本気で冗談なのか此処に来ても判断がつかない。


「総司、どういうことだ」

「ん?ごめん、ちょっと冗談が過ぎちゃったみたい」

「おい、事が事なだけに冗談には聞こえなかったぞ」

「だからごめんって。瑠璃、あのさ実は僕にもサターンの術が解けるって知ってた?」

「え!?」


遠い記憶を巡らせると・・・確か総司が危機一髪の時にサターンに一太刀浴びせたような?

玄武と白虎、何か共通点があるのだろうか。


「地面に近い方が解け易いって事。僕と左之さん以外の幻獣は皆ふわふわ浮いてるでしょ」


確かに、青龍も黄龍も朱雀も隼も浮いている・・・


「しかし、守護神である幻獣の能力は変えられないのではないですか?」


山崎の言う事はもっともだ。持って生まれた能力は変えられない。


「だから、変えるんじゃなくて借りればいいんだよ」

「借りる!?」


いったいどうやって借りると言うのだろう

けっこう総司くんには助けられています。

借りるって・・・どうやってお借りしましょうか。

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