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Time Trip to Another World ~東雲~  作者: 蒼穹の使者
第二章 もう一度
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第28話 夢ではありませんでした

長い一日を重ね、やっと金曜日の午後を迎えた

吐きそうになりながらパソコンに向かい、指を動かした

旅行部門もようやく目途が立ったのです

やっと心置きなく寝れる、休める週末が来た

ロビーに降りると一さんや左之兄、総司もいた

帰ろうとすると三人は私を制した


「まだ揃ってねえだろ」

「え、今日は皆一緒に帰るんですか?」

「飯食いに行くんだよ、帰ってから飯の支度なんてしたくねえだろ?」

「確かに」


頑張ったご褒美に今夜は皆で外食をすることになった

副社長の奢りだからと勝手に注文してお腹いっぱい食べた

「お前らそんな時ばっかり団結してんじゃねえ」

と、怒られながら


「瑠璃、ここ付いてるよ?」

「何処?」


総司は自分の口元を指さし教えるが

瑠璃の指は何処か分からず彷徨うばかり

見兼ねた総司は此処だと言い、自らの指で瑠璃の口元を拭った

その瞬間、瑠璃の体がビクリと跳ねた


「っ!?」


瑠璃はあの男の事を思い出してしまったのだ

榊 聖と言う男を


「ごめん」

「う、ううん。ありがとう」


総司の指と榊の指は違う、体温も仕草も全く違う

分かってはいるがあの時の恐怖を払拭ふっしょく出来ずにいた

心臓がバクバクと鳴る、手に汗が滲んだ


「瑠璃、どうかしたのか」

「え、あ。いえ」


隣に座っていた斎藤が瑠璃の異変に気付いた

いや、斎藤だけではない 歳三も左之助も総司もそして山崎も


食事を済ませ店を出るとポツリ、ポツリと雨が降り始めていた


「降ってきやがったな、さっさと帰るぞ」


そう言えば3つ目の台風が動き始めたと乾が言っていた

何も起こらなければいいが、歳三は空を睨んだ



「瑠璃、何か気になる事があるのではないか」

「え?」

「話してごらんよ。瑠璃が感じていること何でもいいから」


瑠璃一人でどうにかなる問題ではない

瑠璃は重い口をゆっくりと開くと先日の来客の話を始めた


「聞いてもらえますか?夢なのか現実なのか未だに分からないのですが・・・」


榊 聖と名乗る男は自分の正体を知っていた

彼も恐ろしく冷たい気を放つという事

五稜郭で倒した悪魔の事を知っていたという事を


「でも、席に戻ったら、えりも眞子も私が受付から呼ばれた事を知らなかったんです。確かに席を立つ時に、誰だろうねって話したのに」


本当に夢だったのだろうか

だとしたら私はなぜカフェに居たんだろう


「確か僕はその日、瑠璃さんとエレベーターで会いました。お客様に会わなければならないと、言っていましたよ」

「山崎さん!覚えてくれていたんですね!やっぱり夢じゃない」

「俺が瑠璃を見つけた時はテーブルに突っ伏してたんだ」

「・・・榊 聖。そいつは何者だ」

「以前、駅で会った男ではないのか!」


斎藤は前に瑠璃がある男と駅で立ち話をした事を思い出した


「あ、そうです。その人です。京都出張で会った」

「京都でか?」


歳三は会っていない、瑠璃は大久保に付いていたからだ


「あの後、瑠璃の体調がおかしくなったが・・・」


そうだ、あの男と接触した後は体中が冷え込む

頭痛と吐き気に襲われた そしてサターンの夢を見た


「あの人も人間じゃないのかな」


左之助と総司は顔を見合わせた、何か嫌な予感がする


「その榊は他に何か言っていなかったか」

「他に?」

「うん、瑠璃の事をどうしたいって言ってた?さっき僕が触れただけでもの凄く怯えてたじゃない」


瑠璃は顔色を変え、膝に置いた指を震わせた


「何か、言われたのか」


歳三が瑠璃に答えを促すように問う


「必ず迎えに来るから清いままで待っていろって・・・未来の花嫁だって、言われました」


「なにっ!?」

「なんだと!!」


全員が眉間に力を入れ、厳しい表情となる

特に歳三と斎藤は怒りで幻獣の影がチラつき始めた


「土方さんっ、斎藤さんっ。(こら)えてください」


山崎が必死に二人の怒りの気を抑えようとしていた

左之助と総司は何か合点がいったように頷く


「その榊 聖って男、サターンの人間の姿だよ」

「えっ!?」

「俺もそう思う。サターンは人間の姿で瑠璃に近づいて来たんだ、正面から堂々とな」


二人の見解が正しければ、いつでもサターンは瑠璃に接触できる

しかも、のこのこと会社までやってきたのだ


「くそっ!舐めやがって!」


歳三が怒りで叫ぶ側で、小さく震える瑠璃

斎藤はふと我に返った 瑠璃が怯えている

斎藤は瑠璃の手をそっと取り立ち上がった


「今夜は休んだ方がいいだろう。疲れで思考が働かない」

「ああ、そうだな」


今吠えても何も解決しない

とにかく今は疲労回復させるのが最優先だ

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