第21話 サターンの狙い
あと2つも台風が控えている事もあり
サターンの襲撃から瑠璃を守る為に対策を練っている
とは言え彼らはサラリーマンなのだ
自分たちの都合で会社は休めない
「僕達って、結構世の中に縛られてるよね」
「本職サラリーマンで副職が悪魔退治だからな」
「なんだか映画の主人公みたいですね」
「だな「だね」」
そんな私たちの話はキレイに流されている
と言うか、無視されている気がする
歳三兄さんは一さんと山崎さんと真面目に話している
本当は分かっている、真剣に向き合わなければならない事を
でも、怖かった
サターンの腕に捕らわれた時の感覚が残っているから
左之兄も総司もそれに気づいていると思う
だからああやって、軽い感じで話してくれるんだ
「すみません、少し部屋で休みます」
サターンに言われた言葉で引っ掛かるものがあった
それを少し考えたかったから
(未だまじわりのない血を、俺が全部貰う)
どういう事?私の血が欲しいの?
トントン、 誰かが部屋をノックした
「どうぞ」
現れたのは総司だった
「総司」
「話してごらんよ。一人で考えるより二人で考えた方が先が開けると思うんだけど」
「総司に隠し事は出来ないね」
「無駄な努力はやめておきなよ」
二人は床に座りベッドを背もたれにし話をした
サターンへの恐怖心が拭えない事
捕まえられた時の感覚や痛みが未だに残っている事
そして、サターンから言われた事の全部を話した
さすがの総司もぐっと眉に力が入り厳しい顔になる
「まじわりのない血ってなんだろう。私は人間と神と両方の血が混じってるのに・・・」
「その混じるじゃないよ」
「え?」
総司の顔が怒りで歪む
未だまじわりのない血とは、混じるではなく交じる
瑠璃の女としての清い身体と血が欲しいという事だ
今でもサターンの恐怖心が取れない瑠璃に
その自分の見解を伝える事に躊躇いが生じる
「総司?」
瑠璃の両の瞳が不安に揺れる
斎藤はまだ瑠璃を・・・
嬉しさの反面、莫迦だなあと溜息が出る
あの激動の時代の中、瑠璃を守り抜いた斎藤の想い
それをサターンが踏み躙ろうとしている
腹が立って仕方がなかった こんな怒りは初めてだった
「瑠璃、大丈夫。僕たちが絶対に守るから」
総司は片手で瑠璃の頭を撫でた
「総司・・・」
総司のその行動には驚いた
冗談を言って慰めたり、茶化したりする男が
他の兄達がするように何かを秘めたまま大丈夫だと言った
「うん」
瑠璃の事が心配だった左之助は部屋の前で話を聞いていた
両手の拳を握り締めて怒りに震えている
二人に気づかれないようにその場を離れた
「くそっ!!」
この俺の手で再びあの悪魔を葬ってやる!
俺の能力の全てをサターンにぶつけてやるんだ!
左之助がリビングに戻ると総司も戻っていた
「瑠璃は?」
「部屋で休んでる」
総司は土方たちにも話したのだろうか
いや、まだ話していないのだろう 話せねえよな
怒りで街を破壊しかねない
俺だってそうだ、怒りを抑えるのに必死なんだ
今、共有すべき内容じゃねえ
「暫くは、左之助と斎藤が瑠璃の側にいれるようにしてくれ。特に天気の安定しない日は左之助、頼んだぞ」
「はい」
「おう、任せとけ」
「とにかく生活スタイルは変えなくていい、相手に付け上がる隙は見せるなよ?」
「ああ」
ニュースでは来週末にまた台風が来ると言っている
自然を使ってくるとは厄介な相手が敵になった
この街で幻獣を使って暴れる事は出来ない
サターンは何処に潜んでいるのだろうか




