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Time Trip to Another World ~東雲~  作者: 蒼穹の使者
第二章 もう一度
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第20話 乾さんの見解

翌朝、目を開けると目の前に一さんの寝顔があった


「おっ、びっくりした」


あまりにも良く眠ったのですっかり忘れていた

一さんに朝まで一緒に居てほしいってお願いしたんだった

私の左手は未だに繋がれたままで

それが、どれほど心配かけたのかを表している

でも、ちょっとだけ愚痴ってもいいですか?

左の腕に感覚がないのですけど


「腕、痺れてる・・・」

「ん、瑠璃。起きていたのか」

「あっ、一さんお早うございます」


そう言うと、ふっと柔らかな笑みを見せくれた

ゆっくりと起き上がった一さんの右手と私の左手が離れた

一さんは部屋のカーテンを開ける


「外、どうなっていますか?」

「ああ、嵐は治まっているが雨はまだ残っているな」

「そうですか・・・っ」

「どうした」

「腕が痺れていて・・・たぶん私が一さんの手を放さなかったから」

「・・・っ。すまん」


総司じゃなくてよかった

総司だったらツンツンふにふにしてきたはず

一さんは私がただ悶えているのを見守っている感じだ

それも傍から見たらちょっと変かな?


「お腹が空いたので、朝ごはんにしましょう!」



リビングにはすでに山崎さんはじめ、他の兄たちが揃っていた

そして、乾さんもいた


「おはようござ・・・乾さん!」

「瑠璃殿、おはようございます。夕べの事、聞きました。私がもう少し早くに訪れていれば、申し訳ない」

「乾さんの所為ではありませんよ。それで何か分かったのですか?」

「はい、実は・・・」


乾さんの話はこうだった

サターンもこの社会の何処かで人間として生活をしていること

大気、気圧、冷気を操る能力をを持っている

この世界を征服するためにより強力な力が必要

すなわち瑠璃の能力が必要だと


「なんで瑠璃の能力なんだ、他にも要るだろう」

「何故、瑠璃殿でなければならないのか。それは陰陽に関係するからです」

「陰陽?」


中国の思想で陰陽相互という考え方がある

世の中は全て陰と陽で成り立っており、どちらが欠けても成り立たない

サターンは性別こそ男性(陽)に属しているが

能力そのものは陰にあたる

また瑠璃は性別は女性(陰)にも関わらず能力は陽を持っている

もともと互いは性と能力の陰陽が不一致である

それを補う為にサターンは何が何でも瑠璃を手に入れるつもりだと


「・・・」


皆、言葉が出ないまま沈黙が続いた


その沈黙を破ったのは、瑠璃だった


「私は性別を陰としながらも能力は陽なんですよね。私と兄たちの関係はどうなんですか?何かの不一致を起こしたりはしていないのでしょうか」

「私も考えたのですが、皆さんとは不一致は起きていないはずです。むしろ一緒にいることで能力は増すように思えます」


方位を司る守護神を持つ彼等は陰陽の均等が取れている

歳三は東の青龍、属性は炎 

左之助は北の玄武、属性は大地

総司は西の白虎、属性は水 

斎藤は南の朱雀、属性は風

瑠璃は属性が光で再生と癒し 

この五つの融合は自然界の摂理に適している


「もし、瑠璃がサターンに奪われたらどうなる」


歳三が冷静に問う


「ひとつでも欠ければ、均等は崩れサターンには勝てないでしょう」


その答えは分かっていた、だが聞かずにはいられなかった

どうやってサターンを倒すのか

どうやってサターンから瑠璃を守るのか


「ねえ、なんでサターンは堂々と現れないの?瑠璃の夢の中なんかじゃなくて」

「あなた方に近づけないからですよ」

「どうして近づけないんだ」

「あなた方の存在そのものが結界であり、悪魔が近寄れない」


陽の力を持つ瑠璃だけが欲しい

だから陰の力で弱らせようとしていた

しかし斎藤が合流したことで瑠璃の周囲の結界は強固なものとなった

焦ったサターンは今回のように台風という自然を利用したのだろうと


「サターンは今回の件であなた方全員の存在を確認したと思います。今後、なんらかの手を変えて近づいてくることは間違いないでしょう」


山崎は眉間に皺をよせ、厳しい表情で問う


「現実でも対決する日が来る、と言う事でしょうか」

「間違いないでしょう」


何だかとてもややこしい話しだ

陰陽論など考えたこともなかったから余計にそう思う


「ややこしいな」

「ややこしいですね」


左之助と瑠璃がほぼ同時にそう呟いた


「二人ともそう言う難しい話は苦手なの?」


総司がニヤニヤ笑いながら言う


「瑠璃って面白いよね。歳三さんに似てるかと思えば、そう言う部分は左之さんとそっくり」

「何だよ、兄妹なんだからいいだろ。なあ?瑠璃」

「・・・うん」

「腹黒い部分は総司とそっくりだ」

「歳三さん!僕の何処が腹黒いんですか」


歳三兄さんと総司はいつもぶつかり合う

何だかんだ言って、この二人が一番似た者同士なんじゃ


「今話すべき内容とは思いませんが」

「・・・!」


一さんの冷静な一言でシーンとなる


「すまん」

「ごめん」


苦笑いの山崎さんと私


やはり私たちは摂理に合っているらしい

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