第16話 斎藤のじゃなきゃ駄目なのか!?
青い顔をした瑠璃だったが気を送り始めると
すぐに眠りについた
頬には少し赤みがさしている もう大丈夫だろう
瑠璃の中で何か起きているのか?
自分自身に能力を使う事が難しくなっているような気がする
「瑠璃、どうした。何か変わったことがあるならば言ってほしい。何でもいい、些細な事でも構わない。俺に瑠璃の事を教えてくれ」
静かに眠る瑠璃には斎藤の問いなど聞こえていない
たが、ほんの僅かだが頬が上がった気がする
今は何か楽しい夢でも見ているのだろう
ガチャ、と玄関の扉が開いた 歳三が帰って来たのだ
「斎藤、すまん。遅くなってしまった」
「いえ、瑠璃はもう休んでいます」
「そうか」
歳三は眠る瑠璃の顔を確かめる
今朝の顔色から比べたら雲泥の差だった 赤みがさしている
歳三が気を送ってやった時はここまでは戻らなかった
「瑠璃に気を送ってやったのか」
「はい」
やはり瑠璃には斎藤が付いていないと駄目なようだ
俺たち兄弟の気では気休めにしかならないって事か
血が繋がってるのに無力だな
「斎藤」
「はい」
「気づいたと思うが、最近瑠璃の中で何か変化が起き始めている。原因はまだ分からねえがな」
「はい、俺もそう感じております」
「今朝、胃が痛むって言うから俺も瑠璃に気を送ってやったんだ。痛みは止めてやれたが・・・」
「サターンが関係しているのでしょうか」
「さあ、どうなんだろうな」
瑠璃は自分の体をコントロールできなくなりつつある
心なしか少し痩せたようにも思えた
暫く様子を見ていた斎藤は自分の家に戻っていった
翌朝になると瑠璃はすっかり元気になっていた
朝早くに起き、朝食を作るとシャワーを浴びた
出社時間までまだ随分時間がある
「おまえ、今朝はやけに早いじゃねえか」
テレビを見ていた瑠璃が振り返る
「あ、起こしてしまいましたね。すみません」
歳三は瑠璃の顔をじっと覗き込む
「なっ、な、なんですか。近いんですけどっ・・・」
「いや、元気だなって思っただけだ」
その割には少し不機嫌な気がするんですけど
「なんで不機嫌なんですか」
「あ?別に俺はいつも通りだが」
「そうですか?怒気が感じられるんですけど」
そうだ俺はすっかり元気になった瑠璃にイラついていた
何でだ、毎日一緒に寝起きを共にしているはずなのに
俺の気より斎藤の気の方が相性がいいとは
「兄妹なのによっ!」
「はい?」
「だから、お前は俺の気より斎藤の気の方で元気になったって話だ」
「・・・そんな話、してましたっけ?」
「っ、何でもねえよ!」
「・・・」
しまった、訳の分からねえ事を言っちまったじゃねえか
瑠璃の事だから気づいちゃいねえと思うが
「歳三兄さん!」
「なんだ」
満面の笑みを浮かべてこう言いやがった
「嫉妬ですねっ」
「っ-------。」
そうだ、総司とこいつはもともと双子だったんだ
そんな変な所だけ敏感になりやがって
「さ、朝ごはん食べましょう。今日もお仕事いっぱいですよ」
唯一の救いと言ったら
瑠璃のそれは計算されたものではない
俺さえ平常心で受け答えられれば
それをツツいてくるこは無い
「ったく、食ったら直ぐに出るぞ」
「はい!」
敵わねえ、本当にこいつには適わねえ
さっさと悪魔を片付けて、熨斗つけて斎藤に渡してやる
歳三兄さん、ちょっぴり嫉妬です。




