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Time Trip to Another World ~東雲~  作者: 蒼穹の使者
第二章 もう一度
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第14話 決定事項

悪魔に狙われているとは言え

いつもと変わらない日常が巡ってくる

いつも通り出勤し、今日もパソコンに向かう

何を隠そう本業はサラリーマンだからだ


乾さんの登場以来、行きは歳三兄さんと

帰りは一さんが家まで送ってくれると言う

お姫様みたいな生活をしていた


そんなある日の事だった

歳三兄さんからグループLINEで集合がかかった

とは言え、この家に来るので私は待つだけ

お茶の準備をしている


最初に来たのは、山崎さん


「お邪魔します。瑠璃さん手伝いますよ」


キッチンに入ってきた山崎さんは

慣れた手つきでお盆を出す

途中で買ってきてくれたらしい和菓子があった

なんて気の利く人なんだろう


それから、一さんがやって来て

暫くして左之兄と総司が一緒にやって来た

呼び出した本人は部屋で仕事中


「歳三兄さん、揃いましたけど」

「おっ、分かった。直ぐ行く」


緊張すべきなのかよく分からない状況に

みんなの困惑気味な空気が伝わってくる


「何なんですか?呼び出しだなんて」


歳三兄さんはニヤリと笑い封筒を出した

A4サイズで、何かの資料が入っている様だった

総司が封筒から冊子のような物を出した


「歳三さん、家でも建てるんですか?」

「違うよ、よく見てみろ」


もの凄く気になるので私も隣から覗き込んだ

住宅情報と言うか、特定の建物のパンフレット


「ん?シェアハウスって書いてあります」

「兄貴、新しいビジネスか?」

「いいかよく聞けよ。7月までに此処に越すぞ、それぞれ退去手続を始めてくれ」

「え!?誰が引越すんですか」

「此処に居る全員に決まってるだろ」

「えー!」

「マジかよ」

「強引だなぁ」

「・・・」

「・・・」


歳三兄さんは既に契約をしたらしい

いつもの如く誰にも相談をせずに


「でも、一さんは越してきたばかりですよ?解約したら違約金とか発生するんじゃないですか?」

「それは問題ない。話は付いている」

「まさか脅したんですか」

「おまえなぁ、俺を何だと思ってるんだ。俺達の住んでるマンションとここの家の管理会社は同じだ。円満に話は済んでる」


歳三兄さんは眉をピクピクさせながらそう言った

総司が何故か笑っている


「何で笑うの?」

「僕が言おうと思った事を先に言われたから、くくくっ」

「ま、元双子だからな」


左之兄の一言に思わず吹き出す

でも、一人だけ複雑な顔をした人が居る

一さんだ


「総司と同じ思考をしているのが心配だ」

「一くん、それ失礼じゃない?」

「すみません、僕も同感です」

「えっ、山崎さんまで」


歳三兄さんと左之兄はケラケラと笑っている

こんな日々がまた戻ってくる

そう思うと、自然と顔が綻んだ



「一さん、またお引越しですね」

「そうだな」

「でも、ちょっと嬉しいです。あの頃に戻ったみたいで」

「ああ」


部屋割、食事当番、掃除当番とか決めないと

台風が来ても寂しくない 

歳三兄さんは話の締めくくりに


「サターンが瑠璃を狙っているからって、こっちが逃げ隠れする必要はねえんだ!瑠璃もそうたぞ?迷惑じゃねえかとか考えるな。俺達らしく生きていく!それだけだ」


こっちが生活を変える必要はない

現れたらその時に考えればいい

だからお前は堂々としていろ、俺達が何とかしてやる

そういう風に聞こえた


「瑠璃」

「はい」

「俺達はあの頃に戻ったのではない。未来に向かって進み、変化している。これもその過程の一つだ」

「はい」

「もう少し先の未来はまた離れて暮らす事になる」

「そう、ですよね」


これはサターン対策の一つである事は間違いない

ずっと一緒に暮らす訳ではないのは分かっている


「其処をを出る時はそう先の事ではないと願う」

「・・・一緒に暮らすのは、嫌、でしたか?」


つい、トーンダウンした声で聞いてしまった

一さんはそんな私を見て、ふっと笑う


「誤解、しているな」

「え?」

「いつまでも皆と一つ屋根の下で暮らしていては、瑠璃と二人きりの生活が一向にやって来ないではないか」

「・・・!?」


驚きと嬉しさと恥ずかしさが一度にやって来た

今私はどんな顔をしているのだろう


その言葉には二人の未来の約束が込められていた

守られているだけではダメだ

私も一さんを兄たちを守る、絶対に守ってみせる


そして、一さんのお嫁さんに なる!!

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