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Time Trip to Another World ~東雲~  作者: 蒼穹の使者
第二章 もう一度
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第12話 乾さんの話

目の前には五稜郭で共に戦った乾さんが立っている


「乾さんもこの時代にいたんですね」

「はい」

「では、神田さんや百合ちゃんも・・・」

「彼らはおりません」

「えっ」

「彼らは今一番大変な時を迎えているため、此方の時代には来ていないのです」


二人は何かの都合でこの時代には来られなかった

だが乾は何か理由があってこの時代に来たと聞こえる


「道場破りは、あんたの仕業か?」

「その通りです」

「詳しく話を聞かせてくれ」


斎藤は何かを察したのか、瑠璃に兄たちを呼ぶよう伝え

道場から少し離れたカフェで待ち合わせる事にした


真剣な顔をした一さんを見たら少し不安になった

何か嫌な予感がする


暫くして、兄さんたちがやってきた

皆とても驚いていた


「おまえっ!元気だったか?まさか、こっちの時代で会えるとは思ってもみなかったが」

「原田殿、いや今は姓が違いましたね。左之助殿、お久しぶりです」

「君だけなの?こっちにいるのは」

「はい」

「・・・訳ありか」

「皆さん記憶は大丈夫のようですね。能力の方は・・・、素晴らしい。以前より増しておられる、ならばお話しても大丈夫そうですね」


乾さんは一瞬目を閉じて何かを探っていたけど

それは私たちの能力が戻っているかを見ていたようです


「あの・・・話って」

「ええ、早く知らせなければと思い参りました」

「良い話じゃあねえんだろ?」

「申し訳ございません」


そう私たちに謝ると、乾さんは語り始めた


「私がこの時代に来た理由ですが、皆さんが命懸けで倒した悪魔の一人が・・・甦りました」

「なにっ!?」

「えっ!?」


乾が言うには、その悪魔は元は天使だった

才能に満ち溢れその名をルシファーと言う

ある日、神に歯向かい戦争を起こす

しかし神の力には及ばず、天から落とされ堕天使となった

彼はその後、悪魔に拾われサターンと名を変えた


「サターン?」

「はい、あなた方がサキュバと交える前に会った悪魔です」

「あいつが!?あの気圧を操る、あいつが甦ったのか!」

「はい、彼は神の良心を騙したのです」

「どういうこと?」


左之助の槍で葬られたサターンは再び神に会った

神にこれまでの罪を認め、許しを乞う

そして、もう一度やり直す機会を得たのだ

しかしそれは表向きの反省であり、裏ではこの世の征服

最終的には神の世界を含む宇宙の支配だと


「宇宙だと?また、大きく出たな」


歳三は眉間に皺を寄せ、不快を表す

そして、斎藤は乾に問う


「それで、その復活とあんたの登場はどう関係するのだ」


すると、乾は姿勢を正しゆっくりと深呼吸をする

皆、その先の言葉を静かに待っている


「サターンが復活した時代が此処なのです」

「!?」

「・・・」

「この時代に復活したのか!」

「・・・はい」


復活させたのは古くから欧州を管轄している神々

復活の儀式が出来るのもまた、彼等のみなのだ


「そして、サターンは日本にいます」

「!?」

「何でこの時代で、よりによって日本なんだ」


「先ずなぜ日本なのかですが、葬られた場所での復活しか出来ないからです。そして、なぜこの時代なのか。過去からすれば今のこの時代が最も先の未来なのです。神ですら明日のことは予測でしか分からないと言われています。要はこの時代ならば自分で新しい歴史を作り上げる事が出来るのです。運命に囚われることなく」


「・・・」


暫くは皆、言葉を発する事なく無言だった

神を騙して復活したなど、信じ難い話であったからだ

そして、誰もが一つ確認しておきたい事があった

それを総司が口にする


「まさか、その悪魔退治をしてくれって話じゃないよね?」

「そのまさか、だと申したら?」

「僕達の使命は過去に終わったんだ、やっと人間らしく生きられるようになったのに、どうして外国の神の失態を僕たちが尻拭いしなければならないのさ」


総司がい言うのは尤もな事だ

今回に限っては、日本の神たちには関係がない

むしろ欧州の能力者が担うべき事だ


「その事は日本の神も再三申したのです。しかし、サターンは征服の為、何に変えても手に入れたいものがあると」

「手に入れたいものって、何だよ」


乾は左之助の問いに思わず言葉が詰まる

いつもは淡々と無情なまでに話す乾の言葉が止まる

いったい手に入れたいものとは何なのか


「手に入れたいもの、それは・・・」


乾は決心が付かないのか、目を閉じる


「それは、何だ」


歳三の低い声が静まり返った部屋に響く

そして、意を決したのか乾はゆっくりと目を開け

一点を見つめて言葉を発した


その見つめた先には、一人の人物


「瑠璃殿です」


「・・・!?」

「えっ?」


時が止まったように誰も言葉が出ない

ただ、背中を冷たい汗が伝った

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