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Time Trip to Another World ~東雲~  作者: 蒼穹の使者
第二章 もう一度
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第11話 道場破りがいるらしい

えりたちの怒涛の質問攻撃になんとか耐え

会社でも平常心で仕事が出来るようになった

はずです・・・

それに一さんは会社では先輩にあたる

だから会社では「斎藤さん」と呼んでいる


たまにみんなで社食で食べる事もあるけれど

基本的には公私混同はしないのです

一さんがそういう事に関してとても真面目だし

元組長ですから、その辺りは厳しいのです


長くなりましたが、最近妙な事件が起きている


「道場破り!?」

「おお、いつの時代だよって感じだろ?でも本当なんだよ」


珍しく永倉さんが大久保道場に来たと思ったら

こんな話を始めたんです


「おい、夢でも見たんじゃねえのか?」

「本当だって!ニュースにもなってるんだぜ。ほら、見てみろよこれ。凄え強いらしいぜ」


皆で永倉さんのスマホを覗くと

地方ニュースだけれど、本当に載っていた


「・・・」

「まだ信じねえのかよ」

「じゃあなに?此処にもそのうち来るってこと?」

「たぶんな」

「目的は何かあるのか?」

「さあな」


例えそれが本当で、道場破りが来たとしても

このメンバーに勝てるわけがない

世の中変わった事をする人がいるもんだ


「新八さんが相手したらいいよ」

「おい、総司。その新八は止めてくれって」

「新八ではないのか?」

「ははっ、ほら斎藤にも説明しろって」


何故かこの時代では新一なのだと必死に説明していた

ついでに、藤堂くんの事も

一さんは鼻で笑っていたけど


「で、何で俺なんだよ」

「神道無念流だから」

「はあ?」


うんうん、と全員で頷きその時が来たら

永倉さんに相手をしてもらおうという事になった


「えりも応援に来ると思います」

「ったく、仕方がねえなぁ」


やる気が出てきたようです


実際に時代劇で見るような道場破りがあったのか

と聞かれると・・・返答に困る

他流派試合というのは頻繁に行われていたようですが

負けたら看板を取られたり、廃業する話は聞いたことがない

負けた事でお弟子さんが去ってしまう事は

あったかもしれないけど・・・


「時代劇の道場破りって面白いよな、派手でよ」

「左之兄は相手した事ありますか?」

「近藤さんとこにも、ちょいちょい来てたけど面倒なんだよな相手するのって。金出して人を雇ったりしてたぐらいだ」

「わざわざお金出して・・・みんな強いのになんで」

「人殺しはしたくなかったからな」


なるほど、試合形式は苦手だったのですね



そんなある日の出来事だった


いつものように道場で汗を流していると

入り口付近が騒がしくなった

対応していた生徒さんが困った顔でやってきた


「大久保師範が不在なのでどなたに相談したらよいか」

「何かあったんですか?」

「実は・・・噂の道場破りの方のようで」

「え!?来たんですか!」

「はい」


まさか本当に来るとは!

大久保さんは滅多に此処には来ないし


「困りましたね。取り敢えず今日のところはお断りしましょう」


そう言うと彼は「そうですよね!」

と言って、走って戻って行った


「何かあったのか」

「あ、一さん。道場破りらしいです」

「本当に来たのか!?」


入り口付近の様子を二人で見ていると

また対応した彼が戻ってきて


「帰ってくれません」


と眉を下げ、とても困っていた

話は出来るのだから乱暴な道場破りではなさそうだ


「俺が行ってくる」

「えっ、じゃあ私も行きます」


道場破りは一人のようだった

入り口に背を向けて立っている

見るからに体格のよい男の人だ


「申し訳御座いませんが、責任者が不在の為本日は対応致しかねます」


一さんが言うと、その男はゆっくり振り向いた


「左様でございますか」


お腹に響く程の低い声が上の方から聞こえてきた

2メートル近く有るのではないか、と思うほど背が高い

私は見上げるようにして、その男性の顔を見た


「あっ!?」


見覚えのある顔に驚いて、つい指を指してしまった


「ん?・・・佐伯殿!?それに斎藤殿も!!」

「なっ、何だ」


彼もこの時代で生きているとは思わなかった


「一さん、乾さんですよ!」

「何!?」


そう、彼は左之兄に仕えると宣言した人の一人

乾陸いぬいりく、天狗の姿に変幻(へんげ)する人だ


どうして此処に?

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