第10話 LINEはじめました
歳三兄さんは本当に仕事があったようで
いつもと同じ時間に出勤していった
「あっ!!一さんの連絡先聞くの忘れた・・・」
嬉しすぎて連絡先まで頭が回らなかった
失敗したぁ
「でも、総司に聞けばいっか」
あ、でも総司に電話したら絶対に揄れる
でもそれしか方法を思いつかないし
背に腹は代えられぬと・・・スマホを手にした
♪~♫、♫~♫♪~、♪~♫、♫~♫♪~
お!ビックりした 誰からだろう?
名前が表示されていなかった
「もし、もし?」
「瑠璃か?俺だ」
「・・・えっと、俺って」
「すまん、その昨日聞くのを忘れてしまって。瑠璃の番号を総司に聞いたのだ」
「一さん!?」
「ああ」
総司に聞いてくれたんだ、いろいろ言われただろうに
一さんは此処の場所を知っているようで
10時頃迎えに来てくれるらしい
待ち合わせってドキドキする しかも車で来るって!
「待ったか」
「いえ、今降りてきたばかりです」
「そうか」
そんな何でもない会話が妙にくすぐったいというか
しかも一さんが車を運転している!
つい見惚れてしまう ううっ、恰好いい
今更ながら照れが出てしまう
「何かが無くて困ると言う事はないのだが、取り敢えず俺の部屋に来てくれないだろうか。瑠璃が見てあった方が良い物などあれば教えてほしい」
「分かりました」
予想はしていたけれど、一さんの部屋はきれいだった
家具やカーテンは自然色で統一し洗練された部屋だった
「すごく綺麗ですね。モデルルームみたい」
「そんな事はないだろ」
取り敢えずソファーに座って辺りを見回す
そんな時、総司からLINEが来た
(デート楽しんでる?)
あ、そうだ一さんのID教えてもらおう
「一さん、LINEのIDを教えてください」
「実はその・・・LINEをしていないのだ」
「え!そうなんですか?まぁ、無ければ無いで困りませんし」
瑠璃はそう言うとスマホを鞄にしまった
「手間でなければ、そのLINEを入れてもらえないだろうか」
「いいんですか!?」
「便利、なんだろう?」
「はい!」
俺は瑠璃に自分のスマホを渡した
瑠璃は嬉しそうにアプリをダウンロードし設定をする
その横顔を見ているだけで、幸せな気持ちになった
「えっと、通知音どうしますか?いろんな音がありますけど」
「瑠璃はどうしている」
「私は電話以外はバイブです。通知音があまり好きではなくて」
「ならば俺もそれでいい」
私と同じでいいって言われて、ドキッとしてしまった
そう言うの反則ですよ
電話帳の中からLINE友達が自動で上がってきた
勿論その中にも私のも含まれている
「これで一応設定は完了しました。因みにこれが私です」
「ああ、助かる」
「今からテストメッセージ送りますね」
一さんのLINE一番乗りしてやるぞって意気込んでいたら
ブブー、ブブーと通知バイブが・・・
え!?まだ送信してないけど・・・
「ああっ!!」
「どうした!」
一さんのLINE一番乗りは、なんと、総司だった
しかも、どこぞのウサギさんのイェイ!のスタンプ
「総司に越された・・・ショックぅぅ」
瑠璃は俺へのメッセージが一番に送れなかったとで落ち込んでいる
そんな事で落ち込まなくとも、と言おうと思ったが
瑠璃のその気持ちが嬉しくもあり
そんな些細な事で落ち込む姿が愛らしくて堪らなかった
「俺はまだメッセージは受け取っていないぞ」
「え?」
「俺はこれをメッセージだとは認識していない」
言いたい事が伝わったのか瑠璃は花が咲いたように笑い
メッセージが送られてきた
(一さん、大好きです!)
メッセージを呼んだ俺の顔は赤くなっているに違いない
まったく瑠璃には敵わん
この後俺は、返信すべきかどうか悩んだのは言うまでもない




