第9話 歳三と山崎の後押しで
山崎を弄り飽きた俺は、左之助と総司に連絡した
あいつ等もずっと気にしていたからな
特に総司はああ見えても、一番気に留めていたはずだ
ガチャ、扉が開いた
瑠璃と斎藤が部屋から出できた
おい、おい、手を繋いでるじゃねえか
瑠璃は恥ずかしそうに半分斎藤に隠れてやがる
まったく、俺はなんて声をかけたらいいんだ
「歳三兄さん、心配掛けてすみませんでした」
「・・・」
「えっと、休めって言われていたのに聞かないで、その」
なるほど、俺が怒っていると思ったのか
まあ今回は叱ってもいいのかもしれねえが
今はそうじゃねえだろ
もっと他に言う事があるだろうよっ
「おい、言いたい事はそれだけか」
「うっ」
俺は黙ったまま俯く瑠璃に近づいた
「土方さんっ」
山崎が何故か焦った声で制しようとしている
俺はそこまで鬼じゃねえぞ?
「斎藤」
「はい」
「もう二度と、こいつの事を離すんじゃねえぞ。例え命が掛かっていようとも、だ」
「勿論そのつもりです」
「瑠璃、良かったな」
瑠璃の頭をポンポンと撫でてやれば
ぽろぽろと涙を流し始めた
俺は何度、瑠璃が声を殺して泣いているのを見てきたか
孤独・不安・悲しみ・希望・諦め
瑠璃の心はそれらの繰り返しでボロボロだった
「もう歳三兄さんとは暮らしません。なんて急に言うなよ?一応、心構えってものが要るからな」
そう言うと瑠璃が笑った
「ふふふ、お父さんみたい」
そうだな、俺は瑠璃の兄でもあり親なんだろう
だから何が何でも守ってやりたかったんだ
それはこれからも変わらない
たが、その使命の半分は斎藤に譲ってやるよ
「煩せえ、腹が減ってるんだ。飯食いに行くぞ」
4人で会社を後にした
「瑠璃さん、週末はゆっくり休んで下さいね」
「そうだぞ、おまえ暇だからって道場なんか行くなよ」
二人の小言は終わる気配がない
でも、たくさん心配をかけたから黙って聞こう
「はい、大人しくしています」
「何でそんなに素直なんだ」
「私だって素直な時くらいあります」
「そうか」
歳三兄さんは何か言いたげにニヤニヤしている
「見張っておきたいが、生憎俺は明日は仕事だ。斎藤、瑠璃の見張り頼んだぞ」
「!?」
「見張りなんて」
要らないと、言おうとしたら山崎さんまで
「斎藤さん、お願いします」
「・・・分かった」
一さん、了解しちゃったよ・・・
斎藤の場合は俺たちが強引に仕向けないと
真に受けて絶対に連絡寄越さないだろうからな
「斎藤、部屋は片付いているのか?揃ってないもんとかあるだろ。瑠璃手伝え」
「しかしそれでは体が休まらないかと・・・」
「瑠璃さんの場合は体より精神を休めた方がいいのですよ。余計なことを考えずに、ゆったりとした心で過ごすことが大切なんです」
斎藤は暫く考え、瑠璃の方に向き直ると
「頼めるか?」
そんなに真剣に考えなくてもいいのに
そこが一さんらしくて好きだなぁ
「はい!勿論です」
二人のお陰で一さんとデートが出来る
(歳三兄さん、山崎さん。ありがとうございます)
二人は顔を見合わせて笑っていた
歳三さん、さすがに妹のそう言うのって恥ずかしですよねっ。
ついつい山崎さんを弄ってしまいました。
今後、二人はちょいちょいイチャつくかもしれませんが許してやってください。




