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Time Trip to Another World ~東雲~  作者: 蒼穹の使者
第二章 もう一度
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第3話 会話をしました

結局あの朝礼以来、一さんに会う事はなかった

社内でも書類のやり取りはメールが主なため

わざわざ出向く事も無ければ、話す事もない

それに私は、旅客の方だから関わりがない


「ふぅぅ」


張り詰めた気を緩めるために息を吐く


「どうしたの?なんか疲れてるみたいだけど」

「あまり眠れてなくて・・・」


えりは眞子と顔を見合わせる

この頃、瑠璃の元気がいまいちだからだ


「ねえ、食欲は?」

「うーん、まあまあ」

「最近、ため息多いよね」


ため息は出来るだけ吐かないようにしていたつもり

まさか、無意識に出ていたのかな!


「あんた!まさかっ」

「えっ、何?」

「好きな人出来たでしょ!!」

「!?」


えりの鋭い指摘に激しく動揺する私


「あっ、え、なっ、なわけっ」

「当たったな」

「えー、誰?ねえ、誰なの?」


いつもはおっとりな眞子もさすがに食いつく

意識しない様にしていたのに

一さんの顔が鮮明に思い浮かんだ


「顔が真っ赤だけど、本当に好きな人出来たんだ」


えりはとても驚いていた

私は一生懸命に首を横に振った 


「おめでとう、頑張りなさいねっ」

「人の恋路は気になるものよねー」


思わず、机に突っ伏した 恥ずかし過ぎる


プルっ、プルっ 内線が鳴った


「はいっ、ひ、土方ですっ」


動揺が治まらず、声がひっくり返ってしまった


「・・・」

「・・・あの、土方ですけど」

「っ!す、すまない。結城のデスクに掛けたつもりだったが、間違えてしまったらしい。掛け直す」


静かに電話は切れた


えっ!えっ!さっきのって、一さん!?


「えー!最悪だぁぁ〜」


あんな裏返った声で電話取って

それが一さんだったなんて、神様の意地悪

うあぁぁ泣いてもいいですかぁ


「瑠璃?」


もう仕事、続行不能でございます


「こりゃ重症だね」


そんな二人の呟きも耳に入らなかった



俺とした事が、内線番号を間違えるなど

彼女が土方さんの妹か

総司が言うには、俺にとって重要人物だったと

俺は彼女と・・・いや、

さすがの俺も土方さんの妹に手は出さんだろう


とにかく一度、顔を見て挨拶はしておくべきだろう

そんな事を考えながら、改めて結城に電話を掛けた


「はい、すみません。たぶんシステムの登録ミスだと思いますので、直ぐに修正します!」


えりがカタカタとパソコンを叩くのを

さっきの動揺を引きずりながら、眺めていた


「本当だぁ!凄いな斎藤さん」


えりの言葉にピクリと肩を揺らしてしまう私


「何が凄いの?」

「眞子っ、聞いて。今まで誰も気付かなかったんだけどさ、英文表記の間違いを指摘されたの!」

「おお、よく気づいたね。何百ものアイテムがあるのに」


もう私の耳はダンボだった

そりゃそうだよ!一さんだよ?

彼の目は誤魔化せないんだから、と得意気な気分


「お、瑠璃。復活したの?」

「え、まあね。仕事はちゃんとしないと兄から大目玉だよ」

「だった、だった。瑠璃のお兄さん副社長だった」


そう、仕事はきっちりしないと!

悩むのは帰ってからにしよう


幸いゴールデンウィークの座席確保や

予約記録の整理などで忙しかったので直ぐに立ち直れた


そんな中、旅行部から問い合わせがきた

海外に行くお客様が愛犬も一緒に連れて行きたいのだと


「えりって前は旅客、担当してたよね?」

「うん、何かあったの?」


旅行部からの問い合わせをえりに話すと

頻繁にある話じゃないから忘れたって


「あれよ、どっちにしても動物検疫所が絡むから通関課に聞いてみたら?絶対知ってるよ」

「・・・聞いて、見る」


思わずドキリとしてしまった

通関課なら確かに分かるよね・・・

同期に電話してみた


「あ、瑠璃姉さん。お久しぶりですね、どうしました?」


さっきの話をしたところ


「私まだ経験ないんですよね、課長に代わりますねっ」

「えっ!ちょ、え?」


保留にされた ど、どうしようっ!!


-----------------------------。



「待たせてすまない」

「・・・あ、えっと、お忙しい所すみません。お客様が愛犬と一緒に海外渡航されたいらしくて、何を準備すべきかと問い合わせがあったものですから」


心臓がものすごく早く動いている


トクトクトクトクトクトクッ


ああ、心臓の音が煩い


「なるほど、検疫を受ける必要がある。その前に準備しなければならない書類があるから後ほどメールで資料を送ろう。それを元にお客様本人から検疫所に問い合わせるよう伝えてくれ」


「はい、分かりました」

「アドレスを教えてくれないだろうか」

「あっ、すみません。言いますね、ru.hijikataです」

「分かった」


は、一さんと会話をしました

とても、とても感動しています


ようやく会話しましたよ(笑)

何せ斎藤さんなもので(^_^;) リスペクトする土方さん(元副長)の妹ってことで遠慮するかもしれなく・・・

ちょっと、もどかしい場面が続きますが少々耐えていただきたく

お願い申し上げますm(  )m

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