第59話 その頃、函館支店の斎藤は
師走に入り慌ただしい日々がつづいている
業務も立て込んでいたが、取引先との忘年会など
週末ごとにあり、体力も消耗していた
そんな中、やたらと総司がメールを寄越してくる
返信をしないと電話をかけると脅してくる始末
俺はあんたの暇を潰してやる暇はないのだ
総司は営業で仕事も落ち着いているかもしれん
しかし、俺は年内に取っておきたい証明書や
それに付随する案件が山ほどあるのだ
(ねえ、一くん。なんで、LINEやらないの?面倒でしょ、いちいちメールアプリ開いてさ。僕たちみんなLINEだよ)
(特に無くて困る事はない)
(ふぅん、一くんらしいよね。そうそう、僕たち明日から何処かの演習場で特殊能力をコントロールする為の合宿をするんだ。一くんは大丈夫なの?能力暴れてない?)
「斎藤課長、これお願いします」
「そこに置いておいてくれ」
(幸い能力が暴れる事はない)
「すまんが、これの画像を送ってくれないか」
「はい、分かりました」
(一くんは、何だかんだ上手く操ってそうだよね。うちはお転婆娘な妹と短気な兄たちが居るからね。大変だよ)
お転婆娘な妹・・・
(そうか)
「メール今、送りました」
「ああ、助かる」
今何時だ、午後3時かそろそろ許可が降りる頃か
(そうかって、メールでもつれないね。いつだったか左之さんが、駅のホームで女の人助けてさ。庇ったせいか腕の骨折れてたんだ。でも、それ妹の特殊能力で治ったんだよね。けど上手くコントロール出来なくて倒れちゃったんだ。いつも全力だから)
それは、治癒能力という事か
倒れるほどの力・・・
「総司の治療をこれからします。もし力尽きていたらお部屋まで運んでいただけませんか」
くっ! まただ、この声が脳の奥から聞こえてくる
総司の妹と何か関係があるのか
「斎藤課長?大丈夫ですか?」
「ん、ああ。何でもない、大丈夫だ」
何をすれば思い出すのだろうか
はぁ、総司にまんまとヤられている感が否めないが
どちらにせよ4月からは本社勤務だ
その頃には何か分かるかもしれん
誤字修正しました




