表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Time Trip to Another World ~東雲~  作者: 蒼穹の使者
第一章 一さんに会いたい・・・
58/114

第58話 ドタバタと仕事納め

あっという間に年末はやって来た

今月は毎日残業をしている

そして明日からは例の演習場での合宿が始まる


今朝は珍しく歳三兄さんの車で一緒に出勤中

始業前からやりたい作業が山積みだったからだ


「瑠璃、出発は明日だが仕事の方は大丈夫なんだろうな」

「たぶん」

「何だ、頼りねえな」

「旅客担当だから何が起きるか分からないと言うか。連休前になると行かないってキャンセルした人が、やっぱり行くってよくあるので。しかも座席取れないのに何とかしろってごねたり・・・」

「ああ、去年は席が取れねえって俺のところまで上がって来たな」

「・・・ですかぁ」

「ま、どっちにしろ期日過ぎれば取れようが取れまいが終いだ。だが、その期日ギリギリまでは死ぬ気で席を取りに行かねえとならねえがな」

「はい」


歳三兄さんは顧客ランクに関係なく同じように力を注ぐ人だ


『出来ないと簡単に言うな、出来る方法を探せ』


常にお客様に選択肢を与える事

自分たちのアドバイスが押し付けにならない様に

常にお客様の立場や事情を察する事

かと言って、ペコペコする必要はないんだと

・・・難しい

本当に仕事は手を抜かない厳しい人だ

でもその厳しさは、お客様への優しさに変わる


「とにかく、頑張ります」

「おお」


会社に着くと、ファックスやメールを片っ端から片付けた

とにかく無心になり、ロボットの様に捌く


げっ!出た、スペル間違い

お客様の名前は海外の場合ヘボン式ローマ字で入力する

例えば、土方歳三ならHIJIKATA TOSHIZOと入力する

歳三をTOSIZOUとは表記しないのです

時々、間違えた名簿が提出されてそのまま登録される

その後パスポートと照合して初めてミスが発覚

もし気付かずに発券して空港に行くと…

チェックインが出来ない=飛行機に乗れない


「座席の取り直ししないと・・・最悪っ」


席が空いていない 年末年始ですから


「はぁぁ、ここの航空会社の人、怖いんだよなぁ。ネームチェンジしてくれるかなぁ。あぁぁ」


「瑠璃おはよっ!早いね。やっぱりこの時期の旅客担当は忙しいよね〜。って、どうした?項垂れて」


「えりぃぃ!このどピークの時に名前が違うのぉぉ!!」

「げっ!ヤバいじゃん。キャリアどこ?」

「ここ」


瑠璃はえりに航空会社の2レターコードを見せる


「うげっ!・・・」

「おはよー。あれ二人ともどうしたの」

「眞子ぉ!」


カクカク、シカジカと眞子に説明する


「・・・当たって砕けるしかないよ」


砕けるのが前提の様に言われてしまった

取り敢えず現状を旅行部に伝えなければ


この団体を担当していたのは同期の子だった


「瑠璃姉さんごめんなさい。気付かなかったぁ、何とかお願いします。席落としちゃったら大問題になっちゃう」


と、泣きそうな、いや、泣いているかもしれない声で

切に訴えられてしまった

私もペーペーだからなぁ、力に限界が

何か方法は無いものか、うーん・・・


あっ、他の団体でキャンセル出てた気がする!

キャンセルだからって後回しにしたやつがっ

ラッキーな事に左之兄が担当してるいる団体だった

営業課へ名簿を持って走った


「瑠璃ですけど、土方兄をお願いします」


兄を付けると左之兄、土方弟は総司を指す

最近ようやく、この呼び方が定着した


「何だ瑠璃、どうした」

「お願いがあります!左之兄の色気、貸してください!」

「はっ!?」


この団体のこの人をキャンセルで返席するから

こっちの団体のこの人のスペル変更をお願いします作戦


敵(航空会社)の団体担当は女性がしている

左之兄の色気を持ってすればきっと

いや、絶対に堕ちるはず!


「おいおい、そんなんで変わるのか?」

「変わります!お願いしますっ、助けて下さいぃ」

「ったく、保証は出来ねえぞ」


と言いながら名簿を持って、フロアを出る左之兄


「え、何処に行くんですか!」

「ん?電話より直接行ったほうが早いだろ」


左之兄は眩しい笑顔で航空会社に出かけていった

後は祈るのみっ、神様、仏様、左之助様っ


とても気になりつつ、他のやるべき仕事をこなした

時々、予約記録を見る 変わってない

駄目だったのかなぁ


ブイーン、ブイーン…ブイーン、ブイーン


「瑠璃、携帯鳴ってるよ!」


あっ!本当だ。バイブのままだった 

しかも左之兄からだ!!


「もしもし!」

「瑠璃・・・」

「・・・はい」

「変わったぜ、記録見てみろ」


急いで、さっきの団体記録を予約端末から開く

わぁ!変わってるぅ!!キャーさすが左之兄っ


「ありがとうぅ!左之兄ぃぃ」

「おう!今回のは高くつくぞ?」

「はいっ!」


やっと、何とか年末年始の型が付いたのです

旅行部の同期も運輸部に走って来て


瑠璃姉(るりねえ)、ありがとう」


と、泣きながらお礼を言われた

もう瑠璃姉さんから瑠璃姉に変わっていたけど気にしない

めでたし、めでたしだよ


さて、明日から一足先に冬季休暇入ります

合宿!行ってきます。

実際に前職で「出来ないを簡単に言わない」と言われていました^^;

出来ないけれど、出来る別の方法を探す作業はけっこう大変でした

懐かしい・・・今では悪知恵ばかりが浮かびますが(-_-;)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ