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Time Trip to Another World ~東雲~  作者: 蒼穹の使者
第一章 一さんに会いたい・・・
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第56話 土方会議

「よし、揃ったな。では、始める」


歳三兄さんは妙に改まってそう言った

内容は、例の合宿の話だった


有給と年末年始を使えば約2週間

その間に自分たちの中にある特殊な能力を

可能な限り引き出し、抑え込み

自由に操れるようにトレーニングをする

メンバーは私達兄妹と山崎さん



「それは分かりましたけど、問題は場所だよね。何処に有るんですか?そんな都合の良い場所が」

「それだよな。俺達の力は大地が揺れたり、稲妻が落ちたりで異常気象の連発じゃねえか」


総司と左之兄がそう言うと、歳三兄さんはふっと笑い


「それがな、有るんだよ。誰も文句を言わねえ場所がな」

「えつ!何処ですか!?」


私達の驚きがよほど嬉しかったのか

ニヤリと笑い、勿体ぶったように足を組み直す


「知りたいか」

「はい!」

「歳三さん、その顔やめてくださいよ」

「おい、兄貴っ」

「くくっ、分かったよ。あのな、演習場だ」

「演習場!?」


4人の声が見事にハモったのは言うまでもない

演習場、それは自衛隊が実弾訓練などを行う場所だ

そこなら爆発音がなろうが、地鳴りがしようが

誰も文句を言わない


「確かにそこなら多少暴れても大丈夫かもしれませんけど」

「どうやって許可を取るんだよ」

「そうですよ、あれは国の物でしょ」

「土方さん、まさかもう許可を?」

「ああ、取った」


その国の重要な土地の利用をどうやって取ったのか

しかも、どう言う理由で取ったのか


「そういえば!」

「瑠璃、どうしたの」

「お昼休みに大久保さんが、見つかったから安心して修行が出来るぞって・・・」

「言ったのか」

「はい」

「まさか勇さんも関係しているんですか」


歳三兄さんの話によると、大久保さんと二人で

演習場の貸出しを交渉したらしい

交渉内容は言えないって

局長と副長はこの時代でも睨みをきかせれば

泣く子も黙ると言うか、自衛隊が黙るって・・・


「年末年始なら構わないって言われたんだ。悪いな」

「クリスマスが潰れましたね」

「瑠璃、何か予定でもあったの?」

「私はないですけど、左之兄とか大丈夫ですか?」

「俺か?予定はねえけどよ、それに向けて動けなくなったってのは確かだな」

「総司は?」

「ん?僕はもともとクリスマスとかは興味ないからね」

「歳三兄さんは・・・ないか」

「おいっ」

「あっ、山崎さんは?勝手に決められて困るんじゃ」

「僕ですか!?無いですよっ、有るわけないじゃないてすか。何言っているんですか」

「山崎くん、なに焦ってるの」


話の流れは聞いていたが

まさか自分に振られるとは思っていなかった

本当に何の予定も入っていないのに妙に焦る

自分が注目を浴びる事に慣れていないから尚更だった


「み、皆さんを差し置いてっ、ある訳ないですよ」

「おい山崎、大丈夫か?」

「顔、真っ赤だぞ」


総司が声を押し殺して笑っている

山崎さんがあんなに顔を真っ赤にした姿は初めて見た

いつも落ち着いていて、冷静で頼りになるあの山崎さんが


とても新鮮だった


「山崎くんでも、そう言う顔するんだ」

「ま、あれだ。好きな女が出来たら俺達に遠慮なんかしねえで、デートても何でもしてくれよ。な?」


左之兄はフォローを入れたつもりだろうけど

山崎さんの顔の熱はいっこうに引かなかった


「ふふふっ、山崎さん。かわいいっ」

「なっ!かっ、かっ・・・」


茹でダコのようになった山崎は

貝のように固く口を閉ざしてしまった


「おい、お前らあんまり山崎をイジメてやるな」


歳三兄さんの一言で、取り敢えず終息した

日が近づいたら詳細を確認する事で終わった


皆を先に会議室から出した歳三は山崎にこう伝えた


「山崎、少しいいか」

「はい、何でしょうか」

「実はな、瑠璃にはまだ言っていない事がある」

「・・・」

「斎藤の事だ」

「!?」

「斎藤はこの時代に居るよ。しかも、この会社の社員だ」

「え!」

「今はまだ函館支店に勤務中なんだか、来年の春こっちに復帰する事が決まった」

「そうですか」

「瑠璃にはいつ伝えるか、まだ決めていない」

「そうですよね、ようやく彼女はこの時代を歩き始めたようなものですから。タイミングが難しいですね」

「ああ、斎藤も記憶はないだろうからな。で、お前に頼みがある。健康診断を装って様子を見てきてくれないか。もちろん瑠璃のことは伏せて、それ以外は話してもらって構わない。俺達も目覚めたんだ、斎藤もそろそろだと俺は踏んでいる」

「了解しました」


斎藤さんがこの時代で生きている

しかも、同じ会社の社員だと

そして春には本社勤務になる


俺は驚きと喜びと同時に、何故か胸の奥が痛んだ

これで瑠璃さんがようやく幸せになれる

俺は二人を全力でサポートするんだ


だから、俺はその胸の痛みに気づかないふりをする

自分にやるべく任務の事だけを考えた


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