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Time Trip to Another World ~東雲~  作者: 蒼穹の使者
第一章 一さんに会いたい・・・
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第55話 強制!有給休暇!?

突然、歳三兄さんが修行だの合宿だのと言い出した

その事を総司に話したら爆笑された


「ねえ、笑い事じゃないですよ。目的は分かりますけど、そんな事できる場所なんてないですよね?」

「あの人なら、何処か適当な場所探して来そうだけどね」

「適当な場所って・・・無いと思うけどなぁ」


何処かの山に籠ったとしても

風、光、地震のようなものが起きたら耐えられない

それに万が一人間に被害が出たら


「はぁ」


あれから歳三兄さんはその事について何も言わない

でも、諦めていないのは分かる

考え事をしている時の顔はすぐに分かる

急に明後日の方を見て、眉間に皺寄せたり

黙想始めて、自分の世界に入ったりするからだ


「なぁ瑠璃、兄貴何かあったのか」

「ん?歳三兄さん?」

「ああ、終始難しい顔してんだけどよ。会社で噂になってるんだ、何か恐ろしい発表があるんじゃねえかってな」

「え!・・・あぁ。それは無いです。大丈夫です」

「知ってるのか?」

「仕事の事ではなくて、私たちの能力の事です。コントロールする為には修行が必要だって言い出して、その合宿場所を探してるんです」

「あ?なんだそれ」


左之兄は驚きか呆れか、ぽかんとしてしまった

副社長が気難しい顔をしていれば

そんな噂が立っても仕方がないよね



そんなある日の昼休みいつものように

えりたちと社食でランチをしていた時の事


「おっ!瑠璃くんじゃないか。頑張っているかね」

「大久保さっ、社長!!」


周りが社長の登場にざわつき始めた

大久保さんはお構い無しで、私の肩をポンポン叩きながら


「いやあ、見つかったぞ!安心して修行してくれたまえ」

「えっ、あのっ、ちょ…」


はははっ、と笑いながら行ってしまった


「瑠璃?あんた何かやらかしたの?」

「大丈夫?修行って何。怖いんだけど」

「え?は、はは。なんだろうね、剣道の事かな〜。試合出なかったから、次は出なさいって・・・こと、かな」

「ああ、あり得るね」


ご、誤魔化せたかな?

大久保さん!こんな大勢の前でダメだよっ

でも、見つかったって何が!?


その日の午後、総務からメールが届いた


12月25日から3日間の有給休暇を申請するよう

申請用紙が添付されてあった

しかも、私の印を押すだけの状態で

残り有給休暇は え!?、5日間

新入社員かつ中途入社な私の貴重な有給休暇が

訳の分からないまま消化されようとしている


申請理由は?私用の為って!

私はかなり動揺している だって、これってパワハラ!!

あり得ない事に既に、運輸部部長土方の印は捺印済


プルッ♪プルッ♪、プルッ♪プルッ♪


「・・・は、はい。ひじ、かたっです」

「ぶっ!ははっ、何そのロボットみたいな返事は」

「すみません、動揺中なので」

「酷いよね〜歳三さん。勝手に有給取らせてさ、これで僕達の年末年始休暇は潰れちゃったよ」

「え!?」

「詳しくは終業後にね、じゃあ」


とても中途半端な状態で切られてしまった

何とか仕事を終わらせ、帰り支度をしていると

スマホにメッセージが入っていた 歳三兄さんだ


(2階、医療部小会議室に来てくれ)


恐る恐る、小会議室に入ると山崎さんがいた

私に気付いた山崎さんは穏やかに笑う


「瑠璃さん、座ってお待ち下さい」


山崎さんを見ると、とても安心する

彼が居ればどんな事態も切り抜けられる気がするから


「歳三兄さんが、此処に来いって」

「はい。聞いています。瑠璃さん動揺していますね。大丈夫ですよ、副社長の事ですから変な事では無いですよ」

「信頼しているんですね」

「副長が初めてなんです。僕の事を認め信頼してくれたのは」


監察方として誰よりも信頼していた事は知っている

山崎さんは兄にとって手足であり、頭脳だったから


「感服致します」


そう言うと、照れくさそうに俯いた

彼が居なければ私は此処に居なかったかもしれない

私の無理な案も我儘も否定することなく

可能な限り叶うようにサポートしてくれたのは彼だ

近藤さんを救えたのも彼なしでは出来なかった事


そんな山崎さんに私は何も返していない

彼の疑わない真っ直ぐな眼差しに甘えてばかり


「山崎さん」

「はい」

「私っ、何か、山崎さんにしてあげられる事はないですか?」

「え?」


瑠璃は真剣な眼差しで山崎を見つめる

感極まっていたせいもあり、少し瞳は潤んでいた


「っ!・・・な、何ですか急に」


君は本当に困った人だ、そんな潤んだ瞳で言われると

僕は勘違いをしてしまう

引き寄せて抱きしめてしまいたくなる

その心は僕のものでは無いと知っているのに


「山崎さん?」

「考えておきます」


山崎はふっ、と微笑むと辛うじて自制をかけた


暫くすると、全員が揃った

土方会議の始まりです

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