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Time Trip to Another World ~東雲~  作者: 蒼穹の使者
第一章 一さんに会いたい・・・
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第49話 総司と斎藤

まったく何の意図があってか分かりかねるが

今年に入ってから定期的に総司から電話やメールがある

殆どの内容が一方的であり、返事をするのに困る

差し支えのない返事をした日には、それを逆手に取って弄ぶのだ

あんたは天邪鬼あまのじゃくかと言いたい

しかし、この頃は少し内容が変わってきたように思える

俺自身も気にかかる事が総司にも起きているよに思えたからだ

勿論、それに容易に返事を返したりはしない


そんな俺に痺れを切らしたのか、電話がかかってきた


「なんだ」

「なんだって、随分とつれない言葉だね」

「あんたからの電話でいい話を聞いたことがないからな」

「そうだっけ?それなりに事と言葉は選んでいるつもりだけど」

「・・・で、何の用だ」

「あのさ、最近何か感じない?」

「何かとは」

「誰かの声が聞こえてきたり、胸の奥が苦しくなったり、あとは妙な夢を見るとか」

「・・・(なぜ分かる、誰にも言った覚えはないが)」

「誰かに告白されちゃったけど、どうしてもその人を受け入れられないとか?」

「なっ!何で知っている!」

「え!?そうなの?一くんも隅に置いておけないね」

「あんなたに何が分かる」


斎藤は動揺していた 

総司が今、自分に言った事は全て最近起こった事だからだ

もしや盗聴器でも仕掛けられているのではないか

総司ならやりかねん


「ちょっと、失礼な事考えていたでしょ。盗聴なんてしてないからねっ」

「っ!(昔からそうだ、簡単に人の心を見透かす)」

「で、振ったの?振られたの?」

「用がそれだけなら切る」


「ははっ、ごめん。切らないで、ここからは真面目に話すから。と言ってもさっきの話も真剣だったんだけどね。何か思出したりしてない?此処ではない遠い過去の時代の事とか。僕はね、いろいろ思い出してきたんだ。刀を持って駆け抜けた時代の事をね」


「刀・・・過去の時代」

「そう、僕たちには眠らされた記憶があるんだ。歳三さん、左之さん、僕、社長の勇さんもね。あと医療部の山崎くんとか。僕たちはね”新選組”だったんだよ」

「なに!」


普段ならばかな冗談はよせと一喝するところだ

だが、総司の口調は決して冗談を言っているような風ではない


「それから何度か話したことあるけど、僕たちの妹もその中の一人だったよ」

「妹・・・、名は何と言う」

「やっぱり覚えていないんだね。君にとってかなり重要人物だったんだけど・・・、取りあえず今言っても混乱するだけだから、それは追い追い話すよ。それに自分で思い出した方がいいと思うしね」


どこか落胆したような声に俺は不安を覚えた

やはり俺はとても大事な事を忘れてしまっている

確かに総司から全てを聞いたとしても、解決には至らないだろう


「そうだな、分かった」

「そう?でも、どうしても知りたかったら聞いてよ。僕じゃなくても、左之さんとか歳三さんに」

「ああ」


そう言うと、俺たちは電話を切った


土方さんや左之も共通の記憶を持っているのか

そして彼らの妹の存在だ

新選組に女がいたのか?


・・・一さん、


くっ、まただ 誰なのだ俺の名を呼ぶ者は



斎藤も何かしらの記憶が脳の中で覚醒し始めている

そう総司は感じ取った

口数の少ない男だが、総司には間合いや言い回しで察することができた


「たぶん、瑠璃と似たような経験を最近してるね」


心の奥に眠った瑠璃との記憶はまだ覚めていない

だけど、瑠璃以外の女性を受け入れることは出来なかった


「瑠璃、大丈夫だよ。一くんは忘れていない」


総司はそう確信した



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